カブトムシは旅行中どうする?留守の日数別の準備と対策

夏休みに入ってカブトムシを飼い始めたものの、お盆の帰省や家族旅行の予定が近づいてきて「このまま家に置いていって大丈夫だろうか」と迷っている方は多いのではないでしょうか。

カブトムシの成虫が元気に動き回る時期は、ちょうど学校が休みになり、家族で家を空ける日が増える時期とぴったり重なります。

犬や猫のように毎日の散歩やトイレの世話が要るわけではないため、数日くらいなら平気だろうと考えがちです。

しかし、真夏の閉め切った部屋に置いたまま出かけると、戻ったときに弱っていたという話も少なくありません。

カブトムシの留守番がうまくいくかどうかは、エサの量と部屋の暑さでほぼ決まります。

この記事では、旅行中にカブトムシが弱る原因を整理したうえで、出発前にやっておく準備と、留守にする日数ごとの対策を順番にまとめました。

幼虫を育てている場合の管理や、帰省先へ連れていく場合の車や電車での注意点、そして家族や友人、ペットシッターに世話を頼む方法についても触れていきます。

ペットシッターが昆虫の世話を扱うかどうかは店舗によって異なるため、その確かめ方も含めてお伝えします。

目次

カブトムシを飼っていても旅行には行ける?

結論からお伝えすると、カブトムシを飼っていても、出発前の準備をきちんとしておけば旅行や帰省に出かけることはできます。

ただし「何日まで大丈夫」と日数だけで判断するのは危なく、同じ3日間の留守でも、エアコンの効いた部屋に置くのか、西日の入る部屋に置くのかで結果は大きく変わります。

ここではまず、カブトムシの一生のなかで旅行の時期がどこに当たるのかと、留守の可否を左右する条件を確認しておきましょう。

成虫が活動する時期は夏休みやお盆と重なる

国産のカブトムシは、卵から成虫になって一生を終えるまでがおよそ1年で、そのうち成虫として活動する期間は約2〜3か月しかありません(月夜野きのこ園「国産カブトムシ飼育マニュアル」)。

卵から幼虫の期間が約10か月、蛹の期間が約3週間と続き、常温では6月10日から7月10日ごろにかけて成虫になるとされています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

つまり、カブトムシの成虫と過ごせるのは、ほぼ夏休みの期間だけということになります。

お盆の帰省や家族旅行が集中する7月下旬から8月は、カブトムシが成虫として毎日エサを食べて活動している時期にあたるため、留守中の備えをしないまま出かけることは避けたいところです。

また、8月になると徐々に寿命が近づいてくると紹介されているため(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)、夏の終わりの旅行では、準備をしていても留守のあいだに命を終えてしまう場合があることも頭に置いておいてください。

留守にできる日数はエサと暑さで変わる

飼育情報のなかには「エサさえあれば3〜4日は世話をしなくても大丈夫」という紹介もあります(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)。

一方で、飼育者の体験談を見ても、問題なく留守番できた日数は家庭ごとにばらつきがあり、日数だけで一律に線を引くことはできません。

違いを生むのは主に3つの条件で、ひとつ目はケースに残っているエサの量、ふたつ目は留守中に部屋の温度がどこまで上がるか、みっつ目はマットの湿り具合です。

エサが十分に残っていても、部屋が35℃を超えるような状態が続けば弱ってしまうことがあるため、日数より先に「置き場所の暑さ」を考えるのが順番として自然です。

そのうえで、エサが切れないだけの量を入れ、マットが乾かないように整えておけば、数日の旅行には対応しやすくなります。

成虫と幼虫で留守の考え方が違う

カブトムシを飼っている家庭では、成虫だけでなく、成虫が産んだ卵からかえった幼虫を育てているケースもよくあります。

成虫は毎日のようにゼリーを食べるため、留守中の心配はエサ切れと暑さが中心になりますが、幼虫はマットそのものを食べて育つので、毎日の世話はほとんど必要ありません。

幼虫のマット交換は3か月ほどが目安とされていて(月夜野きのこ園「カブトムシ幼虫飼育」)、数日の旅行で困る場面は成虫に比べてずっと少なくなります。

旅行前の準備に手をかけるべきなのは、主に成虫のほうだと考えてよいでしょう。

幼虫を育てている場合の注意点は、後ほど「幼虫を飼っているときの旅行中の管理」でくわしく取り上げます。

旅行中のカブトムシが弱る原因

準備の中身を決める前に、留守中のカブトムシがどんな理由で弱ってしまうのかを知っておくと、何を優先すればよいかが見えてきます。

原因は大きく分けて、部屋の暑さ、マットの状態、エサ、そしてケースの中で起きるトラブルの4つです。

真夏の室温と直射日光

留守中のカブトムシにとっていちばん大きな負担になるのは、閉め切った部屋の温度が上がりすぎることです。

成虫の管理温度はおよそ20〜28℃の間が目安とされ、とくに夏場の高温に注意し、直射日光の当たらない場所で管理するよう案内されています(月夜野きのこ園「カブトムシの成虫飼育」)。

ホームセンターの飼育ガイドには、直射日光が当たると10〜20分で死んでしまうという注意書きもあり(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)、窓際に置いたまま出かけることは避けなければなりません。

カブトムシは夏の虫なので暑さに強いと思われがちですが、野生の個体は昼間は土や落ち葉の下に潜り、涼しい夜に活動しているため、日中の高温にさらされ続ける環境には向いていないのです。

人がいない家はエアコンも換気扇も止まり、窓も閉め切られるので、普段は問題のない部屋でも、留守中は想像以上に暑くなることを前提にしておきましょう。

マットの乾燥と蒸れ

ケースに敷いたマットは、カブトムシが潜って休む寝床であり、体の水分を保つための湿り気を供給する場所でもあります。

普段は霧吹きで毎日のように湿らせている家庭でも、数日間まったく手を入れなければ、表面から乾いてパサパサの状態になってしまいます。

反対に、乾燥を心配して水を入れすぎると、気温の高い部屋ではケースの中が蒸し風呂のような状態になり、ダニやカビ、コバエが増える原因にもなります。

マットの水分は、握ると形が残り、水が染み出てこないくらいがちょうどよいとされています(月夜野きのこ園「カブトムシの成虫飼育」)。

乾きすぎも湿りすぎも避けるという加減が、留守中の管理でいちばん難しいところだといえます。

エサ切れとゼリーの傷み

カブトムシの成虫はよく食べる虫で、小さめの昆虫ゼリーなら一晩で1匹2個くらい食べることもあると紹介されています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

食べる量には個体差があり、体の大きなオスや産卵期のメスはとくに食欲が旺盛なので、普段の減り方を見ておかないと留守中に足りなくなることがあります。

また、真夏の室温ではゼリーの表面が乾いて固くなったり、ひっくり返された中身がマットに染み込んで傷んだりするため、量を入れるだけでなく、傷みにくい置き方をすることも大切です。

リンゴやバナナなどの果物は、夏場の部屋では傷みやすいうえ、においにつられてコバエが集まりやすくなるので、留守中のエサには向きません。

ケースからの脱走とケンカ

カブトムシは体の割に力が強く、フタのすき間を押し広げてケースの外へ出てしまうことがあります。

DCMの飼育ガイドでも、フタがきっちり閉まるケースを選ぶよう注意書きがあり、カブトムシは1kmくらい飛ぶことができると紹介されています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

家にいれば脱走に気づいてケースへ戻せますが、留守中に部屋へ出てしまうとエサにも水分にもたどり着けず、そのまま弱ってしまいます。

もうひとつ見落としやすいのが、同じケースで複数の成虫を飼っている場合のケンカです。

1ケースに2匹以上で飼うとケンカをして弱ってしまうことがあるとされています(月夜野きのこ園「カブトムシの成虫飼育」)。

エサが減ってくると奪い合いが起きやすくなるため、人の目が届かない留守中ほど、このリスクは大きくなると考えておきましょう。

さらに、カブトムシはひっくり返ると、つかまるものがなければ自力で起き上がれないことがあり、もがき続けて体力を使い果たしてしまうこともあります。

出発前にやっておく準備

「事前準備」と書かれたノートとペン(出発前にやっておく準備のイメージ)

弱る原因が分かったところで、ここからは出発の前日から当日の朝にかけてやっておきたい準備を、順番に見ていきます。

どれも特別な道具がなくてもできることばかりなので、旅行の準備リストのなかに「カブトムシの準備」を1行加えておくと、慌ただしい出発前でも抜けにくくなります。

ゼリーは頭数と日数から数を決める

留守中のエサの量は、飼っているカブトムシの頭数と、家を空ける日数から逆算して決めます。

目安としては「頭数×留守にする日数」に、予備として1〜2個を足した数を入れておくと、よく食べる個体がいても途中で足りなくなりにくくなります。

たとえばオス1匹とメス1匹を別々のケースで飼っていて3泊4日の旅行に出るなら、1ケースあたり4〜6個を入れておく、という考え方です。

ただし、普段から1日に2個以上食べている個体なら、その分だけ数を増やしておく必要があるので、出発の数日前からゼリーの減り方を見ておくと判断がしやすくなります。

ゼリーのフタは十字に切っておく

昆虫ゼリーは、フタを全部はがしてしまうと表面が乾きやすく、カブトムシが角や脚を入れてかき回したり、容器ごとひっくり返したりして、中身がマットにこぼれてしまいます。

そこで、フタははがさずにカッターで十字の切れ目を入れておくと、飛び散りが少なくなり、マットが汚れにくくなるとされています(月夜野きのこ園「国産カブトムシ飼育マニュアル」)。

切れ目から少しずつ食べる形になるので、1個のゼリーが長持ちしやすく、乾燥や傷みも遅らせることができます。

ゼリーを倒されないように、穴の開いたエサ皿や止まり木のくぼみに差し込んでおくと、留守中にまとめてこぼされる心配も減らせます。

果物は留守中のエサに向かない

普段はスイカやリンゴ、バナナなどの果物を与えている家庭もありますが、留守中のエサとしては昆虫ゼリーに切り替えておくほうが無難です。

果物は夏の部屋では傷むのが早く、発酵したにおいでコバエが集まり、帰宅したら部屋じゅうにコバエが飛んでいたという事態にもなりかねません。

なかでもスイカは、お腹をこわしやすく、マットをべとべとに汚してしまうとして、飼育ガイドでも注意が書かれています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

マットを湿らせて厚めに敷く

エサの次に整えておきたいのがマットで、出発の前日か当日の朝に、表面が乾いていないかを手で触って確かめておきます。

乾いていれば霧吹きで少しずつ水を足し、握って形が残り、水が染み出てこないくらいの湿り気になるように調整してください。

普段よりマットを少し厚めに敷いておくと、下のほうに水分が残りやすくなり、カブトムシが潜って暑さや乾燥をしのぐ場所も確保できます。

フタの通気穴が大きいケースでは、ケースとフタのあいだに新聞紙や小さな穴をあけたビニールシートをはさむと、乾燥とコバエの侵入を防げると案内されています(月夜野きのこ園「カブトムシの成虫飼育」)。

ただし、すき間をふさぎすぎると空気がこもって蒸れやすくなるため、完全に密閉するのではなく、通気を残しておくことを忘れないでください。

ケースを家のなかの涼しい場所に移す

置き場所は、留守中の暑さを左右するもっとも大切な要素です。

日が差し込む窓際や、西日が入る部屋、家電の上などは避け、家のなかで一日を通していちばん温度が上がりにくい場所を選んでケースを移しておきます。

北側の部屋の床に近い場所や、玄関、浴室の脱衣所などは比較的温度が上がりにくいことが多いので、出発の数日前に温度計を置いて確かめておくと判断の材料になります。

フタのロックと転倒防止材を確かめる

出発直前には、フタがしっかり閉まってロックがかかっているかを、目で見るだけでなく手で触って確かめてください。

フタのツメが割れていたり、ゆるんでいたりすると、力の強いオスが押し開けてしまうことがあるので、心配な場合はマスキングテープなどで固定しておくと、押し開けられる心配を減らせます。

ケースの中には、樹皮や木片、止まり木などの転倒防止材が入っているかも確認しておきます。

ひっくり返ったときにつかまるものがあるだけで、留守中に起き上がれないまま弱ってしまうリスクを減らせます。

オスとメスや複数の成虫は分けておく

普段は1つのケースでオスとメスを一緒に飼っている場合でも、留守にするあいだは別々のケースに分けておくことをおすすめします。

エサをめぐるケンカを避けられるのに加えて、交尾や産卵で体力を消耗させずに済むため、留守中に弱るリスクを抑えやすくなるからです。

るるぶKidsの記事でも、繁殖させる予定がなければオスとメスを別々に飼うことで、11月近くまで長生きすることもあると紹介されています(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)。

ケースを増やすのが難しい場合は、少なくともケースの中にエサ場を複数つくり、1匹がエサを独占しないようにしておくとよいでしょう。

留守にする日数別の対策

準備の基本は同じでも、何日家を空けるかによって、どこまで手をかけるべきかは変わってきます。

ここでは1〜2泊、3〜4日、5日以上の3つに分けて、それぞれで意識したい点を整理しました。

なお、ここで示す日数の区切りは目安であり、同じ日数でも部屋の暑さやカブトムシの状態によって結果は変わることを前提に読み進めてください。

留守の日数エサ置き場所・温度誰かに見てもらうか
1〜2泊普段より多めに入れる家のなかの涼しい場所へ移す準備だけで出かける家庭が多い
3〜4日頭数×日数+予備を入れる室温が上がらない工夫を重ねる猛暑の時期なら検討する
5日以上ゼリーが傷む前に入れ替えが必要温度の変化を人が確かめたい頼める人を探しておく

1〜2泊の場合

1泊や2泊の短い旅行であれば、ここまで紹介した準備を済ませておくことで、特別な手配をせずに出かける家庭が多いといえます。

ゼリーを普段より多めに入れ、マットの湿り気を整え、ケースを涼しい場所へ移しておけば、2日程度でエサが切れたりマットが乾ききったりすることはあまりありません。

ただし、猛暑日が続いている時期に西日の入る部屋しか置き場所がない場合は、たとえ1泊でも室温の上がり方に注意が必要です。

短い留守ほど「このくらいなら大丈夫」と準備を省きがちになるので、置き場所の移動とフタの確認だけは日数にかかわらず済ませておきましょう。

帰省先が近く、日帰りに近い形で一度家に戻れる場合は、途中でゼリーの減り具合とマットの状態を見ておくと、次の留守の参考にもなります。

3〜4日の場合

3泊4日前後の旅行では、エサの量と暑さ対策の両方を、1〜2泊のときより一段厚くしておく必要があります。

ゼリーは頭数と日数を掛けた数に予備を加えて入れ、容器が倒されないようにエサ皿や止まり木で固定しておきましょう。

マットは普段より厚めに敷き、下のほうに水分を多めに残すようにしておくと、表面が乾いてもカブトムシが潜って湿り気のある層に移動できます。

置き場所については、温度計を置いて、日中にどこまで室温が上がる部屋なのかを出発前に一度確かめておくと判断の材料になります。

日中に30℃を大きく超えるような部屋しか選べない場合や、猛暑日の予報が続いている場合は、家族や近所の知人に一度様子を見てもらえないかを相談しておくと心強いでしょう。

5日以上の場合

5日以上家を空ける場合は、準備だけでまかなうのが難しくなってくるため、途中で誰かに様子を見てもらう方法を考えておきたいところです。

日数分のゼリーを入れておいても、夏の室温では日が経つにつれて中身が乾いたり傷んだりするため、後半になるほど食べられる状態のエサが減っていきます。

マットも日を追うごとに乾いていき、食べこぼしや排せつ物がたまることでケースの中の環境は少しずつ悪くなっていきます。

途中で一度でもゼリーを入れ替え、マットに霧吹きをしてもらえるだけで、留守の後半の負担は大きく変わります。

頼める家族や友人がいない場合は、昆虫の世話に対応しているペットシッターを探すという方法もあるので、記事の後半で探し方をくわしく紹介します。

どうしても誰にも頼めない場合は、帰省先へ連れていくことも選択肢になります。

ただし移動そのものが負担になる点もあるため、後ほど「カブトムシを旅行先や帰省先に連れていく場合」で注意点を確認してから判断してください。

幼虫を飼っているときの旅行中の管理

成虫に比べると、幼虫は留守中の世話がほとんどいらない時期が長く、旅行の計画を立てやすい段階だといえます。

とはいえ、旅行に出る季節によって幼虫の状態は大きく違うため、夏休み、年末年始、そして蛹になる前後の初夏という3つの時期に分けて注意点を見ていきます。

夏休みの幼虫は卵からかえったばかりの時期

オスとメスを一緒に飼っていると、7〜8月にかけてメスがマットの中に卵を産み、10日間くらいでふ化するとされています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

つまり、お盆の帰省の時期には、成虫のケースのマットの中に、まだ小さな卵やかえったばかりの幼虫が入っていることがあるのです。

ここで気をつけたいのは、旅行前にマットを丸ごと取り替えると、気づかないうちに卵や小さな幼虫を捨ててしまうおそれがあるという点です。

卵は直径2〜5mm、かえったばかりの幼虫は5〜7mmほどの大きさとされているので、交換する場合は古いマットを新聞紙の上に広げ、卵や幼虫が混ざっていないかを確かめてから処分してください。

メスが産卵のためにマットに潜っているときは、数日間地上に出てこないこともあるので、姿が見えないからといって掘り返しすぎないようにしましょう。

マット交換は出発前に済ませる

すでに幼虫を別のケースに分けて育てている場合は、旅行の予定に合わせてマット交換のタイミングを調整しておくと、留守中の心配を減らせます。

幼虫のマット交換は3か月が目安で、マットのかさが減ったときや、表面に幼虫のフンが目立ってきたときが交換のサインとされています(月夜野きのこ園「カブトムシ幼虫飼育」)。

旅行の直前に交換時期が重なっているなら、出発の数日前までに新しいマットへ入れ替えておくと、留守中にエサ不足やフンのたまりすぎを気にせずに済みます。

新しい発酵マットは、使う前に発酵臭を飛ばす「ガス抜き」と水分の調整をしてから入れるよう案内されているため(月夜野きのこ園「カブトムシ幼虫飼育」)、交換はぎりぎりの前日ではなく、様子を見られる余裕をもって行うのが理想です。

幼虫の管理温度は大体20〜25℃とされているので、成虫と同じように、留守中は直射日光の当たらない静かで涼しい場所に置いておきましょう。

年末年始の帰省は幼虫がほとんど動かない時期

冬の帰省や年末年始の旅行の時期には、幼虫は気温の低下とともにエサをあまり食べなくなり、マットの中でじっとしている時間が長くなります。

DCMの飼育ガイドでは、冬季(11月〜翌2月)の幼虫はエサをあまり食べず、15℃以下になると冬眠すると紹介されています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

この時期は幼虫がほとんどマットを減らさないため、数日から1週間程度の旅行であれば、マットの乾燥だけ確かめておけば大きな問題にはなりにくいといえます。

注意したいのは、暖房の風が直接当たる場所や、日中だけ日が差し込む窓際など、温度の上がり下がりが大きい場所に置いたまま出かけないことです。

また、5〜7月ごろに幼虫が蛹になる前後の時期は、マットの中に土まゆと呼ばれる部屋をつくっていて、これを壊すと脱皮できなくなるとされています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

大型連休や初夏の旅行と重なる場合は、ケースを持ち運んだり揺らしたりせず、置き場所を変えるときも静かに運ぶようにしてください。

カブトムシを旅行先や帰省先に連れていく場合

留守にする日数が長く、世話を頼める人もいない場合には、カブトムシを帰省先や旅行先へ一緒に連れていくという選択肢もあります。

ただし、移動中の振動や温度の変化は昆虫にとって大きなストレスになるとされ、長く家を空けるとき以外は基本的に連れていかないほうがよいと紹介されています(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)。

それでも連れていくと決めた場合に気をつけたい点を、車、電車、ケースの3つに分けて見ていきます。

車のなかに置いたままにしない

車で移動する場合にいちばん避けたいのは、サービスエリアでの休憩や観光の途中に、カブトムシのケースを車内に残したまま離れてしまうことです。

JAFが2012年8月に行ったテストでは、気温35℃の晴れた日にエンジンを止めた黒いミニバンの車内温度が最高57℃に達しました。

窓を3cm開けておいた車でも最高45℃まで上がっています(JAF「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」)。

サンシェードを付けた車でも最高50℃に達しており、短い時間でも、エアコンを止めた車内は昆虫が耐えられる温度ではありません。

車から離れるときはケースを一緒に持って出るか、家族の誰かが車に残ってエアコンを効かせておくなど、車内に置きっぱなしにしない段取りを決めておきましょう。

走行中も、ダッシュボードの上や窓際など直射日光の当たる場所は避け、エアコンの風が直接当たらない足元や座席の陰にケースを置くようにしてください。

電車や新幹線に持ち込むときのルール

電車や新幹線に乗る場合は、鉄道会社ごとに決められている手回り品のルールを事前に確かめておく必要があります。

たとえばJR東海のきっぷのルールでは、車内に持ち込めない荷物に動物が挙げられていますが、「少量の小鳥、小虫類、初生ひな、魚介類でケースに入れたもの」はこの対象から除くと書かれています(JR東海「手回り品」)。

一方で、小犬や猫などの小動物は、専用のケースに入れたうえで1個290円の手回り品きっぷが必要とされていて(JR東日本「よくいただくお問い合わせ」)、動物の種類や量によって扱いが分かれています。

昆虫をどう扱うかの細かな判断は鉄道会社や駅によって異なることがあるため、乗車前に駅の窓口で確認しておくと、当日に慌てずに済みます。

どのルールでも共通しているのは、ケースに入れて外に出さないことと、周りの乗客の迷惑にならないように配慮することなので、においや音が漏れにくいケースを選んでおきましょう。

飛行機を利用する場合は、航空会社ごとに生き物の扱いが決まっているため、予約の段階で航空会社に問い合わせておくことをおすすめします。

移動用の小さなケースに移す

普段使っている大きな飼育ケースをそのまま持ち運ぶと、移動中にマットやゼリーが偏り、中でカブトムシがひっくり返ったり下敷きになったりしやすくなります。

移動のあいだは、1匹ずつ入る小さめのケースに湿らせたマットを薄く敷き、つかまれる木片を入れた状態で運ぶほうが、揺れの影響を受けにくくなります。

ゼリーは移動中にこぼれやすいので、ケースの中には入れず、到着してから新しいものを与えるようにすると、マットが汚れずに済みます。

到着先では、直射日光の当たらない涼しい部屋にケースを置き、帰省先の家族にも「日の当たる場所や車の中に置かない」ことを伝えておくと、滞在中の事故を防ぎやすくなります。

帰省先の庭や近くの林が自然豊かだと、つい逃がしてあげたくなるかもしれません。

けれども、家で育てたカブトムシを野外に放すと、その土地にいる野生のカブトムシの数のバランスを崩しかねないと指摘されているため(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)、最後まで家で飼い続けてください。

帰宅したらすぐにやること

旅行から帰ってくると荷ほどきや洗濯で慌ただしくなりますが、カブトムシの様子を確かめるのは、できれば家に着いてすぐの時間にしておきたいところです。

留守のあいだに乾いたマットや傷んだゼリーをそのままにしておくと、せっかく元気に留守番をしてくれた個体でも、帰宅後に弱ってしまうことがあるからです。

カブトムシの様子を確かめる

まずはケースのフタを開ける前に、外から見てカブトムシが動いているか、ひっくり返ったままになっていないかを確認します。

昼間はマットに潜って休んでいることが多いので、姿が見えなくても慌てず、マットの表面を軽くかき分けて、脚を動かすかどうかを確かめてください。

ひっくり返ったまま脚の動きが弱い場合は、つかまれる木片の近くにそっと戻してあげるだけで、自分で動き出すこともあります。

あわせて、フタのロックが外れていないか、ケースの外に逃げ出していないかも見ておきましょう。

脱走していた場合は、部屋のカーテンの裏や家具のすき間など、暗くて狭い場所に隠れていることが多いので、夜になって動き出す時間帯に探すと見つけやすくなります。

ゼリーとマットを入れ替える

様子を確かめたら、食べ残しのゼリーを新しいものに取り替え、乾いていたマットには霧吹きで水分を足していきます。

留守の後半はエサが足りていなかった可能性もあるので、帰宅した日の夜は、普段と同じか少し多めのゼリーを入れて、しっかり食べられる状態にしておくとよいでしょう。

ゼリーの汁や排せつ物でマットが汚れていたり、においが強くなっていたりする場合は、表面の汚れた部分だけでも取り除き、状態がひどければマットを入れ替えます。

コバエが湧いていた場合は、ケースを洗剤を使わずに水洗いしてからマットを新しくすると、その後の発生を抑えやすくなります。

洗剤を使わずに水洗いする方法は、マットを取り替えるときの手順としてホームセンターの飼育ガイドでも紹介されています(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)。

産卵の可能性があるメスのケースでは、先ほど触れたとおり、古いマットに卵や幼虫が混ざっていないかを確かめてから処分するようにしてください。

弱っていたときや死んでいたとき

準備を尽くしていても、帰宅したときにカブトムシが弱っていたり、死んでしまっていたりすることは起こり得ます。

カブトムシの成虫は約2〜3か月という短い期間を生きる虫であり、寿命が近い個体や、交尾や産卵で体力を使った個体は、留守の暑さや空腹を乗り越えられないこともあるのです。

子どもがショックを受けている場合は、生き物には寿命があることを一緒に話す機会にしてあげてください。

死んでしまったカブトムシは、公園など公共の場所には埋めず、地域のごみの分別に従って処分するか、自宅の庭や植木鉢に埋めてお別れをする方法が紹介されています(るるぶKids「カブトムシ成虫の育て方は?」)。

次の旅行に向けては、今回どの条件が負担になったのかを振り返り、置き場所やエサの量、誰かに見てもらうかどうかを見直しておくと、同じことを繰り返さずに済みます。

カブトムシの旅行中の世話によくある質問

最後に、カブトムシを飼っている家庭が旅行の前によく迷うポイントを、質問の形でまとめました。

どれも家庭ごとの事情によって答えが変わる部分があるため、判断の手がかりとして読んでみてください。

エアコンはつけたままにしたほうがいい?

真夏に数日間家を空ける場合、カブトムシのことだけを考えれば、エアコンで室温を一定に保っておくのがもっとも暑さの影響を受けにくい方法です。

成虫の管理温度はおよそ20〜28℃の間とされているので、エアコンをつける場合も冷やしすぎる必要はなく、人が過ごしやすいと感じる程度の設定にして、風が直接ケースに当たらない位置に置くことがポイントになります。

ただし、エアコンをつけたまま長く家を空けることは、電気代や家電の扱いについての家庭ごとの考え方にも関わるため、無理にすすめるものではありません。

エアコンを使わない場合は、ケースを家のなかで一番涼しい場所に移し、カーテンや雨戸で日差しを遮っておくだけでも、室温の上がり方はずいぶん変わります。

換気扇を回したままにしておく方法も考えられますが、猛暑日にはそれだけで室温を下げるのは難しいので、置き場所の工夫と組み合わせて考えてください。

保冷剤や凍らせたペットボトルは使える?

保冷剤や凍らせたペットボトルをケースのそばに置いて温度を下げる方法は、家にいて数時間おきに取り替えられるときには役に立ちます。

一方で、留守のあいだは溶けてしまえばそれ以上の効果はなく、取り替える人もいないため、数日間の旅行を保冷剤だけでしのぐのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

また、ケースの中に直接入れると、溶けた水や結露でマットが湿りすぎてしまい、かえって蒸れやカビの原因になることがあります。

使う場合はケースの外に置き、タオルで包んで結露がケースに垂れないようにするなど、湿り気が増えすぎない工夫をしてください。

長い留守の暑さ対策としては、保冷剤に頼るより、涼しい部屋を選んで日差しを遮るほうが、結果として安定しやすくなります。

旅行中に卵を産んでいたらどうする?

オスとメスを一緒に飼っていた場合、旅行から帰ってきたらケースの側面に小さな白い卵や幼虫が見えていた、ということもあります。

カブトムシのメスは1回の産卵期に20〜30個くらいの卵を産むと紹介されていて(DCM「カブトムシの飼育方法・豆知識」)、思っていたより多くの幼虫が生まれることも珍しくありません。

卵や小さな幼虫を見つけたら、慌てて掘り出さず、成虫だけを別のケースに移して、卵や幼虫が入ったマットはそのまま残しておく方法が扱いやすいでしょう。

幼虫がある程度の大きさに育ってから、発酵マットを入れた別の容器に移し、1匹ずつ、または少ない数ずつに分けて育てていくのが一般的な流れです。

育てきれない数が生まれた場合でも、野外に放すのではなく、飼育できる家庭に譲るなどの方法を考えてください。

次の夏にまた旅行の予定があるなら、幼虫の世話も含めて、1年を通した飼育の計画を家族で話し合っておくと、旅行の日程も決めやすくなります。

旅行中のカブトムシの世話を頼む方法

5日以上の留守や猛暑の時期の旅行では、誰かに一度でも様子を見てもらえると、カブトムシの負担はぐっと軽くなります。

ここでは、家族や友人に頼む場合に伝えておきたいことと、ペットシッターに頼む場合に知っておきたいことを順に整理します。

家族や友人に頼むときに伝えること

近くに住む祖父母や親戚、子どもの友達の家族などに頼む場合は、口頭だけでなく、やってほしいことを紙1枚に書いて渡しておくと行き違いが起きにくくなります。

伝えておきたいのは、ゼリーの交換の仕方と頻度、マットに霧吹きをする目安、置き場所を動かさないこと、フタを閉めたらロックを確かめること、の4点です。

「ひっくり返っていたら木片の近くに戻す」「日の当たる場所に動かさない」といった具体的な動作まで書いておくと、昆虫に慣れていない人でも迷わずに済みます。

ケースごと相手の家に預ける場合は、移動の揺れや車内の暑さに気をつけるとともに、相手の家族に虫が苦手な人がいないか、事前に確かめておく配慮も欠かせません。

万一留守中に弱ったり死んでしまったりしても相手を責めないことを、あらかじめ伝えておくと、頼まれる側も引き受けやすくなります。

家に来てもらう形と施設に預ける形の違いは、ペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説でも比べています。

ペットシッターは昆虫を扱うか店舗で異なる

頼める家族や友人がいない場合は、飼い主の自宅を訪問してペットの世話をするペットシッターに依頼する方法もあります。

ただし、ペットシッターが主に扱っているのは犬や猫、うさぎや小鳥などで、カブトムシのような昆虫の世話に対応しているかどうかは店舗によって異なります。

店舗の案内に対応できる動物として「魚」や「爬虫類」は書かれていても、「昆虫」が書かれていないこともあります。

そのため依頼を考えている店舗には、カブトムシの世話を頼めるかを問い合わせの段階で直接確かめてください。

昆虫に対応している店舗でも、ゼリーの交換や霧吹きといった日常の世話は引き受けても、幼虫のマット交換のような作業は対応範囲外としている場合があります。

ペットシッターがどのような世話をしてくれるのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説でくわしく紹介しています。

昆虫は第一種動物取扱業の登録の対象外

ペットシッターを選ぶときの目安として、第一種動物取扱業(動物を扱う事業者に必要な都道府県などへの登録)の登録があるかどうかがよく挙げられます。

環境省の案内では、ペットシッターのように動物の飼養施設を持たない事業者もこの登録の対象になるとされています。

一方で、対象となる動物は「実験動物・産業動物を除く、哺乳類、鳥類、爬虫類」と示されています(環境省「動物取扱業の適正化」)。

動物愛護管理法の第10条でも、登録が必要な取扱業の「動物」は「哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り」と定められており(e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」)、昆虫はここに含まれていません。

つまり、昆虫の世話だけを行うことについては、この登録は求められていないということになります。

登録があるかどうかは、犬や猫などを扱う事業者としての手続きを踏んでいるかを知る手がかりにはなりますが、昆虫の扱いに慣れているかどうかまでを示すものではない点に注意してください。

カブトムシの世話を頼むときは、登録の有無とは別に、これまで昆虫の世話をした経験があるか、どのような手順で世話をしてくれるのかを、打ち合わせの際に聞いておくとよいでしょう。

昆虫に対応するシッターを探す

ペットシッタープレミアムステージでは、魚や昆虫などのお世話に対応するペットシッターを「その他(魚・昆虫など)のお世話」のページから探すことができます。

掲載されている店舗の紹介を見て、気になる店舗があれば各店舗のホームページから問い合わせる流れになるので、その際にカブトムシの世話に対応できるか、どこまでの作業を頼めるかを確かめてください。

料金や対応できる時間帯、対応エリアは店舗ごとに異なりますので、旅行の日程が決まったら早めに問い合わせておくと、お盆などの混み合う時期でも調整しやすくなります。

依頼先を選ぶときの見方はペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントに、料金の考え方はペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説にまとめています。

まとめ

カブトムシの成虫が活動するのは約2〜3か月と短く、その期間はちょうど夏休みやお盆の旅行・帰省の時期と重なります。

旅行中の留守番がうまくいくかどうかは、日数よりもエサの量と部屋の暑さで大きく変わるため、まずは家のなかで一番涼しい場所を選んでケースを移すことから始めてください。

出発前には、頭数と日数から数えたゼリーをフタに十字の切れ目を入れて置き、マットを握って形が残るくらいに湿らせ、フタのロックと転倒防止材を確かめておきます。

オスとメスを一緒に飼っている場合は、留守のあいだだけでも別々のケースに分けておくと、ケンカや体力の消耗を避けやすくなります。

1〜2泊なら準備だけで出かける家庭が多いものの、3〜4日なら暑さ対策を一段厚くし、5日以上なら途中で誰かに様子を見てもらう方法を考えておくと心強いでしょう。

幼虫は留守中の世話がほとんどいらない時期が長い一方で、夏は卵や小さな幼虫をマットごと捨ててしまわないこと、初夏は土まゆを壊さないことに気をつけてください。

連れていく場合は、エアコンを止めた車内に置いたままにしないこと、電車では鉄道会社のルールを事前に確かめることが欠かせません。

世話を頼む先としてペットシッターを考えるなら、昆虫に対応しているかどうかは店舗によって異なります。

魚・昆虫などのお世話に対応するペットシッターのなかから、カブトムシの世話を頼めるかを問い合わせて確かめてみてください。

準備を整えて出かければ、カブトムシとの夏も、家族の旅行も、どちらも気持ちよく楽しめるはずです。

この記事を書いた人

佐藤弘幸

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佐藤弘幸

アイノス本部代表。日本最大手のペットシッターフランチャイズの最高責任者の経験を経て、
ペットシッターに関する記事執筆を担当。
自身も柴犬やキンクマと暮らした経験から、飼い主目線での情報発信を心がけています。
保有資格:ペットシッター士