クワガタは旅行中どうする?種類と季節で変わる留守番対策

クワガタを飼っていると、夏休みの帰省や年末年始の旅行、仕事の出張などで家を何日か空けなければならない場面がやってきます。

カブトムシの成虫がひと夏で一生を終えるのに対して、クワガタのなかには冬を越して何年も生きる種類がいるため、夏だけでなく冬の留守番についても考えておく必要があります。

しかも、同じクワガタでも暑さに弱い種類、気性が荒くてケンカをしやすい種類、冬眠をしない外国産の種類などがいて、旅行前にやるべき準備は種類と季節によってかなり変わります。

この記事では、クワガタの種類ごとの違いを整理したうえで、夏に家を空けるときの準備と、冬に越冬中の個体を置いて出かけるときの管理を分けて解説していきます。

留守にする期間ごとの考え方や、菌糸ビンで幼虫を育てているときの注意点、帰宅したあとに確かめたいことにも触れました。

最後に、家族や知人、ペットシッターに世話を頼む方法と、ペットシッターが昆虫を扱うかどうかは店舗によって異なるという点についてもお伝えします。

目次

クワガタの旅行中の世話は種類と季節で変わる

クワガタの留守番を考えるときに最初に押さえておきたいのは、クワガタとひとくちにいっても、寿命も冬の過ごし方も種類によって大きく違うという点です。

飼っているクワガタがどのタイプに当たるのかが分かると、旅行前にどこまで準備すべきか、どの季節の留守に気をつければよいのかが見えてきます。

寿命は数か月から数年まで種類によって違う

ホームセンターのDCMが公開している飼育ガイドでは、ノコギリクワガタとミヤマクワガタは7〜9月末ごろまで飼育でき、ほかの主なクワガタは2〜5年飼育できるとされています(DCM「クワガタムシの飼育方法・豆知識」)。

同じガイドでは、種類ごとの寿命の目安として、ノコギリクワガタとミヤマクワガタが1年、コクワガタが2年、ヒラタクワガタが3年、オオクワガタが4〜5年という数字が挙げられています。

種類寿命の目安(DCMの飼育ガイド)飼育のイメージ
ノコギリクワガタ1年成虫はほぼ夏のあいだだけ
ミヤマクワガタ1年成虫はほぼ夏のあいだだけ
コクワガタ2年冬を越して翌年も飼える
ヒラタクワガタ3年冬を越して数年飼える
オオクワガタ4〜5年数年単位の長期飼育

つまり、夏に捕まえたノコギリクワガタを飼っている家庭と、オオクワガタを何年も飼っている家庭とでは、旅行の予定と飼育の計画をどう重ねるかという考え方そのものが違ってくるのです。

寿命には飼育環境や個体による差もあるため、表の数字はあくまで目安として受け止め、手元の個体の様子と合わせて判断してください。

なお、飼育書やサイトによって寿命の数え方は異なり、羽化してからの期間で数える場合と、成虫として活動を始めてからの期間で数える場合があるため(comotto「クワガタの平均寿命は?越冬はするの?」)、数字が食い違って見えることもあります。

越冬する種類としない種類がいる

クワガタの寿命の長さを分けている大きな理由のひとつが、成虫のまま冬を越せるかどうかです。

オオクワガタやコクワガタ、ヒラタクワガタなどは、秋から冬にかけて気温が下がると動きが鈍くなり、マットや朽ち木の下に潜って冬眠に入ります。

クワガタの専門店である虫吉の解説では、秋から春にかけて気温が15℃を下回る季節になると、成虫は徐々に動きが鈍くなって冬眠を始めるとされています(クワガタ工房 虫吉「クワガタの冬眠時の飼育方法」)。

一方、野外で捕まえたノコギリクワガタやミヤマクワガタは、夏から秋にかけて寿命を迎えることが多く、成虫のまま冬を越す前に一生を終えるのが一般的です。

冬の旅行で留守番の準備が必要になるのは、越冬する種類を飼っている場合と考えておくと、準備の対象がはっきりします。

夏の旅行と冬の旅行では注意点が逆になる

夏の留守で最も気をつけたいのは、エアコンの止まった家のなかでケースの周りの温度がどこまで上がるか、という点です。

クワガタの成虫の管理温度はおおよそ18〜28℃ぐらいの間が目安とされ、とくに夏場の高温に注意するよう案内されています(月夜野きのこ園「クワガタ成虫飼育」)。

ところが冬になると話は逆になり、越冬中の国産のクワガタは暖房の効いていない室内の常温で過ごさせたほうが、体力の消耗が少なくなるとされています。

越冬の時期に部屋を暖めすぎると、クワガタが目を覚まして動き回る時間が増え、かえって短命に終わってしまうことがあるからです(クワガタ工房 虫吉「クワガタの冬眠時の飼育方法」)。

夏は「暑くしない」、冬は「暖めすぎない」というように、季節によって気をつける方向が反対になることを覚えておきましょう。

旅行前に確かめたい種類ごとの違い

ここからは、家庭で飼われることの多いクワガタについて、旅行の前に知っておきたい性質を種類ごとに見ていきます。

飼っている種類が分からない場合は、購入したお店のラベルや、捕まえた場所と時期を手がかりに調べておくと、留守中の準備を決めやすくなります。

ノコギリクワガタとミヤマクワガタは夏の暑さに注意

ノコギリクワガタとミヤマクワガタは、夏休みに野外で捕まえて飼い始めることの多い種類で、成虫として飼える期間は夏から秋にかけての数か月です。

なかでもミヤマクワガタは標高の高い山に多く、涼しい環境を好むため暑さに弱いと紹介されています(アットホーム「クワガタの飼い方ガイド」)。

平地の住宅でお盆のころに家を閉め切って出かけると、ミヤマクワガタにとっては厳しい温度になりやすいので、置き場所には人一倍気を配りたいところです。

ノコギリクワガタも夏の暑さに強いわけではないため、どちらの種類も、旅行前には家のなかで温度が上がりにくい場所を探してケースを移しておく必要があります。

この2種類は成虫で過ごす期間が短く、夏の終わりには寿命が近づいている個体も多いので、準備をしていても留守中に命を終えることがある点も心に留めておいてください。

オオクワガタとコクワガタは長く付き合う前提で考える

オオクワガタとコクワガタは、比較的おとなしい性格で飼いやすいとされ、冬を越して翌年以降も飼い続けられる種類です。

国産のオオクワガタは、理想は20〜25℃としながらも、極端な温度にならなければ常温で飼育でき、越冬をするので室内で管理しておけばおおよそ大丈夫とされています(月夜野きのこ園「国産オオクワガタ飼育マニュアル」)。

数年単位で飼うということは、夏休み、年末年始、大型連休と、留守番の機会が何度も巡ってくるということでもあります。

そのため、旅行のたびに慌てて準備するのではなく、エサ皿や予備のケース、霧吹きなどを普段から揃えておき、留守のときの手順を家族で決めておくと、毎回の負担が軽くなります。

長く飼っている個体ほど愛着も深くなるので、帰省や出張の予定が決まった時点で、世話を頼めそうな人の目星をつけておくのもよい方法です。

ヒラタクワガタは1匹ずつ分けておく

ヒラタクワガタは平たく幅の広い体つきが特徴で、クワガタのなかでも気性が荒く、ケンカをしやすい種類とされています(アットホーム「クワガタの飼い方ガイド」)。

クワガタは種類を問わず、1つのケースに2匹以上で飼うとケンカをして弱ってしまうことがあるとされ、できるだけ1匹ずつ飼育するよう案内されています(月夜野きのこ園「クワガタ成虫飼育」)。

とくにヒラタクワガタのオスは大あごの力が強く、同じケースに入れたメスを傷つけてしまうこともあるため、ペアで飼っている場合でも留守のあいだは別々のケースに分けておくほうが無難です。

人が家にいれば、ケンカが始まったときに引き離すこともできますが、留守中は誰も止められないので、分けておくことがいちばん手堅い対策になります。

普段から1匹ずつ飼っている場合でも、ケースのフタが緩んでいると隣のケースへ移動してしまうことがあるので、出発前にロックを確かめておきましょう。

ニジイロクワガタなど外国産は温度と脱走に気をつける

ペットショップでは、ニジイロクワガタやギラファノコギリクワガタなど、海外に生息するクワガタも数多く販売されています。

たとえばオーストラリアに生息するニジイロクワガタは、成虫の寿命が1年〜1年半、理想の温度が20〜24℃とされ、冬眠しない種類として紹介されています(月夜野きのこ園「ニジイロクワガタ飼育マニュアル」)。

国産の越冬する種類とは違い、冬のあいだも活動してエサを食べ続けるため、冬の旅行でも夏と同じようにエサの量と温度を意識した準備が必要になります。

もうひとつ外国産で気をつけたいのが脱走です。

環境省は、外国産のカブトムシやクワガタムシが野外に放されると在来の昆虫などに影響を与えるおそれがあるとして、「逃がさないで・捨てないで」という呼びかけを行ってきました(環境省 報道発表資料(2005年8月24日))。

留守中にケースから逃げ出した個体が、開いていた窓やベランダから外へ出てしまえば、意図せず野外に放したのと同じことになりかねません。

そのため外国産を飼っている場合はフタの点検をとくに丁寧に行ってください。

夏に家を空けるときの準備

「事前準備」と書かれたノートとペン(夏に家を空けるときの準備のイメージ)

夏の旅行や帰省で家を空けるときは、暑さ、エサ、マット、ケースの4つを順に整えていきます。

ここでは、夏に活動しているクワガタならどの種類にも共通する準備を紹介するので、先ほどの種類ごとの注意点と組み合わせて考えてください。

昆虫ゼリーは普段の減り方を見て数を決める

クワガタが食べるゼリーの量は、種類や体の大きさ、その時期の活動量によってかなり違い、よく食べるカブトムシと同じ感覚で数を決めると、多すぎたり足りなかったりします。

そこで、旅行の1週間ほど前から、1匹あたり何日でゼリー1個を食べきるのかを観察しておくと、留守中に必要な数を割り出しやすくなります。

たとえば2日で1個を食べきる個体を5日間の旅行で置いていくなら、3個に予備を1〜2個足して入れておく、というように、観察した数字をもとに計算するのが確かな方法です。

ゼリーはフタを全部はがすより、カッターなどで十字に切れ目を入れて置くほうが飛び散りにくく、マットが汚れにくいとされています(月夜野きのこ園「国産オオクワガタ飼育マニュアル」)。

夏場はエサが腐りやすいので早めの交換がすすめられているため、果物は留守中のエサにせず、日持ちしやすい昆虫ゼリーに切り替えておきましょう。

置き場所は直射日光とエアコンの風を避ける

アットホームの飼い方ガイドでは、クワガタは暑さに弱く、30℃を超えると死んでしまうこともあるため、室温は25℃前後を目安に一定に保つよう紹介されています(アットホーム「クワガタの飼い方ガイド」)。

夏の留守中にこの温度を保つのは簡単ではないので、まずは日が差し込まない部屋のなかで、温度が上がりにくい場所を探してケースを移しておくことが基本になります。

エアコンをつけたまま出かける場合も、冷風がケースに直接当たる位置は避けることが大切で、オオクワガタの飼育マニュアルでも直射日光やエアコンの風が直接当たらない所に置くよう案内されています。

冷風が当たり続けるとケースの中だけが冷えすぎたり、マットが乾いたりするため、エアコンから離れた棚の下段や、部屋の奥の床に近い場所を選ぶとよいでしょう。

ケースの近くに最高最低温度計を置いておくと、帰宅したときに留守中の室温がどこまで上がったのかが分かり、次の旅行の置き場所を決める参考になります。

マットは乾燥と蒸れの両方に気を配る

マットは加水して握ると形が残り、水が染み出てこないくらいの湿り気にし、5〜10cmほど敷くのが目安とされています(月夜野きのこ園「クワガタ成虫飼育」)。

留守のあいだは霧吹きをする人がいないため、出発前にマットの表面が乾いていないかを確かめ、乾いていれば少しずつ水を足して湿り気を整えておきます。

ただし、気温が高い環境で水分を多くしすぎると、ケースの中が蒸れてクワガタが弱りやすくなるという飼育者の解説もあります(夜行性-yakosei-「旅行中や家を空ける時の管理について」)。

暑い部屋に置くしかない場合ほど、水の入れすぎに注意が必要です。

フタの通気穴が大きいケースでは、新聞紙や小さな穴をあけたビニールシートをフタとのあいだにはさむと、乾燥を防ぎながらコバエの侵入も抑えられます。

乾燥が心配だからといってすき間を完全にふさいでしまうと、今度は空気がこもってしまうので、通気が残るようにはさむ量を加減してください。

フタと転倒防止材を点検する

クワガタはひっくり返るとつかまるものがないとすぐに起き上がれないため、ケースには樹皮や木片などの転倒防止材を入れておくよう案内されています(月夜野きのこ園「クワガタ成虫飼育」)。

留守中は起き上がれないまま体力を使い果たしてしまうおそれがあるので、出発前に木片がマットに埋もれていないか、クワガタの脚が届く位置にあるかを確かめておきましょう。

フタについては、ロックがしっかりかかっているか、ツメが割れていないかを手で触って確かめ、心配な場合はテープで補強しておくと、大あごや脚で押し開けられる心配を減らせます。

脱走は留守中に起きるといちばん気づきにくく、見つけるまでに時間がかかるトラブルなので、夏の準備のなかでも、出発直前の最後に確かめる項目として残しておいてください。

冬に家を空けるときの管理

年末年始の帰省や冬の旅行で家を空けるときは、越冬中のクワガタをどう過ごさせるかがポイントになります。

冬眠中のクワガタはほとんど動かず、エサもあまり食べないため、夏に比べると留守中の手間は少なくなりますが、冬ならではの注意点もいくつかあります。

越冬中は暖房の効いていない部屋に置く

冬の留守番でまず考えたいのは、ケースを置く部屋の温度です。

虫吉の解説によると、オオクワガタやヒラタクワガタ、コクワガタ、スジクワガタ、アカアシクワガタなど日本に生息するクワガタは、寒さで死んでしまうことがほとんどないとされています。

そのうえで、冬場は暖房の効いていない室内の常温で越冬させたほうが、体力の消耗が少なくなると解説されています(クワガタ工房 虫吉「クワガタの冬眠時の飼育方法」)。

普段はリビングの暖かい場所に置いている家庭でも、旅行を機に暖房の影響を受けない部屋へ移し、静かな場所で冬眠を続けられるようにしておくとよいでしょう。

反対に避けたいのは、日中だけ強い日差しが差し込む窓際や、床暖房の上、ストーブの近くなど、温度が大きく上がったり下がったりする場所です。

DCMの飼育ガイドでは、20℃以下になると冬眠の準備を始めると紹介されています(DCM「クワガタムシの飼育方法・豆知識」)。

冬のあいだは暖めすぎずに、自然な気温の変化のなかで過ごさせることを意識してください。

冬眠中もエサは入れたままにしておく

冬眠中のクワガタは、体に蓄えた栄養で冬を越すため、エサをほとんど食べなくても死なない仕組みになっているとされています。

それでも、暖かい日が続くと目を覚まして時々エサを食べることがあるため、冬眠中もエサは入れたままにしておくことがすすめられています(クワガタ工房 虫吉「クワガタの冬眠時の飼育方法」)。

同じ解説では、冬場のエサの減り具合は2〜3日ごとに確認し、食べ残しの昆虫ゼリーは1週間に一度の間隔で新しいものに交換するよう案内されています。

冬は室温が低くゼリーが傷みにくいとはいえ、長く置いたままにすると表面が乾いて固くなるので、出発の直前に新しいゼリーへ取り替えてから家を出るようにしましょう。

1週間を超えて家を空ける場合は、帰宅後すぐに食べ残しを取り替えられるよう、予備のゼリーを用意しておくと慌てずに済みます。

マットが乾ききらないように湿らせておく

冬は空気が乾燥しやすく、暖房を使っている家では部屋の湿度がさらに下がるため、ケースのマットも夏とは違う理由で乾きやすくなります。

越冬中のクワガタはマットの中に潜ったまま過ごす時間が長いので、マットが乾ききってしまうと、体の水分が奪われて弱る原因になりかねません。

出発前にはマットを手で触って湿り気を確かめ、表面が乾いていれば霧吹きで水を足しておきますが、冷える部屋で水を入れすぎると、湿りすぎたまま乾かない状態が続くので量は控えめにしておきます。

虫吉の解説では、コバエの侵入だけでなく乾燥も防げるケースを使うと、霧吹きの頻度を減らせると紹介されており、長く家を空ける機会が多い人は、こうしたケースに切り替えておくのも一つの方法です。

潜りやすいようにマットをいつもより少し厚めに入れておくと、クワガタが自分で落ち着ける深さを選べるようになります。

離島産や冬眠しない種類は冷え込みに注意する

国産のクワガタのなかでも、離島産の種類については、できれば5℃を下回らないように、少なくとも氷点下にならないように注意が必要とされています(クワガタ工房 虫吉「クワガタの冬眠時の飼育方法」)。

ただし同じ解説では、室内での飼育であれば暖房なしでも氷点下になることは少ないため、とくに心配はいらないとも補足されています。

また、同じ解説では、真冬に氷点下10〜15℃になるような地域では、空気穴をあけた大きな発泡スチロールの箱や、二重以上に重ねた段ボール箱にケースを入れて、朝晩の極端な温度差を防ぐ方法も紹介されています。

一方、ニジイロクワガタのように冬眠しない外国産の種類は、冬のあいだも20〜24℃前後の環境を保つことが理想とされるため、暖房を止めて出かけると室温が下がりすぎるおそれがあります。

冬眠しない種類を飼っている場合は、冬の旅行でも温度管理を人に頼むか、温度を保てる設備を用意しておく必要があります。

どの程度の温度管理が必要かは種類によって異なるので、購入したお店や飼育マニュアルで、手元の種類に合った温度を確かめておいてください。

留守にする期間ごとの考え方

クワガタを何日くらい置いて出かけられるかは、種類、季節、置き場所の温度によって変わるため、一律の日数で答えを出すことはできません。

ここでは、飼育情報で紹介されている目安を手がかりに、数日、1週間超、数週間という3つの期間に分けて考え方を整理します。

留守の期間夏(活動期)冬(越冬中の国産種)
数日エサ・マット・置き場所の準備で対応しやすい出発前にゼリーを替えて静かな場所に置く
1週間超途中でエサとマットを見てもらいたいゼリーの交換を1回頼めると理想的
数週間世話を頼む前提で計画する冬眠していても途中の確認を考える

数日の旅行なら準備で対応しやすい

るるぶKidsの記事では、カブトムシやクワガタはエサさえあれば3〜4日は世話をしなくても大丈夫と紹介されています(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)。

週末を含めた2〜3泊ほどの旅行なら、夏と冬それぞれの準備を整えておくことで、誰かに世話を頼まずに出かけやすくなります。

ただし、夏の猛暑日が続く時期に暑さに弱いミヤマクワガタを飼っている場合や、冬に冬眠しない外国産を飼っている場合は、数日の留守でも温度が負担になることがあります。

日数が短いかどうかより、その期間に部屋の温度が種類に合った範囲に収まるかどうかを先に考えるようにしてください。

準備の手間を惜しまずに済ませておけば、短い旅行のたびに誰かへ頼む必要はなく、クワガタにとっても環境が変わらないぶん落ち着いて過ごせます。

1週間を超える場合は途中の世話を考える

1週間を超えて家を空ける場合は、エサの量だけでなく、ゼリーの傷みやマットの乾燥が進むことも考えなければなりません。

飼育者の解説では、エサがなくても1週間くらいは問題ない場合が多いとされています。

その一方で、2週間以上の留守が続くと生存率が徐々に下がり、最低でも1週間に一度はエサを交換したいとされています(夜行性-yakosei-「旅行中や家を空ける時の管理について」)。

これは個人の経験にもとづく目安ですが、冬の越冬中でも食べ残しのゼリーは1週間に一度交換するよう案内されています。

この2つを合わせて考えると、1週間をひとつの区切りとして、途中で誰かにエサとマットを見てもらうという考え方は理にかなっています。

途中の世話を頼めれば、ゼリーの交換と霧吹き、ひっくり返っていないかの確認という短時間で済む作業だけで、留守の後半の環境をリセットできます。

頼める人がいない場合は、エサ皿を増やしてゼリーを多めに置き、乾燥しにくいケースに切り替えるなど、準備の段階でできる工夫を重ねておきましょう。

出張や長い帰省で数週間空ける場合

仕事の長期出張や、実家での長い滞在などで数週間家を空ける場合は、準備だけで乗り切ることは難しいと考えたほうがよいでしょう。

夏であれば、エサの量と暑さの両面で負担が大きくなるため、世話を頼める人を確保したうえで日程を組むことを前提にしてください。

冬の越冬中であれば、クワガタ自身はほとんど動かずに過ごしていますが、マットの乾燥や、暖かい日に目覚めたときのエサの状態を考えると、数週間まったく確認しないのは避けたいところです。

身近に頼める人がいないときの選択肢として、昆虫に対応するペットシッターの探し方を記事の最後の章で取り上げているので、あわせて読んでみてください。

オオクワガタのように何年も飼う種類では、今回の長期出張だけでなく、次の夏や年末年始にも同じ悩みが出てくるので、継続して頼める先を見つけておくと、その後の留守番がずっと楽になります。

幼虫を菌糸ビンで育てているときの留守

クワガタを長く飼っていると、成虫だけでなく、産卵させた幼虫を菌糸ビンで育てている家庭も出てきます。

菌糸ビンは、きのこの菌を繁殖させたおがくずを詰めた幼虫用のエサ入りの容器のことで、幼虫はこの中で菌糸を食べながら育っていきます。

幼虫は成虫と違って毎日のエサやりが要らないため、数日から1週間程度の留守で困ることはあまりありませんが、交換の時期や蛹になる時期と旅行が重なると注意が必要です。

菌糸ビンの交換は3か月が目安

菌糸ビンは、幼虫の成長具合やビンの状態に合わせて交換が必要になり、コツがつかめるまでは3か月を目安に交換するとよいとされています(月夜野きのこ園「国産オオクワガタ飼育マニュアル」)。

同じマニュアルでは、セットしてから3か月くらい経ったものや、ビンの白い部分が半分くらいになったものを交換の対象としています。

幼虫の管理温度は、多くのクワガタで20〜25℃とされていて(月夜野きのこ園「クワガタ幼虫飼育-菌糸ビン」)、直射日光の当たらない静かな場所に置くことが基本です。

つまり、交換時期さえ外していなければ、菌糸ビンの幼虫は数日の旅行で困ることは少ないものの、夏の室温が高くなりすぎる場所では、成虫と同じように置き場所を見直しておく必要があります。

温度管理ができない場合は、夏場はなるべく涼しい場所に置くよう案内されているので、旅行前には成虫のケースと一緒に涼しい部屋へ移しておきましょう。

交換の時期と旅行を重ねない

菌糸ビンの交換を予定している時期に旅行が入っている場合は、出発の前か帰宅の後に交換日をずらして、留守中に交換の遅れが出ないように調整しておきます。

新しい菌糸ビンは、幼虫を入れる1〜3日前から飼育する場所の温度に慣らしておくよう案内されているため、交換を出発前に済ませるなら、旅行の数日前から段取りを始める必要があります。

交換した直後は、幼虫が新しいビンに潜って落ち着いたかどうかを確かめておきたいので、交換してすぐに家を空けるより、数日ようすを見てから出かけられる日程が理想です。

逆に、帰宅後に交換する場合は、帰ってすぐに作業ができるよう、新しいビンを出発前に用意しておくと手間が省けます。

長く家を空ける予定があるときは、交換のサイクルを逆算して、旅行の直前か直後に交換日が来るように前の交換日から調整しておくと、無理のない計画になります。

蛹になっているときは動かさない

幼虫はある程度の期間が経つと、菌糸ビンの中に蛹室と呼ばれる部屋をつくって蛹になり、この時期は衝撃に弱いため注意するよう案内されています(月夜野きのこ園「クワガタ蛹化・羽化」)。

蛹になってから羽化までは、種類や大きさ、温度によって差があるものの、約4〜8週間ほどかかるとされています。

旅行の前に置き場所を変えたいときも、蛹室が見えているビンは持ち上げたり揺らしたりせず、そのままの場所で温度が上がりすぎないように部屋側で工夫するほうが無難です。

また、羽化してすぐの成虫はまだ体が固まっていないため、羽化から2週間以上経ってからビンから取り出すようにとされています。

旅行の直前に羽化したのを見つけても、慌てて掘り出す必要はありません。

帰宅してから落ち着いて取り出し、成虫用のケースに移してあげれば十分です。

帰宅後のチェックと長期飼育の見直し

旅行から帰ってきたら、荷物を片づける前に、クワガタのケースと菌糸ビンの状態を一通り確かめておきましょう。

長く飼う種類ほど、今回の留守でどんな変化があったのかを把握しておくことが、次の旅行の準備に直結します。

成虫の様子とエサの減り方を確かめる

まずはケースの外から、クワガタがひっくり返っていないか、ケースの外に出ていないかを見て、姿が見えなければマットの表面をそっとかき分けて確かめます。

クワガタは夜行性で、昼間はマットや朽ち木の下に潜っていることが多いため、動きが少なくても、脚を動かしたり潜り直したりするようなら心配はいりません。

冬眠中の個体は触られると体力を使ってしまうので、越冬中は生きているかを確かめる程度にとどめて、何度も掘り起こさないようにしてください。

あわせて、留守前に入れたゼリーがどのくらい減っているかを見ておくと、その個体が留守中にどの程度食べていたのかが分かり、次に入れる数の目安になります。

ゼリーがほとんど減っていないのに夏場で動きも鈍い場合は、室温が高すぎたか、寿命が近づいている可能性もあるので、置き場所の温度を振り返ってみましょう。

マットとケースの状態を整える

クワガタの無事が確かめられたら、留守中に残ったゼリーは処分して新しいものを置き、表面が乾いていたマットには霧吹きで湿り気を戻していきます。

ゼリーの汁がこぼれてマットが汚れていたり、コバエが湧いていたりする場合は、汚れた部分を取り除くか、マットごと入れ替えて環境を整えてください。

クワガタの成虫飼育では、マットに汚れが目立つようなら交換するよう案内されており(月夜野きのこ園「クワガタ成虫飼育」)、留守明けはちょうど見直しのタイミングになります。

冬の越冬中にマットを交換する場合は、クワガタを起こしすぎないよう、表面だけを入れ替えるなど作業を最小限にするのが無難です。

菌糸ビンの幼虫については、ビンの外から見て幼虫の姿やフンの様子を確かめ、交換時期が近ければ予定どおり交換の準備に入りましょう。

次の留守に備えて飼育の記録をつける

オオクワガタやヒラタクワガタのように何年も飼う種類では、旅行のたびに同じ悩みが繰り返されるため、留守番の結果を簡単に記録しておくと役に立ちます。

記録しておきたいのは、留守にした日数、入れたゼリーの数と残り具合、置き場所と最高・最低の室温、マットの乾き具合、そして帰宅時のクワガタの様子の5つです。

これを季節ごとに残しておくと、「夏の5日間ならこの部屋でゼリー4個」「冬の1週間なら暖房のない北側の部屋で問題なし」といった、自分の家に合った基準ができていきます。

家族の誰が見ても同じ手順で準備できるように、記録と一緒に留守の準備リストをケースのそばに貼っておくと、急な出張が入ったときにも慌てずに対応できます。

世話を頼んだ場合は、頼んだ相手にもこの記録を見せておくと、クワガタの普段の様子を共有でき、世話の質がそろいやすくなります。

記録はノートでもスマートフォンのメモでもかまわないので、ケースの写真を1枚添えておくと、マットの色や乾き具合の変化もあとから見比べられます。

クワガタの旅行中の世話を頼む方法

アイノス本部

1週間を超える留守や、温度管理が必要な種類を飼っている場合は、誰かに途中の世話を頼むことを考えておくと、クワガタへの負担を減らせます。

ここでは、家族や知人に頼む場合と、ペットシッターに頼む場合に分けて、準備しておきたいことと確かめておきたいことを整理します。

家族や知人には種類と注意点を書いて渡す

クワガタの世話を家族や知人に頼むときは、種類の名前と、その種類ならではの注意点を紙に書いて渡しておくと、頼まれた側も迷わずに済みます。

たとえば「ヒラタクワガタなのでケースは別々のまま」「ニジイロクワガタは冬眠しないので室温を下げすぎない」「越冬中なので掘り起こさない」といった内容です。

作業としては、ゼリーの交換、マットの霧吹き、ひっくり返っていないかの確認、フタのロックの確認の4つを書いておけば、ほとんどの場面に対応できます。

「冬眠中はエサを食べていなくても心配しなくてよい」と一言添えておくと、昆虫に慣れていない人が、動かないクワガタを見て慌ててしまうのを防げます。

鍵の受け渡しや、留守中に家へ入ってもらうことをめぐる行き違いは、相手が家族や知人でも起こり得るので、どこまで入ってよいかも事前に決めておきましょう。

依頼をめぐって起こりやすい行き違いは、ペットシッターのトラブル事例と回避方法を徹底解説も参考になります。

ペットシッターが昆虫を扱うかは店舗で異なる

身近に頼める人が見つからないときは、飼い主の家に通ってペットの世話をするペットシッターも依頼先の候補になります。

ただし、ペットシッターの多くは犬や猫、小動物などの世話を中心にしており、クワガタのような昆虫の世話を引き受けるかどうかは店舗によって異なります。

店舗の案内に対応できる動物として魚や爬虫類は書かれていても、昆虫が書かれていないこともあり、対応する場合でもどこまでの作業を引き受けるかは店舗ごとに異なります。

問い合わせの段階で、クワガタの世話を頼めるかを具体的に確かめてください。

菌糸ビンの交換や外国産の温度管理のように、専門的な作業が含まれる場合は、その作業まで引き受けてもらえるかも確認しておくと、当日の行き違いを避けられます。

ペットシッターが普段どのような仕事をしているのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説で紹介しています。

第一種動物取扱業の登録は昆虫を対象にしていない

ペットシッターの信頼性を確かめる目安として、第一種動物取扱業(動物を扱う事業者が都道府県などに行う登録)の登録番号が挙げられることがあります。

環境省によると、この登録は動物の販売や保管などを業として行う場合に必要で、ペットシッターのように飼養施設を持たない事業者も対象になるとされています。

ただし、対象となる動物は実験動物・産業動物を除く哺乳類、鳥類、爬虫類とされています(環境省「動物取扱業の適正化」)。

動物愛護管理法の第10条も、登録が必要な取扱業の「動物」を「哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り」と定めていて(e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」)、クワガタのような昆虫は含まれていません。

登録の有無は、クワガタの世話に慣れているかどうかを判断する材料にはならないということです。

そのため、クワガタの世話を頼むときは、登録番号とは別に、昆虫の世話をした経験があるか、越冬中や菌糸ビンの扱いを知っているかを、打ち合わせの際に尋ねておくとよいでしょう。

昆虫の世話に対応するシッターを探す

クワガタの世話を頼める先を探すときは、ペットシッタープレミアムステージの「その他(魚・昆虫など)のお世話」のページに、魚や昆虫などに対応するペットシッターがまとめられています。

問い合わせは掲載されている各店舗のホームページから行う形になるため、連絡する際はクワガタの種類と頼みたい作業を具体的に伝えて、引き受けてもらえるかを確かめてください。

料金の計算方法や訪問できる時間帯、対応エリアは店舗によって違いますから、年末年始やお盆など依頼が集中しやすい時期は、日程が決まった段階で早めに相談しておくと調整しやすくなります。

依頼先を比べるときのポイントはペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントに、料金の考え方はペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説にまとめています。

まとめ

クワガタの旅行中の世話は、種類と季節によって準備の中身が大きく変わります。

ノコギリクワガタやミヤマクワガタは夏のあいだが飼育の中心で、とくにミヤマクワガタは暑さに弱いため、夏の旅行では家のなかで温度が上がりにくい場所へケースを移すことが最優先になります。

オオクワガタやコクワガタ、ヒラタクワガタは冬を越して数年生きることがあり、夏の暑さ対策に加えて、年末年始などの冬の旅行では暖房の効いていない部屋で静かに越冬させることがポイントです。

ヒラタクワガタのように気性の荒い種類は留守のあいだも1匹ずつ分け、ニジイロクワガタのように冬眠しない外国産は、冬の旅行でも温度とエサの管理が欠かせません。

エサは普段の減り方を見て数を決め、マットは握って形が残る程度に湿らせ、フタのロックと転倒防止材を出発直前に確かめておきましょう。

1週間を超える留守では、途中で誰かにエサとマットを見てもらうことを考え、菌糸ビンの幼虫は交換時期と旅行が重ならないように日程を調整してください。

世話を頼む先としてペットシッターを考える場合は、昆虫に対応するかどうかが店舗によって異なります。

魚・昆虫などのお世話に対応するペットシッターのなかから、クワガタの世話を頼めるかを問い合わせて確かめてみてください。

長く付き合うクワガタだからこそ、留守番の記録を残しながら、家族の予定とクワガタの暮らしを両立させていきましょう。

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佐藤弘幸

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佐藤弘幸

アイノス本部代表。日本最大手のペットシッターフランチャイズの最高責任者の経験を経て、
ペットシッターに関する記事執筆を担当。
自身も柴犬やキンクマと暮らした経験から、飼い主目線での情報発信を心がけています。
保有資格:ペットシッター士