ハムスターを迎えようと決めたとき、多くの方が最初に迷うのは「何をそろえて、毎日なにをすればいいのか」という点ではないでしょうか。
ペットショップの売り場にはケージや床材、フードがずらりと並んでいて、どれが本当に必要なのかを判断するのは意外と難しいものです。
飼育の情報を調べても、適温が20℃と書かれていたり22℃と書かれていたり、ケージの大きさも記事によってまちまちで、かえって迷ってしまうこともあります。
この記事では、環境省が販売業者向けに作成した「ペット動物販売業者用説明マニュアル」(平成18年3月)を土台にして、ハムスターの飼い方を順を追って整理しました。
ハムスターがどんな動物なのかという習性から始めて、種類の選び方、迎える前にそろえるもの、ケージの置き場所と温度を順に見ていきます。
そのうえで食事と水、掃除、接し方、健康チェック、そして飼い主として知っておきたい責任までを扱います。
数値にはできるだけ出典を添え、一次情報で確かめられなかったものは「飼育情報では」と書き分けているので、ほかの記事と見比べるときの手がかりにもしてください。
ハムスターのお世話は、習性を知っておくと「なぜそうするのか」が分かり、手順を覚えやすくなります。
これから迎える方も、迎えたばかりで手探りの方も、気になる見出しから読み進めてみてください。
目次
ハムスターはどんな動物?飼う前に知っておきたい習性

ハムスターの飼い方には「昼間は起こさない」「1匹ずつ飼う」「広いケージを選ぶ」といった決まりごとがいくつもありますが、どれも野生での暮らし方に理由があります。
環境省のマニュアルによると、ハムスターの仲間は野生では寒暖差の激しい砂漠や乾燥した草原に、地中深く巣穴を掘って暮らしている動物です。
最初にこの習性を押さえておくと、あとに続く準備や温度管理、食事の時間の決め方がすべて一本の線でつながって見えてきます。
夕方から夜に活動する夜行性の動物
ハムスターは夏の日中は暑さを避けて地中で眠り、夕方になってから食べ物を探しに出てくる夜行性の動物です。
この暮らし方は、環境省のマニュアルでも説明されています(環境省「ペット動物販売業者用説明マニュアル」哺乳類)。
昼間に巣箱にこもって出てこないのは、体調が悪いからではなく、本来の生活リズムどおりに休んでいるだけなので心配はいりません。
反対に、昼間に何度も巣箱をのぞいたり、寝ているところを持ち上げたりすると、休むべき時間に起こされ続けることになり、ストレスの原因になってしまいます。
飼い主さんが仕事や学校から帰ってくる夕方以降は、ちょうどハムスターが活発になる時間帯と重なります。
そのため、お世話や触れ合いは夕方から夜にまとめると、お互いの生活リズムに無理がありません。
ただし夜中に回し車を回す音や、ケージをかじる音が気になることもあるため、寝室とは別の部屋にケージを置けるかどうかも、迎える前に考えておきたいポイントです。
縄張り意識が強く基本は1匹ずつ飼う
ハムスターは群れで暮らす動物ではなく、野生では単独で生活し、オスとメスが出会うのは交尾のときだけという暮らし方をしています。
環境省のマニュアルでも、ドワーフハムスターとチャイニーズハムスター以外の単独性のハムスターは、1頭ずつ別々のケージで飼うのが原則とされています。
理由は縄張り意識が強く、同じケージに入れるとオスとメスの組み合わせでもけんかをしてしまうからです。
ドワーフハムスターは単独生活者の例外として書かれていますが、獣医師が監修する動物病院の飼育ガイドでは種類を分けずに、複数での同居はけんかやケガの原因になるとして、1匹ずつ飼うよう勧めています(池田動物病院「ハムスターの飼い方」)。
初めて飼う方は、種類を問わず1匹ずつ飼う前提で準備しておくと無理がありません。
「1匹だとさびしいのでは」と感じる方もいますが、人間の感覚をあてはめるより、ハムスター本来の暮らし方に合わせるほうがストレスは少なくなります。
1日に長い距離を動き回るほど運動量が多い
体は手のひらに乗るほど小さいのに、ハムスターは1日に8kmくらいは動き回るといわれているほど運動量の多い動物です。
環境省のマニュアルでは、この運動量の多さを理由に、できるだけ広さのあるケージと、回し車やトンネルなどの運動具や遊具を用意する必要があると説明しています。
動物病院の解説には、金網のケージをかじる癖がつくと、前歯の根元に炎症が起きて歯の形に影響が出ることがあるという記述もあります(けい動物医療センター「ハムスター」)。
なお、夜のあいだに走る距離については「10〜20km」など、もっと長い数字を紹介している動物病院の解説もあります(同上)。
個体や測り方によって幅がある数字だと受け止めておくとよいでしょう。
寿命はふつう2〜3年
ハムスターの寿命について、環境省のマニュアルは「ふつう2〜3年」と書いています。
犬や猫と比べるとずっと短い時間なので、迎えた日から数えて1年が過ぎるころには、もう暮らしの折り返し地点に近づいていると考えておく必要があります。
成長のスピードも速く、離乳まではおよそ3週間、生後約5週間で大人の大きさになって繁殖できる体になると説明されています。
一緒に過ごせる時間が短いぶん、毎日の小さな変化に気づけるかどうかが、健やかに過ごさせるためのいちばんの鍵になります。
年齢を重ねると動きがゆっくりになったり、毛づやが落ちたりすることもあるので、若いうちから普段の様子を覚えておくと、変化に早く気づけるようになります。
ハムスターの種類と選び方

ペットとして飼われているハムスターは、大きく分けると3つの系統になります。
体の大きいゴールデンハムスター、小型のドワーフハムスターと呼ばれるグループ、そしてチャイニーズハムスターです。
環境省のマニュアルでは、ジャンガリアン・キャンベル・ロボロフスキーの3種を「小さい」という意味のドワーフハムスターと総称すると説明しています。
実際にどの種類が多く飼われているのかは、ペット保険会社のアニコムが公開している統計で確かめることができます。
| 順位 | 品種 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | ジャンガリアンハムスター | 44.8% |
| 2 | ゴールデンハムスター | 30.3% |
| 3 | ハムスター(品種の記載なし) | 22.5% |
| 4 | ロボロフスキーハムスター | 2.2% |
| 5 | キャンベルハムスター | 0.1% |
これは2023年4月1日から2024年3月31日までに同社の保険契約を始めたハムスター14,986頭の内訳で、アニコム「家庭どうぶつ白書2025」に掲載されている数字です。
保険に加入した個体に限った集計なので飼育数そのものとは違いますが、ジャンガリアンとゴールデンの2種で全体の7割以上を占めていることは読み取れます。
ゴールデンハムスター
ゴールデンハムスターは、ペットとして飼われるハムスターのなかでいちばん大きな種類で、環境省のマニュアルでは体長12〜20cm、体重80〜150gと紹介されています。
体が大きいぶん動きがゆったりしていて、手に乗せたときにも扱いやすく、動物病院の飼育ガイドでも、穏やかで人に慣れやすく初めて飼う方にもすすめられる種類として紹介されています。
毛色は茶色と白の組み合わせのほかに、クリーム色や黒などの色変わりがいて、クリーム色で目が黒いものは「キンクマハムスター」という名前で売られていることもあります。
気をつけたいのは縄張り意識が強い単独性の種類だという点で、2匹を同じケージに入れるとけんかをしてしまうため、1匹ずつ飼うことが前提になります。
体が大きいので、ケージや回し車もドワーフ用より一回り大きいものを選ぶ必要があり、そのぶん置き場所のスペースも多めに見ておきましょう。
ジャンガリアンハムスター
ジャンガリアンハムスターは、ドワーフハムスターのなかでもっとも多く飼われている種類で、上の統計でも全体の44.8%を占めていました。
灰色がかった毛に背中の黒いラインが入るノーマルカラーのほか、白っぽいパールホワイトやクリーム色のプディングなど、毛色のバリエーションが豊富です。
性格はおだやかな個体が多いといわれ、小さな体でちょこちょこと動く姿が人気の理由になっています。
ただし暑さに弱い種類とされていて、動物病院の飼育ガイドでも温度管理がとくに大切だと説明されているため、季節の変わり目の室温には気を配っておくと慌てずにすみます。
ロボロフスキーハムスター
ロボロフスキーハムスターは、ペットとして飼われるハムスターのなかでもっとも小さく、環境省のマニュアルでは体長約7cm前後、体重15〜40gと紹介されています。
とても素早く動き回り、臆病で警戒心が強いため、手に乗せて触れ合うよりも、ケージのなかで走り回る姿を眺めて楽しむ種類だと考えておくとよいでしょう。
小さな体で手から飛び降りたり、すき間から逃げ出したりすることもあるので、ケージの金網のすき間の幅にも気を配る必要があります。
キャンベルハムスターとチャイニーズハムスター
キャンベルハムスターはジャンガリアンハムスターとよく似た見た目のドワーフハムスターで、ジャンガリアンより気が強く、人の手を咬みやすい個体もいるといわれています。
チャイニーズハムスターは、ほかのハムスターより細長い体としっぽをもつ種類で、環境省のマニュアルではキヌゲネズミ属として別の系統に分類されています。
キャンベルハムスターは上の統計で0.1%、チャイニーズハムスターは品種の一覧に入っていないほど少ない種類なので、ペットショップで出会う機会は限られますが、迎える場合も基本的な飼い方は同じと考えて差し支えありません。
初めて飼うなら種類はどう選ぶ?
初めて飼う方がよく迷うのは、ゴールデンとジャンガリアンのどちらにするかという点です。
手に乗せて触れ合いたいならゴールデンハムスター、限られた部屋のスペースで飼いたいならジャンガリアンハムスターというのが、ひとつの目安になります。
見た目の好みで選ぶのも大切ですが、種類よりも個体ごとの性格の差のほうが大きいこともあります。
ペットショップでは実際に動いている様子を見て、目が澄んでいてお尻が汚れていない元気な個体を選ぶようにしてください。
購入前に、その種類に合ったケージの大きさや温度の管理ができるかを一度確かめておくと、迎えたあとに慌てずにすみます。
ハムスターを迎える前にそろえるもの

ハムスターを迎える日には、ケージのなかが整っている状態が理想です。
連れて帰ってから慌てて道具を買いに行くと、そのあいだハムスターを小さな箱に入れたまま待たせることになります。
環境省のマニュアルが挙げている基本の道具は、ケージ、床材、主食用と副食用の食器2個、ハムスター用トイレ、木製の巣箱、給水ボトル、そして回し車やトンネルなどの運動具です。
| 道具 | 選ぶときのポイント |
|---|---|
| ケージ | 高さより床面積を優先する |
| 床材 | 潜れるくらい厚めに敷ける量を用意する |
| 巣箱 | 体がすっぽり隠れる大きさのもの |
| 回し車 | 走ったときに背中が反らない直径のもの |
| トイレ | ハムスター用の砂とセットで用意する |
| 給水ボトル | 飲み口の高さを調整できるもの |
| 食器 | 主食用と副食用の2個 |
| かじり木 | 無塗装の天然木のもの |
| 温度計 | ケージのそばに置けるもの |
ここからは、それぞれの道具をどう選ぶかを順番に見ていきます。
ケージは高さより床面積で選ぶ
ケージ選びでまず意識したいのは、高さよりも床面積の広さを優先することです。
環境省のマニュアルは、高さのあるケージはハムスターがよじ登って落ち、ケガをしやすいため、床面積の広いものを選ぶよう勧めています。
大きさの目安は情報源によって幅があり、動物病院の飼育ガイドでは床面積2,500cm²(50cm×50cm)以上を目安としています(池田動物病院「ハムスターの飼い方」)。
ペットフードメーカーの飼育情報では、ゴールデンハムスター用として幅60cm×奥行45cm×高さ30cmという目安が紹介されています(キョーリン「ハムスターの飼い方」)。
同じ情報のなかで、ジャンガリアンハムスター用の目安は幅45cm×奥行30cm×高さ25cmとされています。
これらはあくまで最低限の目安なので、部屋に置けるスペースがあるなら、それよりも広いケージを選んでおくとハムスターが動き回れる範囲が広がります。
金網ケージと水槽の違い
ハムスターの住まいには、金網のケージと、ガラスやプラスチックの水槽タイプの2種類があります。
環境省のマニュアルでは、水槽タイプは温度や騒音の管理に向いている一方で、蒸れやすいので天井を密閉せず金網のフタにするよう説明されています。
金網のケージは風通しがよく、お世話や掃除がしやすいのが利点ですが、温度や騒音の影響を受けやすく、金網をかじったりよじ登ったりする癖がつくこともあります。
どちらを選んでも飼えないわけではないので、部屋の温度を管理しやすいかどうかや、掃除のしやすさを考えて選ぶとよいでしょう。
床材は潜れるくらい厚めに敷く
床材は、ハムスターが穴を掘ったり潜ったりする本来の習性を満たすための大切な道具です。
環境省のマニュアルでは、干し草やワラ、チップなどをハムスターが潜れるくらいに厚めに敷くよう説明しています。
チップを選ぶときに気をつけたいのは素材で、同じマニュアルでは杉や松などの針葉樹が素材のものはアレルギーを起こすことがあると注意を促しています。
最近は紙製の床材も広く売られていて、ほこりが少ないものを選ぶと掃除のときにも扱いやすくなります。
巣箱・回し車・トイレ
巣箱は、ハムスターが安心して眠るための隠れ場所で、環境省のマニュアルでは木製の巣箱のなかに床材と同じものを入れておくよう説明されています。
回し車は運動量の多いハムスターにとって欠かせない道具ですが、小さすぎると背中を反らせた姿勢で走ることになり、体に負担がかかるといわれています。
直径の目安は飼育情報によって数字がまちまちなので、走っているときに背中がまっすぐ伸びているかどうかを実際に見て判断するのが確かな方法です。
トイレはケージの隅に置いておくと、ハムスターがその場所をトイレとして覚えることが多く、環境省のマニュアルでもトイレのしつけは可能だとされています。
給水ボトルと食器
給水ボトルはケージの側面に取り付けるタイプが一般的で、床に置く皿タイプよりも床材が入りにくく、水を清潔に保ちやすいのが利点です。
飲み口の高さは、ハムスターが少し顔を上げて飲める位置に合わせ、取り付けたあとに実際に飲めているかを確認してください。
食器は主食用と副食用の2つを用意し、ハムスターがひっくり返しにくい、重さのある陶器製のものを選ぶと、ごはんが床材に散らばりにくくなります。
かじり木と温度計
ハムスターの前歯は一生伸び続けるため、環境省のマニュアルでは、歯の伸びすぎを防ぐための「かじり木」を常に置いておくよう説明しています。
かじり木は塗装や接着剤が使われていない天然木のものを選び、かじって小さくなったら新しいものに取り替えましょう。
温度計は、エアコンの設定温度ではなくケージのまわりの実際の温度を知るための道具で、ケージの近くの、ハムスターがいる高さに置くのがおすすめです。
ケージの置き場所と温度・湿度の管理

ハムスターの飼い方のなかで、とくに気を配りたいのが温度の管理です。
野生のハムスターは地中の巣穴で暮らしているため、地上の急な暑さや寒さから守られていますが、室内のケージではその役目を飼い主さんが担うことになります。
環境省のマニュアルは、ハムスターが寒暖差の激しさ、低温と高温、多湿、突然の大きな物音や騒音を嫌うことを踏まえて環境を整える必要があると説明しています。
静かで直射日光とエアコンの風が当たらない場所に置く
ケージの置き場所は、人の出入りが少なく、テレビやスピーカーから離れた静かな場所を選ぶのが基本です。
窓際は直射日光で急に温度が上がったり、冬には外の冷気で冷え込んだりするため、窓から少し離れた位置に置くほうが温度が安定します。
エアコンの吹き出し口の真下や、風が直接当たる場所も、体が冷えすぎたり乾燥したりする原因になるので避けましょう。
環境省のマニュアルでは、昼間は窓からの自然光が感じられ、夜は暗くできるようにするよう勧めています。
夜遅くまで照明がついているリビングの真ん中に置くと、ハムスターにとっては昼と夜の区別がつきにくくなるため、夜は布をかけて暗くするなどの工夫をするとよいでしょう。
床に直接置くと冷気がたまりやすく、足音の振動も伝わりやすいので、低めの台の上に置くのもひとつの方法です。
室温の目安と15℃を下回るときの注意
ハムスターに適した室温について、環境省のマニュアルには具体的な数値の幅は書かれていませんが、15℃以下になると動きが鈍くなることが示されています。
一方、ペットフードメーカーや動物病院の飼育情報では、20〜25℃前後や20〜24℃を目安とするものが多く見られます(キョーリン・けい動物医療センターは20〜24℃)。
数字には多少の幅がありますが、「15℃を下回らないようにし、20℃台の前半で安定させる」と考えておけば、どの情報源とも大きくずれることはありません。
大切なのは数字を一度合わせることよりも、1日のなかで温度が大きく上下しないようにすることです。
朝晩の冷え込みや日中の暑さでケージのまわりの温度が変わっていないかを、温度計でこまめに確かめてください。
湿度と蒸れに気をつける
ハムスターは乾燥した地域の出身で、じめじめした環境を苦手とする動物です。
湿度の目安について一次情報で数値は確認できませんでしたが、飼育情報では40〜60%や45〜55%程度を目安とするものが多く紹介されています(キョーリン・けい動物医療センターは45〜55%)。
とくに水槽タイプの住まいは空気がこもりやすいため、環境省のマニュアルでも蒸れないよう通風に十分気をつける必要があるとされています。
梅雨の時期は除湿機やエアコンの除湿機能を使い、床材が湿っていたら早めに取り替えるようにしましょう。
夏の暑さ対策
夏は、留守中の室温の上がり方に注意が必要です。
窓を閉め切った部屋は、日中に想像以上に温度が上がることがあるため、夏場はエアコンで室温を管理するのが基本になります。
ケージの上に保冷剤を置く、アルミ製や大理石のプレートをケージのなかに入れるといった方法もありますが、あくまでエアコンの補助として使うものと考えてください。
暑さで床にぐったりと伸びていたり、呼吸が荒くなっていたりする様子が見られたら、部屋を涼しくしたうえで、早めに動物病院に相談しましょう。
冬の寒さ対策と疑似冬眠
ハムスターは、野生では冬に冬眠しながら、ときどき目を覚まして蓄えておいた食べ物を食べる「疑似冬眠性」の動物だと、環境省のマニュアルで説明されています。
ペットとして飼っている場合について、同じマニュアルは飼養下では冬眠させないで飼ったほうが無難だとしています。
寒さで体温が下がった状態は体力を大きく消耗するため、冬場はエアコンやペット用のヒーターで室温が下がりすぎないようにしてください。
ヒーターを使うときは、ケージの床の一部だけを温めるように置き、暑くなったときにハムスターが自分で涼しい場所へ移動できる逃げ場を残しておくことが大切です。
同じマニュアルでは、晩秋から冬にかけてはヒマワリの種やクルミを多めに与えて体力をつけ、保温に気をつけるよう勧めています。
もし冷たくなって動かないハムスターを見つけたときは、慌てて急に温めるのではなく、まず動物病院に電話で相談して指示をあおぐようにしましょう。
ハムスターの食事と水の与え方

ハムスターは雑食性の動物で、環境省のマニュアルによると、野生では草の葉や茎、根、種子、果実のほかに、虫や小型の爬虫類といった動物質のものも食べています。
ペットとして飼う場合は、野生の食事をそのまま再現するのではなく、栄養のバランスがとれた専用のペレットを中心にして、副食を少しずつ添えるのが基本の考え方です。
ここでは主食と副食の選び方、与える時間帯、与えてはいけない食べ物、水の管理の順に見ていきます。
主食は専用のペレットにする
環境省のマニュアルでは、主食はハムスター専用のペレットにし、副食として色々なものを少しずつ与えるよう説明しています。
ペレットは、ハムスターに必要な栄養がひと粒にまとめられた固形のフードです。
ヒマワリの種などが入ったミックスフードよりも、好きなものだけを選んで食べる偏食が起こりにくいのが利点です。
与える量はペレットのパッケージに体重ごとの目安が書かれていることが多いので、まずはその表示に従い、食べ残しの量を見ながら調整してください。
飼育情報では「1日に体重の5〜10%程度」という目安もよく紹介されています。
ただしペレットの種類や個体の年齢、運動量によって必要な量は変わるため、体重を定期的に量りながら加減するのが確かな方法です。
野菜・果物・種子類は副食として少しずつ
副食として、環境省のマニュアルは根菜類や野菜、穀類、アルファルファなどの乾牧草を挙げています。
さらに、一日おきくらいにペット用の煮干しやゆで卵の白身などの動物性の食べ物や、リンゴなどの果物を与えるよう説明しています。
野菜は、キャベツやニンジン、ブロッコリーなどを小さく切り、水けをよくふき取ってから少量ずつ与えるのが一般的です。
ハムスターが大好きなヒマワリの種やクルミ、ピーナッツなどの種子類について、同じマニュアルは脂肪分が多いのでおやつ程度にとどめ、太りすぎに注意するよう書いています。
種子類は手から与えると喜んで受け取ることが多いので、触れ合いのきっかけとして少しずつ使うと、ハムスターとの距離を縮める助けにもなります。
1日1回、夕方に与えるのが基本
ごはんを与える時間帯について、環境省のマニュアルは1日に1回、夕方の活発に動き回るころにエサを与えるよう勧めています。
夜行性のハムスターにとって、夕方は目を覚まして食べ物を探しはじめる時間なので、その時間に合わせてごはんを入れると、生活のリズムに沿った食事になります。
同じマニュアルでは、傷みやすい副食の食べ残しはしばらくしてから片づけるよう書かれています。
その理由として、ハムスターは下痢を起こしやすく、下痢をすると命にかかわりやすいことが挙げられています。
野菜や果物を与えたときは、夜寝る前や翌朝に食べ残しが残っていないかを確認し、残っていれば取り除く習慣をつけておきましょう。
巣箱にため込んだ食べ物を点検する
ハムスターは頬袋に食べ物を詰めて巣まで運び、巣のなかにため込む習性をもっています。
環境省のマニュアルでは、毎日、巣のなかにため込んだ食べ物を点検し、生ものや腐りそうなものは取り除くよう説明しています。
傷んだ食べ物は頬袋の炎症の原因にもなると書かれているため、野菜や果物を与えた日は、とくに念入りに巣のなかを確かめてください。
ただし、ペレットや乾いた種子などの傷みにくいものまで毎回すべて取り出すと、ハムスターが落ち着かなくなることもあります。
取り除くのは、野菜や果物などの傷みやすいものに絞るとよいでしょう。
与えてはいけない食べ物
人間の食べ物のなかには、ハムスターにとって危険なものがあります。
獣医師が監修する動物病院の飼育ガイドは、玉ねぎ、チョコレート、コーヒーや紅茶などのカフェイン類を与えてはいけない食べ物に挙げています。
これらは中毒を起こし、命にかかわる危険があると注意が呼びかけられています(池田動物病院「ハムスターの飼い方」)。
味つけされたお菓子やパン、塩分の多い加工食品も、小さな体には負担が大きいため与えないようにしましょう。
誤って口にしてしまったときは、様子を見ているうちに悪化することもあるので、何をどのくらい食べたかをメモして、早めに動物病院に相談してください。
水は毎日取り替える
ペレットのような乾いたフードを主食にする場合、水をいつでも飲める状態にしておくことが欠かせません。
給水ボトルの水は毎日取り替え、週1回はボトルと飲み口をブラシで洗って、ぬめりや水あかを落としましょう。
飲み口に床材が詰まっていたり、ボトルの位置がずれていたりすると、水が出なくなっていることに気づかないまま過ごさせてしまうことがあります。
水を取り替えるたびに、飲み口を指で押して水がきちんと出るかを確かめてください。
毎日・毎週の掃除とお世話

環境省のマニュアルによると、ハムスターは管理が悪くなければ臭いはほとんど出ない動物です。
逆にいえば、臭いが気になってきたときは掃除の頻度ややり方を見直すサインだと受け止めてください。
ここでは毎日やること、週1回やること、ケージ全体を洗うときの注意、そして掃除をしすぎないほうがよい理由を整理します。
| 頻度 | 主なお世話 |
|---|---|
| 毎日 | ごはんの入れ替え、水の交換、トイレの汚れ取り、巣にため込んだ生ものの点検、健康チェック |
| 週1回 | 床材と巣材の交換(古い床材を少し残す)、給水ボトルの洗浄、体重測定 |
| 汚れが目立ったとき | ケージ全体の水洗い |
毎日やること
毎日のお世話は、夕方にハムスターが起きてきたタイミングでまとめて行うと、寝ているところを邪魔せずにすみます。
ごはんの食べ残しを片づけて新しいごはんを入れ、給水ボトルの水を替え、トイレの汚れた砂を取り除くのが毎日の基本です。
トイレ砂について、環境省のマニュアルは、全部を取り替えるときも臭いの付いたものを少しだけ残しておくよう説明しています。
自分の臭いが残っていることで、ハムスターがその場所をトイレだと認識しやすくなるからです。
あわせて巣のなかにため込んだ生ものの点検と、体の様子を見る健康チェックもこのタイミングで済ませると、毎日のお世話がひとつの流れとしてまとまります。
週1回の床材交換では古い床材を少し残す
床材について、環境省のマニュアルは週に1回は床材と巣材を全部取り替えるよう書いています。
そのうえで大切なのが、汚れていない古い床材を少し新しい床材に混ぜておくことです。
ハムスターは背中などにある臭腺から出る臭いで、自分の縄張りに臭い付けをしています。
そのため、すべてが新しい床材になると自分の縄張りが消えてしまったように感じて落ち着かなくなることがあります。
床材を替えるときは、ハムスターを掃除のあいだだけ別の容器に移し、戻す前に巣箱や回し車の位置を元の場所にそろえておくと、環境の変化を小さくできます。
週1回の掃除の日に、給水ボトルの洗浄と体重測定もまとめてしまうと、曜日を決めて習慣にしやすくなります。
ケージ全体を洗うときの注意
床材を替えるだけでは落ちない汚れがたまってきたら、ケージ全体を水洗いします。
飼育情報では月に1回程度の大掃除を目安とするものが多いですが、汚れ方はトイレの覚え具合やケージの大きさで変わるため、見た目や臭いを基準に判断するとよいでしょう。
洗うときは、ぬるま湯とスポンジで汚れを落とし、洗剤を使った場合は成分が残らないように十分にすすいでください。
洗ったあとはしっかり乾かしてから床材を敷くことが大切で、湿ったまま床材を入れるとカビや蒸れの原因になります。
大掃除のときも、汚れていない床材を少し取り分けておき、新しい床材に混ぜて戻すと、ハムスターが落ち着きを取り戻すまでの時間が短くなります。
掃除をしすぎないほうがよい理由
清潔に保つことは大切ですが、毎日ケージのなかを隅々まで入れ替えるような掃除は、ハムスターにとってかえって負担になることがあります。
環境省が犬猫以外の哺乳類の飼養管理について専門家から意見を集めた検討会の資料でも、ケージを清掃すると環境が毎日変わることでストレスになるという意見が紹介されています(環境省 検討会資料)。
同じ資料には、トイレの場所を決めているハムスターなら、毎日ケージ全体を清掃する必要はないという意見も載っています。
同じ資料には、子育て中に毎日清掃すると、子殺しや育児放棄の原因になるという意見も載っています。
毎日の掃除は汚れた部分だけに絞り、全体の交換は週1回にとどめるという強弱をつけることが、清潔さとハムスターの落ち着きを両立させるこつです。
ハムスターと仲良くなる接し方

ハムスターは体が小さく、野生では多くの動物に狙われる立場にあるため、もともと臆病で警戒心の強い動物です。
仲良くなるまでの時間は個体によって大きく違いますが、ハムスターのペースに合わせて少しずつ距離を縮めるという考え方は、どの種類にも共通しています。
焦って触ろうとすると怖がって咬むようになることもあるので、ここで紹介する順番を目安にしてみてください。
迎えて数日はそっと見守る
家に迎えたばかりのハムスターは、移動や環境の変化で緊張していて、見慣れない場所の臭いや音に囲まれている状態です。
環境省のマニュアルでも、幼い動物は購入した直後にストレスがかかるので注意が必要だと説明されています。
迎えてから数日は、ごはんと水の交換、トイレの掃除といった最低限のお世話だけにして、手を入れて触るのは控えるのがおすすめです。
ケージのそばで静かに話しかけたり、同じ部屋で普段どおりに過ごしたりするうちに、ハムスターは飼い主さんの声や臭いを少しずつ覚えていきます。
巣箱から出てきてごはんを食べたり、回し車で走ったりする姿が見られるようになったら、新しい環境に慣れてきたサインだと考えてよいでしょう。
おやつを使って手に慣らす
ケージのなかで落ち着いて過ごせるようになったら、手から食べ物を与えることで、人の手に慣らしていきます。
環境省のマニュアルでは、おやつを使って人の手によく慣らし、夕方などに一緒に遊ぶことで運動にもなり、よく慣れると説明しています。
最初はヒマワリの種などを指先でつまんで差し出し、ハムスターが自分から近づいて受け取るのを待つところから始めましょう。
慣れてきたら手のひらにおやつを乗せ、ハムスターが自分から手に乗ってくるのを待ち、乗ってきたら無理に持ち上げずにそのまま食べさせてあげます。
手に乗せるときは、床に近い低い位置で行い、万が一飛び降りてもケガをしない高さを保つことが大切です。
一方で同じマニュアルは、長時間手でいじることはハムスターにとって大きなストレスになり、健康を害することにも注意を促しています。
触れ合いは短い時間で切り上げ、ハムスターが自分から巣箱へ戻ろうとしたら無理に引き止めないようにしてください。
咬まれやすい場面を知っておく
ハムスターに咬まれるのは、たいていハムスターが驚いたり怖がったりしたときです。
環境省のマニュアルは、咬まれやすい場面として、ハムスターの背後や上から急につかもうとしたときを挙げています。
ほかにも、眠っているとき、仰向けになって「キーキー」と声を出しているとき、よく懐いていないときに手を出すと咬まれることがあると説明されています。
仰向けになって声を出すのは怒っているか怯えているときのしぐさなので、その様子を見たら手を引っ込めて、落ち着くまで待ちましょう。
同じマニュアルは、咬まれると意外に深い傷を受けることがあるので、幼児などが不用意にケージのなかに指を入れないよう注意する必要があるとも書いています。
小さなお子さんがいる家庭では、ハムスターに触るときは大人がそばにつくようにしましょう。
正面からゆっくり手を差し出す方法を一緒に練習しておくと、お互いにとってのトラブルを減らせます。
触ったあとは手を洗う
ハムスターに触ったあとや、ケージの掃除をしたあとは、石けんでしっかり手を洗う習慣をつけておきましょう。
環境省のマニュアルは、飼っている動物の世話の前後には手洗いやうがいをし、口移しで食べ物を与えることや一緒に寝ることは避けるよう説明しています。
また同じマニュアルは、ハムスターに咬まれたことでアナフィラキシーショックを起こした飼い主がいることにも触れています。
これはハムスターの唾液へのアレルギー反応によって起きたと考えられていて、咬まれないように注意するよう呼びかけられています。
咬まれたときは傷口を流水と石けんでよく洗い、腫れやじんましん、息苦しさなど、いつもと違う症状が出たときは早めに医療機関を受診してください。
動物の所有者には、飼っている動物に由来する感染症について正しい知識をもち、予防に必要な注意を払うよう努めることが、動物愛護管理法第7条第2項でも求められています。
健康チェックと体調不良のサイン

ハムスターは体が小さいぶん、体調を崩したときの進み方が早く、気づいたときには弱っていたということも起こりやすい動物です。
毎日のお世話のなかで様子を見る時間を少しだけつくり、普段との違いに早く気づけるようにしておくことが、健やかに過ごさせるためのいちばんの備えになります。
ここでは、毎日見ておきたいポイントと、環境省のマニュアルが挙げている主な体調不良のサインを紹介します。
診断や治療の判断は獣医師にしかできないので、ここに書いたサインに気づいたら、自己判断せずに動物病院に相談してください。
毎日見ておきたいポイント
健康チェックは、夕方にごはんを入れ替えるタイミングで、ハムスターが食べに出てきたところを観察するのが無理のないやり方です。
| 見る場所 | 普段の様子 | 気をつけたい様子 |
|---|---|---|
| 食欲 | いつもの量を食べている | ごはんが減っていない |
| 糞 | 茶褐色でコロコロしている | やわらかい、形がない、量が少ない |
| お尻・しっぽ | 乾いていてきれい | 汚れている、濡れて棒状になっている |
| 耳 | ピンと張っている | レタスのようにクシャクシャしている |
| 目・鼻 | 目やにや鼻水がない | 目やに、鼻水、くしゃみ |
| 毛並み | つやがある | 荒れている、抜けている |
| 動き | 夕方以降に活発に動く | じっとしている、歩き方がおかしい |
環境省のマニュアルでは、体の調子が悪くなると耳がレタスのようにクシャクシャした感じになるのがハムスターの特徴とされています。
同じマニュアルによると、健康なときの糞はだいたい茶褐色でコロコロしています。
週に1回はキッチンスケールなどで体重を量り、ノートやスマートフォンに記録しておくと、見た目では分かりにくい体重の減り方にも気づけるようになります。
下痢・カゼ・皮膚のトラブル
環境省のマニュアルは、ハムスターの主な病気として下痢、カゼ、皮膚病、腫瘍を挙げています。
下痢は、お尻が汚れていたり、しっぽが濡れて棒状になっていたりすることで気づくことができます。
原因として食べ物や水、飼育環境の不衛生さ、触りすぎや騒音によるストレスが挙げられています。
カゼでは、くしゃみや鼻水、目やにが出たり、ゼーゼーと苦しそうに息をしたりする様子が見られると説明されています。
同じマニュアルは昼夜の急な温度変化にさらさないことやストレスを与えないことを、日ごろ気をつけたい点として挙げています。
皮膚のトラブルでは、毛並みの荒れや脱毛、じくじくした液のにじみ、かさぶたなどが見られることがあります。
下痢はハムスターにとって命にかかわりやすい症状だと、同じマニュアルでも書かれています。
お尻の汚れに気づいたときは様子を見すぎず、その日のうちに動物病院に連絡するくらいの気持ちでいてください。
体のしこりに気づいたら
ハムスターの体をなでていて、皮膚の下にしこりのようなふくらみがあることに気づく場合があります。
環境省のマニュアルでは、腫瘍について、さわると体にしこりがあるのに気づくことがあり、早く見つけるためには体にふれて観察することが大切だと説明しています。
しこりが見つかっても、それが何なのかは獣医師が診なければ分からないので、大きさや場所をメモして、できるだけ早めに動物病院で相談してください。
手に慣れているハムスターなら、手に乗せたときに背中やお腹をやさしくなでて確かめる習慣をつけておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。
小動物を診られる動物病院を探しておく
動物病院のなかには、犬と猫を中心に診療していて、ハムスターなどの小動物は診療の対象外というところもあります。
環境省のマニュアルでも、同じ小型の哺乳類であるウサギの項目で、日ごろから小型動物を診療できる動物病院を見つけておくことが勧められています。
あわせて、ある程度定期的に検診を受けることが、病気の早期発見につながると説明されています。
ハムスターを迎えたら、体調を崩す前に、通える範囲にハムスターを診てもらえる病院があるかを電話やホームページで確かめておきましょう。
夜間や休日に対応している病院があるかどうかも、あわせて調べておくと、いざというときに慌てずにすみます。
病院に連れて行くときは、普段使っている床材を少し入れた小さなキャリーケースに移し、移動中に冷えたり暑くなったりしないよう気を配ってください。
ハムスターを飼う人が知っておきたい責任

ハムスターは手軽に飼えるペットというイメージをもたれがちですが、法律のうえでは犬や猫と同じように、飼い主としての責任が定められている動物です。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護管理法)の第44条第4項では、人が飼っている哺乳類・鳥類・爬虫類は「愛護動物」にあたるとされ、ハムスターもここに含まれます。
ここでは、同じ法律の第7条に書かれている飼い主の努めをもとに、ハムスターを飼ううえで押さえておきたい責任を整理します。
最後まで飼うことは飼い主の努め
動物愛護管理法の第7条第4項は、できる限り動物がその命を終えるまで適切に飼うこと、つまり「終生飼養」に努めなければならないと飼い主に求めています(e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」)。
ハムスターの寿命は2〜3年ほどなので、迎える時点で「この先2〜3年の暮らしのなかで、毎日のお世話と温度の管理を続けられるか」を考えておくことが大切です。
引っ越しの予定がある場合は、新しい住まいがペット可かどうかや、ケージを置ける場所と空調があるかどうかも、先に確かめておきましょう。
また、同じ法律の第44条第3項は、愛護動物を遺棄した者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めていて、飼えなくなったからといって公園や野外に放すことは罰則の対象になります。
どうしても飼い続けられない事情ができたときは、家族や知人に引き取り先を相談するなど、次の飼い主を探す方法を考えてください。
オスとメスを一緒に飼わない
同じ第7条の第5項は、飼っている動物がむやみに繁殖して適切に飼えなくなることのないよう、繁殖に関する適切な措置をとるよう飼い主に求めています。
ハムスターは繁殖力がとても強い動物で、環境省のマニュアルによると、生後約5週間で繁殖できる体になります。
メスの性周期は4日、妊娠期間は16日前後で、一度に4〜13頭を産むと説明されています。
同じマニュアルは、1年中繁殖が可能で性周期も短いため、繁殖を希望しないならオスとメスを一緒に飼うのは禁物だとしています。
繁殖させたい場合も、生まれた子どもの数だけケージが必要になるため、それだけの数を最後まで飼えるかを考えたうえで判断してください。
ペットショップで迎えるときに性別を確認しておくことも、思わぬ繁殖を避けるための大切な一歩です。
脱走を防ぐ工夫
動物愛護管理法の第7条第3項は、飼っている動物が逃げ出さないよう必要な措置をとることも、飼い主の努めとしています。
ハムスターは体が小さく、ケージの扉の閉め忘れや、金網のわずかなすき間から外に出てしまうことがあります。
一度部屋に逃げ出すと、家具のすき間や家電の裏に入り込み、コードをかじったり、見つけられないまま体力を消耗したりするおそれがあります。
扉は留め具やクリップで固定し、掃除のあとに閉め忘れがないかを確かめる習慣をつけると、うっかりの脱走を減らせます。
ドワーフハムスターのような小さな種類を金網のケージで飼うときは、金網の間隔が体の大きさに合っているかも確かめてください。
家を空けるときの考え方
旅行や出張、帰省などで家を空けることは、ハムスターを飼っていれば一度は向き合うことになる場面です。
ハムスターはひとりで暮らす動物なので、同じ部屋で毎日一緒に過ごす必要はありません。
それでも、ごはんと水の補充、室温の管理、体調の確認は、飼い主さんが家にいない日にも途切れさせることができないお世話です。
留守にできる日数の目安や、出かける前に準備しておくことは、家を空ける日数や季節、部屋の空調の状態によって変わるため、この記事では細かく扱いません。
家を空けるときの選択肢には、「連れて行く」「家族や知人に頼む」「預ける」「自宅に来てもらう」の4つがあります。
ハムスターは環境の変化に敏感な動物なので、住み慣れたケージと部屋のまま過ごせる方法を優先して考えるのが基本です。
施設に預ける場合と自宅に来てもらう場合の違いは、ペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説で詳しく比べています。
ハムスターのお世話を頼める先を探すなら

ハムスターを飼っていると、旅行や出張のほかにも、急な入院や家族の用事、仕事の繁忙期など、いつものお世話を続けにくい日がやってくることがあります。
そうしたときに備えて、家族や知人以外にもお世話を頼める先を、元気なうちからひとつ知っておくと、いざというときに慌てずにすみます。
選択肢のひとつが、飼い主さんの自宅に来てお世話をしてくれるペットシッターです。
ペットシッターに頼む場合、ハムスターは住み慣れたケージと部屋のまま過ごせるので、移動や環境の変化による負担を小さくできるのが大きな特徴です。
ごはんと水の補充、トイレや床材の掃除、室温の確認、体調の変化の記録は、この記事で紹介してきたお世話そのものです。
これらをいつもどおりに続けてもらえるかどうかが、依頼先を選ぶときの目安になります。
ペットシッターが実際にどのようなことをするのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説で詳しく紹介しています。
依頼先を決めるときは、事前の打ち合わせでケージの置き場所やごはんの量、温度の設定、普段の様子を伝えられるかどうかを確かめておくと、いつものお世話との違いを小さくできます。
ハムスターの場合、打ち合わせで伝えておきたいのは、ペレットと副食の種類と量、ごはんを入れる時間帯、エアコンの設定温度です。
ケージの扉の留め具の使い方や、普段の糞の状態、よく活動する時間帯もあわせて伝えておきましょう。
ハムスターは夕方から夜に活動するため、訪問できる時間帯を夕方以降に合わせられるかどうかも、依頼する前に確かめておきたいポイントです。
昼間に訪問してもらう場合は、寝ているところを起こさないよう巣箱をのぞかない、ごはんと水の補充だけで済ませるといったお願いを、あらかじめ伝えておくとよいでしょう。
初めて依頼するときは、本番の前に自宅での打ち合わせの機会があるかを確認し、ケージの配置や普段の様子を実際に見てもらえると、当日のお世話との違いをさらに小さくできます。
動物を預かってお世話をする事業者には、動物愛護管理法にもとづく第一種動物取扱業の登録が必要なので、依頼する前に登録の有無を確認しておきましょう。
第一種動物取扱業とは、動物の販売や保管、訓練などを仕事として行う事業者に求められる、都道府県などへの登録のことです(環境省「第一種動物取扱業者の規制」)。
選ぶときのチェックポイントはペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントに、料金の考え方はペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説にまとめています。
ペットシッタープレミアムステージは、ペットシッターの店舗を探せる検索サイトで、ハムスターのお世話に対応している店舗を一覧で調べることができます。
料金や対応できる時間帯、お世話の内容、対応エリアは店舗ごとに異なるため、気になる店舗が見つかったら、各店舗のホームページから詳しい内容を問い合わせてみてください。
ハムスターの飼い方でよくある質問

最後に、ハムスターを飼いはじめる前後によく寄せられる疑問を4つ取り上げます。
どれも個体差が大きいテーマなので、ここでの答えはひとつの目安として受け止め、実際の様子を見ながら判断してください。
ハムスターは人に懐く?
ハムスターは犬や猫のように飼い主を呼んだり後をついてきたりする動物ではありません。
それでも時間をかけて慣らしていくと、手に乗ってごはんを食べたり、人の手を怖がらなくなったりする個体は多くいます。
環境省が犬猫以外の哺乳類について専門家の意見を集めた検討会の資料には、ハムスターが触れ合いを求めているとは考えにくいという意見も紹介されています。
同じ資料には、触れ合いは必要だが個体にとってストレスであれば咬むという意見も並んでいて、目的に応じてケースバイケースで考える必要があるとまとめられています。
「懐かせる」ことを目標にするよりも、ハムスターが人の手や声を怖がらずに過ごせる関係を目指しましょう。
そう考えるほうが、ハムスターにとっても飼い主さんにとっても無理がありません。
触れ合いの時間は短く区切り、ハムスターが嫌がるそぶりを見せたら、その日はそこで終わりにしましょう。
部屋んぽはさせたほうがいい?
部屋んぽとは、ハムスターをケージから出して部屋のなかを歩かせることで、ハムスターの散歩という意味で「ハム散歩」と呼ばれることもあります。
広いケージと回し車で運動が足りていれば、部屋んぽは必須ではありません。
環境省の検討会資料には、運動スペースに出す時間を決められることで、かえってストレスを与えることもあるという意見や、運動させようとしても寝ている場合があるという意見も載っています。
部屋んぽをさせる場合は、サークルで囲った範囲のなかだけにして、電気のコードや家具のすき間をふさいでおきましょう。
飼い主さんがそばで目を離さないようにして、短い時間から試してください。
一人暮らしでも飼える?
ハムスターは散歩の必要がなく、単独で暮らす動物なので、一人暮らしで日中は家を空ける方でも、夕方以降のお世話に生活リズムを合わせやすい面があります。
ただし、夏と冬の温度管理のためにエアコンを使う日が多くなることや、夜中に回し車の音がすることは、迎える前に想定しておきたい点です。
仕事で帰りが遅くなる日が続いても、夕方から夜にかけてのお世話の時間を毎日少しでも確保できるかどうかが、一人暮らしで飼えるかを判断する目安になります。
毎日のお世話そのものは、ごはんと水の交換、トイレの汚れ取り、健康チェックを合わせても長い時間はかからないので、帰宅後の習慣に組み込めれば無理なく続けられます。
出張や帰省で家を空けることが多い方は、お世話を頼める家族や知人、あるいはペットシッターの目星を、迎える前につけておくと心強いでしょう。
ハムスターは臭いがする?
環境省のマニュアルでは、ハムスターは管理が悪くなければ臭いはほとんど出ないと説明されています。
臭いが気になるときは、トイレの砂が汚れたままになっていないか、巣のなかに傷んだ食べ物がたまっていないか、床材が湿っていないかを確かめてみてください。
ただし臭いを消そうとして掃除のたびに床材をすべて入れ替えると、ハムスターが落ち着かなくなることがあります。
汚れた部分をこまめに取り除き、全体の交換は週1回にとどめるのがおすすめです。
まとめ

ハムスターの飼い方は、夕方から夜に活動し、単独で暮らし、たくさん動き回るという野生での習性に合わせて整えるのが基本です。
ケージは高さより床面積を優先し、床材は潜れるくらい厚めに敷き、巣箱と回し車、トイレ、給水ボトル、かじり木をそろえてから迎えると、初日から落ち着いて過ごせる環境をつくれます。
置き場所は、静かで直射日光とエアコンの風が当たらない場所を選びます。
室温は15℃を下回らないようにしながら、1日のなかで温度が大きく変わらないよう温度計で確かめることが大切です。
食事は専用のペレットを主食にして、1日1回、夕方に与え、傷みやすい副食の食べ残しや巣にため込んだ生ものは早めに取り除きましょう。
掃除は汚れた部分を毎日取り除き、週1回の床材交換では汚れていない古い床材を少し残すという強弱をつけると、清潔さとハムスターの落ち着きを両立できます。
寿命はふつう2〜3年と短いので、耳や糞、お尻の汚れ、体重といった毎日の小さな変化に気づけるよう観察を続けましょう。
気になる様子があれば小動物を診られる動物病院に早めに相談してください。
家を空ける日やお世話を続けにくい日のために、頼める先を元気なうちから探しておくと、住み慣れた部屋のままハムスターの暮らしを守りやすくなります。
ハムスターのお世話に対応しているペットシッターは、ペットシッタープレミアムステージのハムスターのお世話のページから探すことができます。







