ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始の帰省など、まとまった休みで家を空けることになったとき、メダカの餌をどうするかで手が止まってしまう方は多いのではないでしょうか。
メダカは小さな魚なので「1日でも餌を抜いたら弱ってしまうのでは」と心配になる一方で、ベランダの睡蓮鉢に入れっぱなしにしていても元気に泳いでいる姿を見ると、どこまで気にすればよいのか判断がつきにくいものです。
結論を先にいえば、体力のある健康な成魚なら、1週間前後は餌がなくても持ちこたえられると考えられています。
ただし、同じ1週間でも、屋外のビオトープで飼っているのか室内の水槽で飼っているのか、そして真夏なのか真冬なのかによって、出発前に整えておくべきことはかなり違ってきます。
この記事では、観賞魚用飼料メーカーのキョーリンが公開している屋外飼育のカレンダーや環境省の資料などをもとに、飼育スタイル別・季節別に留守番の準備を整理していきます。
グリーンウォーターや生き餌を使って留守中の餌を補う方法、よかれと思ってやりがちな失敗、そして長く家を空けるときに人の手を借りる方法まで取り上げるので、出発前の確認に役立ててください。
目次
メダカは旅行中に餌なしで何日過ごせる?

旅行の日程が決まったら、まず知っておきたいのは「メダカが餌なしでどのくらい過ごせるのか」という目安です。
ここでは成魚の目安となる日数を確認したうえで、その日数が季節や年齢によってどう変わるのかを見ていきます。
健康な成魚なら1週間ほどは餌がなくても過ごせる
観賞魚用品メーカーのGEXは、旅行で家を空けるときのコラムのなかで、1週間程度であれば金魚もメダカも成魚は餌を与えなくても大丈夫だと案内しています(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
メダカは体が小さいぶん蓄えも少なそうに見えますが、変温動物である魚は、人や犬猫のように体温を保つために多くのエネルギーを使う必要がありません。
そのため、2〜3日の週末旅行や、5日ほどの帰省であれば、健康な成魚が餌不足で弱ってしまうことはまずないと考えてよいでしょう。
飼育情報のなかには「7〜10日ほどなら大丈夫」「2週間近く耐えることもある」と紹介しているものもありますが、これはあくまで体力のある成魚が、餌の少なくてすむ条件で過ごした場合の話です。
「何日なら死なないか」ではなく「元気なまま帰りを待てるか」を基準に考えると、1週間という目安がちょうどよい線になります。
季節と水温で「何日大丈夫か」は変わる
メダカが必要とする餌の量は、一年を通して同じではありません。
キョーリンが公開している屋外飼育のカレンダーでは、盛夏の7〜9月は1日3〜4回、春の4〜5月は2〜3日に1回のごく少量から始め、冬は餌止めと、季節によって餌の回数が大きく変わるよう示されています(キョーリン「メダカの飼い方」)。
水温が高い夏は、メダカの動きが活発になり、そのぶん体のエネルギーも早く使われていくため、同じ日数の絶食でも体への負担が大きくなります。
反対に、水温が下がる冬はメダカがほとんど動かず、餌をまったく必要としない時期もあるため、冬の旅行では餌の心配はほぼいりません。
つまり、「1週間は大丈夫」という目安は春や秋の過ごしやすい時期を基準にしたもので、真夏はもう少し短めに、真冬はもっと長くても問題ないと考えておくと判断を誤りにくくなります。
季節ごとの具体的な考え方は、あとの章で詳しく紹介します。
針子や稚魚は数日の絶食でも弱りやすい
成魚の目安をそのまま当てはめられないのが、生まれたばかりの針子や、まだ体の小さい稚魚です。
キョーリンのよくある質問によると、孵化したばかりのメダカは、3日くらいはお腹のヨークサック(卵のう)の栄養で育つとされています(キョーリン「よくあるお問合せ」)。
裏を返せば、その栄養を使い切ったあとは、自分で餌を食べ続けないと体を保てないということです。
針子は口が小さく、一度に食べられる量もわずかなため、成魚のように何日も餌なしで待つことが難しく、キョーリンも泳ぎ出した稚魚には餌を少しずつ、1日に何回にも分けて与えるよう案内しています。
春から夏にかけての繁殖シーズンに家を空ける予定がある場合は、針子や稚魚を成魚とは分けて考え、あとで紹介するグリーンウォーターを用意したり、誰かに餌やりを頼んだりする準備が必要になります。
屋外飼育(ビオトープ)と室内飼育で違う留守番の考え方

メダカは、室内の水槽だけでなく、ベランダや庭に置いた睡蓮鉢やプランター、発泡スチロールの容器などで飼われることも多い魚です。
屋外と室内では、メダカが口にできる餌の量も、留守中に起こりやすいトラブルの種類も違うため、まずは自分の飼育スタイルに合わせて考え方を整理しておきましょう。
屋外のビオトープには自然の餌がある
水草や浮き草を入れて日の当たる場所に置いた屋外の容器は、水のなかに小さな生き物が自然に育つ環境になっています。
日光を受けて増える植物プランクトンや、水草の表面につくコケ、どこからかやってくるミジンコなどの小さな生き物は、メダカにとっておやつのような存在です。
こうした自然の餌があるため、屋外で飼っているメダカは、飼い主が餌をあげない日が続いても、室内の水槽に比べて痩せにくい傾向があります。
屋外で長く飼っている容器の水がうっすら緑色になっているなら、それは植物プランクトンが育っているしるしで、留守中の食べ物の足しになってくれます。
ただし、自然の餌の量は容器の大きさや日当たり、入れているメダカの数によって大きく違うため、「屋外だから何日でも平気」とは言い切れない点は覚えておいてください。
屋外で気をつけたいのは天気と外敵
屋外飼育で留守中に心配なのは、餌よりも天気の急な変化と、メダカを狙う生き物です。
夏の強い日差しを受けると、小さな容器ほど水温が一気に上がり、夕立やゲリラ豪雨のような大雨が降れば、容器から水があふれてメダカが流れ出てしまうこともあります。
台風が近づくと強い風で容器が倒れたり、飛んできた物が入ったりすることもあるため、天気予報を確認しながら置き場所を考える必要があります。
さらに、屋外の容器は鳥や猫、ヤゴなどに狙われることがあり、飼い主が毎日のぞいていれば気づける被害も、留守中は誰にも止められません。
このように、屋外の留守番では「餌が足りるか」よりも「容器のまわりで何が起きるか」に備えることが準備の中心になります。
室内の水槽は餌も水質も飼い主まかせ
室内の水槽で飼っているメダカは、雨や外敵の心配がない一方で、口にできる餌のほとんどを飼い主が与えるものに頼っているという違いがあります。
透明な水をフィルターできれいに保っている水槽ほど、植物プランクトンや小さな生き物は育ちにくく、留守中に自然の餌で補える量はわずかです。
また、窓を閉め切って出かけると部屋に熱がこもりやすく、GEXは閉め切った室内が35℃以上になることもあると注意を呼びかけています(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
室内だから外より涼しいとは限らず、とくに夏場は室温の管理が留守番の成否を分けるといってもよいでしょう。
飼育スタイル別に準備することを比べる
屋外と室内で気をつけることを、表にまとめました。
| 項目 | 屋外(ビオトープ・睡蓮鉢) | 室内(水槽) |
|---|---|---|
| 留守中の餌 | 植物プランクトンや小さな生き物で一部を補える | ほぼ飼い主が与えるものだけ |
| 水温の心配 | 日差しによる急な上昇、冬の凍結 | 閉め切った部屋での上昇 |
| 天気の影響 | 大雨によるあふれ、台風 | ほとんどない |
| 外敵 | 鳥・猫・ヤゴなど | ほとんどない |
| 主な準備 | 日よけ、水位の調整、網かけ | 室温管理、照明のタイマー |
自分の飼育スタイルがどちらに当てはまるかを確かめてから準備を始めると、必要なことだけを効率よく済ませられます。
屋外と室内の両方で飼っている方は、それぞれの容器ごとに表の右と左を見比べながら確認してみてください。
季節別に見る旅行中のメダカの餌と注意点

メダカの留守番では、季節によって「餌をどう考えるか」と「何に気をつけるか」がはっきり変わります。
ここでは、キョーリンの屋外飼育カレンダーを手がかりに、春・夏・秋・冬それぞれの考え方を整理しました(キョーリン「メダカの飼い方」)。
| 季節(目安の月) | カレンダー上の給餌 | 旅行中の餌の考え方 |
|---|---|---|
| 春(4〜5月) | 2〜3日に1回のごく少量から1日1回の少量へ | 数日〜1週間ほどは餌なしでも過ごしやすい |
| 初夏(6月) | 1日2回 | 1週間を目安に、稚魚がいれば別に考える |
| 盛夏(7〜9月) | 1日3〜4回 | 餌なしの日数は短めに考え、水温対策を優先 |
| 秋(10〜11月) | 1日2回から、11月は少量にして水温12℃で餌止めへ | 過ごしやすいが、冬に向けた体力づくりの時期 |
| 冬(12〜3月) | 餌止めの時期 | 餌の心配はほぼいらない |
カレンダーは屋外飼育を前提にしたものなので、室内でヒーターを使っている水槽では、季節よりも実際の水温を目安に読み替えてください。
春は餌を少しずつ増やしていく時期
春は、冬のあいだほとんど動かなかったメダカが、水温の上昇とともに少しずつ活動を始める季節です。
キョーリンのカレンダーでも、4〜5月は2〜3日に1回のごく少量から始めて、様子を見ながら1日1回の少量へ増やしていく時期とされています。
もともと餌の回数が少ない時期なので、ゴールデンウィークの数日間の旅行であれば、餌を与えられなくても大きな影響はないと考えられます。
ただし、冬を越したばかりのメダカは体力が戻りきっていないこともあるため、出発前に痩せている個体がいないかを確かめておくと、判断の材料になります。
春先は昼と夜の気温差が大きく、屋外の小さな容器では1日のなかで水温が大きく上下することがあるため、日当たりのよすぎる場所に置いているなら少し位置を見直しておきましょう。
夏は餌なしの日数を短めに考える
一年のなかで留守番にもっとも気を配りたいのが、お盆休みと重なる真夏です。
カレンダーでは7〜9月は1日3〜4回と、一年でいちばん餌の回数が多い時期にあたり、それだけメダカの体がエネルギーを使っていることが分かります。
飼育情報のなかには「夏に餌を抜けるのは2〜3日まで」と紹介しているものもあり、春や秋と同じ感覚で1週間放っておくのは避けたほうが無難です。
とはいえ、夏の留守で本当に怖いのは、餌が足りないことよりも、次に挙げる水温と水の変化のほうです。
高水温と酸欠に気をつける
真夏の屋外に置いた小さな容器は、直射日光を浴びると短い時間で水温が大きく上がり、メダカにとって過ごしにくい状態になります。
水温が上がると水に溶けていられる酸素の量が減るうえ、メダカの呼吸も早くなるため、高水温と酸欠が同時に進みやすいのが夏の特徴です。
屋外ならすだれやよしず、遮光ネットで容器の上に日陰を作り、室内なら水槽を置いた部屋の空調を動かしておくといった対策で、水温の上がりすぎを抑えられます。
容器に入れているメダカの数が多いほど酸素は早く減っていくため、夏の留守前には、ひとつの容器に詰め込みすぎていないかも確認しておきたいところです。
水の蒸発と急な大雨に備える
夏の屋外では、晴れの日が続くと水がどんどん蒸発して水位が下がり、容器が小さいほど水温の変化も大きくなっていきます。
出発前に水位をふだんより少し高めにしておくと、蒸発による水位の低下を和らげられます。
一方で、夏は夕立や台風による大雨も多く、水位を上げすぎていると、雨水で一気にあふれてメダカが外へ流れ出てしまうこともあります。
容器のフチから少し下に水面がくるように調整したり、あふれた水だけが外に出るよう容器のフチに切り込みを入れて網を張ったりしておくと、蒸発と大雨の両方に備えられます。
秋は冬に向けて体力をつける時期
秋は気温が落ち着き、メダカにとっても過ごしやすい季節で、旅行中の留守番としては春と並んで準備の負担が小さい時期です。
カレンダーでは10月は1日2回、11月は1日1回の少量から餌止めへと移っていき、冬を越すための体力を蓄える大切な時期にあたります。
数日の旅行であれば餌なしでも問題ありませんが、10月に長めに家を空けると、冬に向けて体をつくる期間がそのぶん短くなってしまいます。
長めの留守が重なる場合は、帰宅後に食べ具合を見ながら少しずつ給餌を再開し、11月に向けて自然に餌の量を減らしていく流れを意識しておきましょう。
冬は餌をほとんど必要としない
冬の旅行では、メダカの餌についてはほとんど心配いりません。
キョーリンは、水温が12℃以下のときは餌をまったく与えないか、1週間に1回ごく少量を与える程度にするよう案内しており、屋外飼育のカレンダーでも、11月に少しずつ減らして水温12℃になったら餌止めにする流れが示されています。
屋外のメダカは水温が下がると容器の底のほうでじっとして過ごすようになり、この時期に無理に餌を与えると、食べ残しが水を汚す原因になってしまいます。
冬に気をつけたいのは、年末年始の留守中に強い寒波がきて、浅い容器の水が凍りついてしまうことです。
屋外の容器は深さのあるものを選んで水量を確保し、寒さの厳しい地域では発泡スチロールの容器に移したり、夜間だけフタや板をかけて冷え込みを和らげたりといった工夫をしておくと、冬の留守を越えやすくなります。
出発前に多めに餌をあげるのが逆効果な理由

「しばらく会えないから」と、出発の直前にいつもより多く餌をあげたくなる気持ちは、メダカを大切にしている方ほど強いかもしれません。
しかし、この出発前のまとめ食べは、留守中のメダカを助けるどころか、かえって弱らせる原因になりやすい行動です。
メダカは胃がなく食いだめできない
GEXによると、金魚やメダカは胃を持たない魚で、一度にたくさん食べておいて少しずつ消化するような食いだめができないとされています(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
人が旅行前にたっぷり食べておくのと同じ感覚で餌を多く入れても、メダカの体には蓄えとして残らず、食べきれなかった分はそのまま容器の底に沈んでいきます。
キョーリンが示す餌の量の原則は、1回に5分以内で食べきれる量です(キョーリン「メダカの飼い方」)。
この量を超えて入れた餌は、メダカの栄養にならないばかりか、留守中の水を汚す材料になってしまうと考えてください。
同じページでは、メダカ20匹に与える1日分の目安として、顆粒タイプなら0.25ccのスプーンで0.8杯、フレークタイプなら2杯という量が示されています(全長25mm以上・水温20℃以上の場合)。
小さじ1杯が5ccであることを考えると、20匹分の1日量でさえ小さじのごく一部にすぎず、メダカが1回に食べられる量は、人が思っているよりずっと少ないことが分かります。
「数日分をまとめて」と指でつまんでぱらぱら入れただけでも、容器によっては何日分もの量になってしまうため、出発前こそ量を控えめにする意識が大切です。
小さな容器ほど水が傷みやすい
容器の底に沈んだ食べ残しは、時間とともに傷んで水を汚し、メダカが過ごしにくい環境を作っていきます。
メダカは小さな魚なので、睡蓮鉢やプラケース、小ぶりの水槽など、水量の少ない容器で飼われることが多いのも特徴です。
水量が少ない容器ほど、同じ量の食べ残しでも水の汚れ方は大きくなるため、数日のあいだに水が白く濁ったり、嫌なにおいがしたりすることがあります。
とくに夏場は食べ残しが傷むスピードも速く、高水温による酸素不足と水の汚れが重なると、メダカにとって厳しい状態が一気に進みます。
屋外のビオトープでは、水草やバクテリアがある程度の汚れを分解してくれますが、それにも限りがあることを覚えておいてください。
出発の前日と当日の過ごし方
出発前の餌やりは、「いつもどおりか、いつもより少なめ」を基本にしておくと失敗しません。
前日はふだんと同じ量を与え、5分たっても残っている餌があれば、スポイトなどで取り除いておきます。
当日の朝は、いつもどおり少量だけ与えるか、飼育情報で紹介されているように思い切って与えずに出発するという方法もあり、健康な成魚であればどちらを選んでも大きな差はありません。
大切なのは、出発のあわただしさのなかで家族が別々に餌をあげてしまい、気づいたら普段の何倍も入っていたという事態を避けることです。
誰が最後の餌やりをするかを決めておき、それ以外の人には「今日はもうあげなくていい」と伝えておきましょう。
留守中の餌を補う方法

1週間を超えて家を空けるときや、真夏の留守、針子や稚魚がいるときには、留守中にメダカが少しずつ口にできる餌を用意しておくと心強くなります。
メダカの場合は、人工の餌を機械で落とすよりも、水のなかで自然に育つ食べ物を活かす方法が取り入れやすいのが特徴です。
グリーンウォーターを育てておく
グリーンウォーターとは、植物プランクトンが増えて緑色に色づいた飼育水のことで、屋外でメダカを飼っている方にはなじみのある水です。
この植物プランクトンは、メダカ、とくに口の小さな針子や稚魚にとって食べやすい大きさの餌になるため、留守中の食べ物の足しとして役立つと飼育情報でも紹介されています。
作り方は難しくなく、日当たりのよい場所に飼育水を入れた容器を置いておくと、日光を受けて少しずつ緑色に変わっていきます。
ただし、色づくまでには日数がかかり、季節や日当たりによっても差が出るため、旅行の直前に思い立っても間に合わないことがあります。
留守の予定が分かった時点で、別の容器で育て始めておき、出発前に飼育容器の水の一部と入れ替えるといった段取りを組んでおくと、慌てずに使えます。
一方で、緑が濃くなりすぎると水のなかの様子が見えにくくなり、夜間に植物プランクトンが酸素を使うことで酸素が減りやすくなるともいわれるため、色は薄い緑くらいにとどめておきましょう。
ミジンコなどの生き餌を入れておく
ミジンコなどの生きた餌を容器に入れておく方法も、メダカの留守番でよく使われる工夫のひとつです。
生きている餌は、食べられるまで水のなかで泳いでいるため、人工の餌のように沈んで傷み、水を汚してしまう心配が小さいという利点があります。
飼育情報では、タマミジンコなどのミジンコを数百匹単位で入れておく方法が紹介されており、グリーンウォーターと組み合わせると、ミジンコ自身も植物プランクトンを食べて増えることがあります。
ただし、ミジンコはメダカに食べ尽くされることもあれば、水温が高すぎると弱ってしまうこともあるため、「入れておけば何日でも大丈夫」とは言い切れません。
生き餌は、あくまで留守中の餌を補う手段のひとつとして考え、季節や日数に応じてほかの方法と組み合わせるのが現実的です。
浮き草や水草を増やしておく
屋外の容器に浮き草や水草を入れておくことも、留守中のメダカを助けることにつながります。
ミジンコウキクサのようなごく小さな浮き草は、メダカがついばんで食べることがあると紹介されているほか、浮き草の根や水草の葉の表面には小さな生き物がつき、メダカの食べ物になります。
浮き草は水面に日陰を作ってくれるため、夏の直射日光による水温の上昇を和らげるはたらきも期待できます。
ただし、浮き草が水面をすき間なく覆うほど増えると、水面から酸素が溶け込みにくくなったり、メダカが泳ぐ場所が狭くなったりするため、水面の一部が開いた状態を保つように間引いておくとよいでしょう。
新しく買ってきた水草を出発の直前に入れると、ついてきた貝や虫が増えたり、傷んだ葉が水を汚したりすることもあるため、入れるなら出発の1〜2週間前までに済ませておくのが無難です。
自動給餌器は室内向けの道具と考える
決まった時刻に人工の餌を落としてくれる自動給餌器は、メダカにも使える道具です。
ただし、多くの製品は電池で動く電子機器で、水槽のフチに取り付けることを前提に作られているため、雨や直射日光を受ける屋外の容器ではトラブルが起きやすくなります。
メダカの自動給餌器は、室内の水槽で使う道具と考えておくと失敗が少なくなります。
室内で使う場合も、1回に出る量を控えめに設定し、出発前に何日か試運転をして、食べ残しが出ないことを確かめておくことが大切です。
飼育情報のなかには、故障や餌の湿気による詰まりを理由に留守中の使用をすすめないものもあるため、使うかどうかは留守の日数と水槽の大きさを見て判断してください。
出発前にやっておきたい準備

家を空けているあいだは容器に手を出せないため、出かける前の数日間にどこまで整えられるかが、留守番のできを左右します。
ここでは、水換え、屋外の日よけと水位、室内の照明と空調、そして容器あたりの数という4つの観点から、出発前に確認したいことをまとめました。
水換えは量を増やさず少し前倒しする
留守の前にやっておきたい水換えですが、ポイントはいつもと同じ量を、いつもより少し早めに行うことです。
キョーリンは夏場について、週に1回まめに水換えをするよう勧めており、この頻度で水換えをしている方なら、ふだんの予定を出発の前日から数日前にずらしておくと、きれいな水の状態で出かけられます(キョーリン「メダカの飼い方」)。
しばらく水換えができないからといって、容器の水をすべて入れ替えたり、半分以上を一度に換えたりすると、水温や水質が急に変わってメダカが体調を崩すおそれがあります。
グリーンウォーターで飼っている容器では、せっかく育った植物プランクトンまで捨ててしまうことになるため、水換えの量は控えめにして、減った分を足す程度にとどめる方法もあります。
新しく入れる水は、水道水ならカルキ抜きをして、容器の水と温度を合わせてから入れるようにしましょう。
屋外は日よけと水位を調整する
屋外の容器では、出発前に日よけの設置と水位の調整を済ませておきます。
夏場は、すだれやよしず、遮光ネットを容器の上に渡して、日中の直射日光が一日中当たり続けないようにしておくと、水温の上がりすぎを抑えられます。
日よけで容器を完全に覆ってしまうと、今度は植物プランクトンが育ちにくくなるため、容器の一部に日が差し込む程度に調整するのがちょうどよいバランスです。
水位は蒸発を見越して少し高めにしつつ、大雨であふれない程度に余裕を残しておき、鳥や猫が来る場所であれば、容器の上に網をかけておくと被害を防ぎやすくなります。
室内は照明とエアコンを確認する
室内の水槽では、照明と室温の2つを中心に確認しておきます。
キョーリンは、メダカは水温の変化が苦手なので、直射日光や冷暖房の影響が少ない明るい場所に置くよう案内しています(キョーリン「メダカの飼い方」)。
雨戸やカーテンを閉め切って出かけると水槽のまわりが一日中暗くなり、メダカの生活リズムが崩れやすくなるため、照明をタイマーにつないで、朝から夕方まで決まった時間だけ点くようにしておくと安定します。
夏場はエアコンをタイマーや弱めの設定で動かしておき、冬場にヒーターを使っている水槽ではヒーターがしっかり水に沈んでいるかを確かめてから出かけましょう。
容器あたりの数を見直す
意外と見落としやすいのが、ひとつの容器に入っているメダカの数です。
キョーリンのよくある質問では、30cm水槽であれば20〜30匹くらいが目安とされています(キョーリン「メダカQ&A」)。
春から夏にかけて卵がかえって数が増えた容器では、いつの間にかこの目安を大きく超えていることがあり、その状態で留守にすると、水の汚れと酸素不足が早く進みます。
出発前に数が増えすぎている容器があれば、別の容器に分けておくと、留守中の負担を軽くできます。
分けた容器も環境に慣れるまでに時間がかかるため、出発の直前ではなく、少なくとも数日から1週間前には移し終えて、元気に泳いでいるかを見届けておきましょう。
旅行中のメダカのお世話でやってはいけないこと

準備をひと通り終えたら、よかれと思ってやったことが、かえってメダカを弱らせる結果にならないかを見直しておきましょう。
ここでは、メダカの留守番でとくに起こりやすい3つの失敗を取り上げます。
容器にフタをして密閉する
屋外の容器が大雨であふれたり、鳥や猫に狙われたりするのを防ごうとして、容器にぴったりフタをして出かけたくなることがあります。
しかし、フタで容器を密閉すると、夏場は熱がこもって水温が上がりやすくなり、水面から酸素が溶け込む量も減ってしまいます。
飼育情報でも、天気予報を気にして完全に密閉すると、高水温でかえって弱らせてしまうおそれがあると注意されています。
雨や外敵への備えとしては、フタではなく目の細かい網をかけたり、すだれを渡したりして、空気と光が通る状態を保つのが基本です。
冬に冷え込みを和らげるために板をかける場合も、容器全体をふさがず、すき間を残しておくようにしましょう。
家族に「毎日たっぷり」と頼む
自分は旅行に出るけれど家族が家に残る、あるいは近所の親戚にのぞいてもらうというケースでは、餌のあげすぎに気をつける必要があります。
ふだんメダカの世話をしていない人は、どのくらいの量が適量なのかが分からないため、「かわいそうだから」と多めに入れてしまいがちです。
飼育情報でも、飼育に慣れていない人に頼むと給餌が多くなりやすいため、「餌はあげなくてよい」とはっきり伝えるほうが無難だと紹介されています。
頼むときは、「成魚には餌をあげなくてよい」「あげるなら2〜3日に1回、指先でひとつまみの半分くらい」のように、回数と量を具体的に伝えておくと行き違いを防げます。
水が減っていたらカルキを抜いた水を足してほしい、網が外れていたら直してほしい、といった餌以外のお願いも、メモにして渡しておくと伝わりやすくなります。
増えすぎたメダカを川や池に放す
長い旅行や引っ越しをきっかけに「世話をしきれないから、近くの川に放してあげよう」と考えるのは、してはいけない行動です。
キョーリンのよくある質問でも、メダカが増えすぎても川や池に放してはいけないとはっきり書かれています(キョーリン「メダカQ&A」)。
野生のメダカは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類とされている魚です。
環境省は、生息している地域の異なるメダカを放流すると、もともとその土地にいたメダカと交雑して、地域ごとの遺伝的な多様性が失われてしまうと説明しています(環境省「絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全 メダカ」)。
ペットショップやホームセンターで買ったメダカや、色や形を改良したメダカを放すことは、自然のためにもならず、放されたメダカ自身も生き延びられるとは限りません。
屋外の容器で増えたメダカは、1回の産卵で数が大きく増えることもあるため、「増えたら放せばいい」ではなく、飼える数に合わせて容器を増やすか、ゆずり先を早めに探しておくことが、長く飼い続けるうえでの備えになります。
世話を続けるのが難しくなったときは、メダカを飼っている知人にゆずったり、この記事で紹介するように人に世話を頼んだりする方法を考えてみてください。
日数が長い場合はペットシッターに頼む選択肢

2週間を超える長期の旅行や出張、真夏の長い帰省、針子や稚魚がいる時期の外出などでは、グリーンウォーターや生き餌だけで留守を乗り切るのが難しくなることがあります。
そんなときは、日数が長い場合の選択肢として、自宅に来てメダカの世話をしてくれる人に頼む方法も考えてみてください。
人に頼むと何ができるか
人に世話を頼むいちばんの利点は、天気や水の状態に合わせて、その場で手を加えてもらえることです。
屋外の容器であれば、猛暑日に日よけを追加してもらったり、大雨のあとにあふれていないかを確かめてもらったり、蒸発した分の水を足してもらったりと、道具では代わりのきかない対応ができます。
餌についても、成魚には控えめに、針子や稚魚には少量をこまめにと、年齢に合わせて与え方を変えてもらえるため、長い留守で痩せてしまうことを防ぎやすくなります。
メダカは容器ごと運ぶと水温や水質の変化で負担がかかりやすいため、いつもの場所に置いたまま世話をしてもらえる形は、メダカの暮らし方に合った方法といえます。
訪問時にどんな作業を頼めるのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説を読むと具体的にイメージできます。
頼むときに伝えておきたいこと
メダカは容器が複数に分かれていることが多いため、どの容器に何をしてほしいのかを、容器ごとに書き分けて渡すのがコツです。
- 容器の場所と数、それぞれに入っているメダカの数(成魚・稚魚・針子の区別)
- 餌の種類と量、与える頻度(成魚はあげなくてよいか、稚魚にはどうするか)
- 水が減ったときに足す水の用意(カルキ抜きの方法と置き場所)
- 日よけや網の位置と、外れていたときの直し方
- 室内の水槽なら、照明のタイマーとエアコンの設定、触ってよい範囲
- 卵を産みつけた水草の扱い(そのままにするか、別の容器に移すか)
- 相談できる購入先の専門店の連絡先
容器ごとの写真を撮って、ふだんの水の色やメダカの様子と一緒に共有しておくと、世話をする人が変化に気づきやすくなります。
どの店舗に頼むかで迷ったときは、ペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントで比べるときの観点を整理しています。
初めて家に人を入れることに不安がある方は、ペットシッターは怖い?失敗しない選び方と注意点も参考にしてみてください。
メダカのお世話に対応するシッターを探す
ペットシッターが受けている動物の種類は事業者によってさまざまで、魚のお世話に対応しているかどうかも店舗ごとに異なります。
ペットシッタープレミアムステージには、「その他(魚・昆虫など)」という動物の種類の区分があり、メダカのような魚の世話を受けている店舗をまとめて確認できます。
一覧で各店舗の対応内容を見比べ、依頼したい店舗が見つかったら、その店舗へ直接問い合わせる仕組みです。
魚の世話を受けているかどうかも、訪問できる時間帯や対応エリア、料金も店舗ごとに異なりますので、ベランダや庭の容器の世話、稚魚への給餌まで頼めるかは、問い合わせのときに確認してください。
費用がどう決まるのかを先に知っておきたい方は、ペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説で計算の考え方を確認できます。
メダカの旅行中の餌に関するよくある質問

ここからは、旅行の前にメダカの飼い主さんが迷いやすい場面を、質問の形で取り上げていきます。
お盆休みの1週間は餌なしで大丈夫?
健康な成魚であれば、1週間ほどは餌がなくても過ごせるとされていますが、お盆の時期は一年でいちばん餌の回数が多い盛夏にあたるため、春や秋と同じようには考えないほうが無難です。
屋外のビオトープで植物プランクトンや小さな生き物が育っている容器なら、自然の餌で補える部分もありますが、透明な水の室内水槽では、1週間の絶食はメダカにとって負担が大きくなりがちです。
お盆に1週間家を空けるなら、グリーンウォーターや生き餌を用意する、途中で誰かに様子を見てもらうといった方法を組み合わせ、あわせて日よけや空調で水温対策をしておくことをおすすめします。
卵や針子がいるときに家を空けるなら?
繁殖シーズンに家を空ける場合は、卵と針子を成魚とは分けて考える必要があります。
親のメダカは卵や針子を食べてしまうことがあるため、卵を産みつけた水草は出発前に別の容器へ移しておくと、留守中に数が減るのを防ぎやすくなります。
針子は孵化後3日くらいはヨークサックの栄養で育ちますが、泳ぎ出したら餌が必要になるため、グリーンウォーターの容器で育てておくか、人に少量ずつ餌を与えてもらう方法を考えておきましょう。
卵は水温によってかえるまでの日数が変わるため、出発の数日前に採った卵が留守中にかえることも珍しくありません。
卵を移した容器は、日陰になりすぎない場所に置いて植物プランクトンが育ちやすい状態にしておくと、留守中にかえった針子が最初の食べ物にありつきやすくなります。
逆に、留守中に針子が生まれると困るという場合は、出発前の数日間は卵を採らずにそのままにしておき、帰宅してから繁殖を再開するという割り切り方もあります。
ヒーターを入れた室内水槽は冬でも餌が必要?
屋外飼育のカレンダーでは冬は餌止めの時期にあたりますが、これは水温が下がってメダカがほとんど動かなくなることを前提にしたものです。
ヒーターで水温を保っている室内の水槽では、冬でもメダカは活発に泳ぎ、春や秋と同じように餌を食べます。
キョーリンは、水温20℃以下で餌を徐々に減らし、水温12℃以下でまったく与えないか週1回ごく少量にする目安を示しています(キョーリン「メダカの飼い方」)。
そのため、ヒーターを使っている水槽は季節ではなく水温で判断し、春や秋と同じく1週間ほどを目安に考えるのが自然です。
冬の留守中にヒーターが止まると水温が急に下がるおそれがあるため、出発前にはヒーターの設定温度と、本体が水にしっかり沈んでいるかを確かめておきましょう。
帰宅したらまず何をすればいい?
旅行から帰ったら、餌をあげる前に、まず容器の様子とメダカの数を確認しましょう。
水が白く濁っていたり、嫌なにおいがしたりする場合は、いつもと同じ量の水換えをして、水の状態を整えることを優先します。
メダカが元気に泳いでいれば、最初はふだんより少ない量から餌を再開し、食べ具合を見ながら数日かけていつもの量に戻していくと、急な給餌による水の汚れを防げます。
屋外の容器では、網や日よけがずれていないか、大雨で水があふれた跡がないかもあわせて確認し、気になる様子のメダカがいれば購入した専門店などに相談してみてください。
まとめ

メダカの旅行中の餌について、ポイントを振り返ります。
成魚が餌なしで持ちこたえられるのは1週間前後が目安で、2〜3日の週末旅行や数日の帰省なら、餌の心配はほとんどいりません。
ただし、その目安は季節によって変わり、盛夏は餌なしの日数を短めに、冬は餌をほとんど必要としないと考えておくと判断しやすくなります。
屋外のビオトープでは自然の餌を活かせる一方で、天気や外敵への備えが中心になり、室内の水槽では室温と照明の管理が大切になります。
出発前に餌を多めにあげるのは逆効果で、胃のないメダカは食いだめができず、食べ残しが小さな容器の水を汚してしまうため、いつもどおりか少なめにとどめてください。
留守中の餌を補いたいときは、グリーンウォーターや生き餌、浮き草を早めに用意しておき、針子や稚魚がいる場合は成魚とは分けて準備しましょう。
日数が長い場合や真夏の留守では、道具だけに頼らず、人に様子を見てもらう方法もあわせて考えてみてください。
魚の世話を頼める先を探すなら、ペットシッタープレミアムステージの「その他(魚・昆虫など)」の区分から、屋外の容器まで見てもらえるかを店舗ごとに確かめてみてください。
季節と飼育スタイルに合わせた準備をしておけば、帰宅したときにいつもどおり泳ぐメダカの姿に会える可能性はぐっと高まります。







