旅行や帰省、出張の予定が決まったとき、金魚を飼っている方の多くが最初に悩むのが「留守のあいだの餌をどうするか」という問題です。
犬や猫と違って金魚は預け先を探しにくく、水槽ごと運ぶのも現実的ではないため、家に置いたまま出かける方法を考えることになります。
「数日なら餌をあげなくても平気なのか」「出発前にたっぷりあげておけば足りるのか」「自動給餌器は買ったほうがいいのか」と、調べるほど情報がばらばらで迷ってしまう方も少なくありません。
先にお伝えすると、健康な成魚であれば、1週間ほどは餌を与えなくても大丈夫だとされています。
一方で、留守中に金魚が弱ってしまう原因として多いのは、餌が足りないことよりも、食べ残しによる水の汚れや、夏場の水温の上がりすぎのほうです。
この記事では、愛知県水産試験場が公開している「金魚飼育質問集」や観賞魚用飼料メーカーの資料をもとに、留守にする日数ごとに何をすればよいかを順番に整理していきます。
自動給餌器を使うときのコツや、出発前に整えておきたい水槽の環境、季節ごとの水温対策、そして長く家を空けるときに人の手を借りる方法まで取り上げるので、出発前のチェックに役立ててください。
目次
金魚は旅行中に餌をあげなくても大丈夫?

旅行の準備を始めると、まず気になるのが「金魚は何日くらいなら餌なしで過ごせるのか」という点ではないでしょうか。
結論からいえば、数日から1週間ほどの留守であれば、餌のために特別な手を打たなくても困ることはほとんどありません。
ただし、金魚の年齢や体調、水槽の状態によって事情は変わるため、ここでは目安となる日数とその前提条件を確認していきます。
健康な成魚なら1週間ほどの絶食に耐えられる
愛知県水産試験場の「金魚飼育質問集」では、1週間留守にするときの質問に対して、金魚は長期の絶食にも耐えられるので、1週間絶食させても死ぬことはないと回答しています(愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」)。
観賞魚用飼料メーカーのキョーリンも、よくある質問のなかで「金魚は、1週間ぐらいはエサを与えなくても大丈夫です」と案内しています(キョーリン「金魚 よくあるQ&A」)。
金魚は体温が水温とともに変わる変温動物なので、じっとしている時間が長ければエネルギーの消費も少なく、数日食べないだけで急に体力が尽きることはありません。
同じ質問集では、餌の量を「1日に1回、5分間で食べきる程度」とし、冬に屋外で飼う場合は週1回程度で十分だとしています。
もともと毎日たくさん食べ続けなければ生きられない生き物ではない、という前提を知っておくと、数日の留守に対する不安はかなり小さくなるはずです。
絶食が長引くと体が細くなることがある
「1週間は大丈夫」という話を、「何日でも放っておける」と受け取らないことが大切です。
同じ質問集には、あまりに長く絶食させると、体が細くなったり色が悪くなったりする影響が出ることもあるという注意も添えられています。
インターネット上には「2週間でも平気」「1か月なら飢え死にしない」と書かれた記事もありますが、死なないことと元気に過ごせることは同じではありません。
とくに体の丸い琉金やオランダシシガシラなどは、痩せると見た目の変化が分かりやすく、帰宅後に体形が戻るまで時間がかかることもあります。
1週間を超える留守になるときは、あとで紹介する自動給餌器や留守番用のフード、あるいは人に世話を頼む方法を組み合わせることを考えてみてください。
稚魚や迎えたばかりの金魚は事情が違う
1週間という目安は、あくまで健康な成魚を前提にした数字です。
生まれて間もない稚魚は体が小さく蓄えも少ないため、成魚と同じ感覚で何日も餌を抜くと、成長が止まったり弱ったりしやすくなります。
また、お祭りの金魚すくいやペットショップから迎えたばかりの金魚は、移動の振動や水温の変化で体力を消耗していることがあります。
愛知県水産試験場の質問集でも、買ってきたばかりの金魚は弱っていることがあり、購入後3〜4日は餌を控えて様子を見るよう勧めています。
迎えてすぐに旅行の予定が入っている場合は、留守中の餌よりも、出発までに水槽の環境に慣れているかどうかを先に確かめておくと判断しやすくなります。
体調を崩している金魚がいるときは、家を空ける前に購入した専門店や、魚を診られる動物病院に相談しておくと、留守中の対応を決めやすくなります。
留守中に本当に怖いのは餌切れより水の悪化
ここまで見てきたように、健康な成魚にとって数日の絶食はそれほど大きな負担ではありません。
留守中にもっと気をつけたいのは、水槽の水が汚れて金魚が過ごしにくい状態になることと、夏場に水温が上がりすぎることの2つです。
水槽のなかでは、金魚のフンや食べ残しから有害な物質が少しずつ出ており、ふだんは飼い主の水換えやフィルターの掃除によってそのバランスが保たれています。
家を空けているあいだはその手入れができず、異変が起きても誰も気づけないため、出発前の準備が留守中の状態をほぼ決めてしまうといっても大げさではありません。
次の章からは、なぜ出発前に餌を多めにあげてはいけないのかを確かめたうえで、日数ごとの対策と水槽の整え方を具体的に見ていきます。
旅行前に餌を多めにあげてはいけない理由

「しばらく会えないから、出発前にたくさん食べさせておこう」という気持ちは、金魚をかわいがっている方ほど自然にわいてくるものです。
ところが、この「出発前の食べだめ」は、観賞魚用品メーカーのGEXが、水質の悪化で帰宅後に全滅していたという例も少なくないとして、やめるよう呼びかけている行動です(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
キョーリンのよくある質問でも、多めに与えると残った餌が水を汚す原因になるので、お出かけの朝もいつもどおりに餌を与えるようにと案内されています(キョーリン「金魚 よくあるQ&A」)。
なぜ多めの餌が逆効果になるのかを、水槽のなかで起きていることから順に見ていきましょう。
食べ残しとフンは有害なアンモニアに変わる
金魚が食べきれずに底へ沈んだ餌や、食べたあとに出るフンは、時間がたつと分解されてアンモニアという有害な物質に変わります。
アンモニアは金魚のエラや体に負担をかける物質で、水のなかに少しずつたまっていくと、元気がなくなったり水面で口をパクパクさせたりする様子が見られるようになります。
厄介なのは、アンモニアが無色透明で、目で見ても水が汚れているとは分かりにくい点です。
キョーリンの飼い方ガイドでも、毒性のある物質は無色透明なので、透明な水がきれいな水とは限らないと説明されています(キョーリン「金魚の飼い方」)。
餌を多く入れるほど、食べ残しが増えるだけでなく、食べた分だけフンの量も増えるため、水を汚す材料は二重に増えていくことになります。
さらに、金魚は胃を持たない魚だとされ、一度に大量に食べておいて後から少しずつ消化するような食べだめには向いていません(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
ろ過が追いつかないと水は短期間で傷む
水槽に取り付けたろ過フィルターの内部には、アンモニアを分解してくれるバクテリアがすみついています。
キョーリンの説明によると、ろ過装置はこのバクテリアのはたらきで排泄物を硝酸という比較的害の少ない物質に変えますが、汚れそのものを消してくれるわけではありません。
バクテリアが処理できる量には限りがあるため、ふだんの何倍もの食べ残しが一度に入ると分解が追いつかず、アンモニアが水にたまりやすくなります。
とくに、コップ型の投げ込み式フィルターや小型の外掛け式フィルターを使っている小さな水槽は、水量が少ないぶん汚れの影響を受けやすく、数日で水質が大きく崩れることもあります。
夏場は水温が高いぶん食べ残しの分解も早く進み、同時に水に溶ける酸素も減っていくため、汚れと酸素不足が重なって金魚にとって厳しい状態になりがちです。
帰宅したら水が白く濁り、においも強くなっていたというケースの多くは、この流れで起きていると考えられます。
出発の朝もいつもどおりの量にする
留守中の水を守るためにできるもっとも簡単な工夫は、出発の日の朝もふだんと同じ量の餌を与えて、そのまま出かけることです。
愛知県水産試験場の質問集にあるとおり、目安は5分間で食べきれる程度の量です。
与えたあとに底へ沈んだ食べ残しがあれば、スポイトや小さな網で取り除いてから家を出ると、水の汚れをさらに抑えられます。
前日の夜や当日の朝に、いつもより餌を少なめにしておくという飼い主さんもいますが、健康な成魚であれば、それで体調を崩すことはまずありません。
家族で飼っている場合は、出発前のあわただしい時間に何人かがそれぞれ餌をあげてしまい、結果として普段の何倍も入っていたということも起こりがちです。
「誰が、いつ最後の餌をあげるのか」をあらかじめ決めておき、ほかの家族には手を出さないよう伝えておくと、こうした重複を防げます。
留守中の金魚にとっては、たくさん食べることよりも、きれいな水で落ち着いて過ごせることのほうがずっと大切です。
留守にする日数別の対策

金魚の留守番で準備しておくべきことは、家を空ける日数によって大きく変わります。
1泊2日の旅行と2週間の出張では、同じ「留守」でも考えるべき点がまったく違うため、ここでは日数ごとに区切って対策を整理しました。
| 留守にする日数 | 餌について | 主な準備 |
|---|---|---|
| 1〜3日 | 与えなくてよい | 出発の朝にいつもどおり与え、食べ残しを取り除く |
| 4日〜1週間 | 基本的に与えなくてよい | 水換えの時期を調整し、夏冬は水温対策をしておく |
| 1〜2週間 | 自動給餌器や留守番用フードを検討 | 給餌器の試運転、照明のタイマー設定、水温対策 |
| 2週間超 | 人に世話を頼むことを考える | 世話をする人への引き継ぎ、鍵の受け渡し |
表の日数はあくまで健康な成魚を前提にした目安なので、稚魚がいる場合や夏の暑い時期は、一段階短い日数から対策を始めるくらいの気持ちで考えてください。
1〜3日は特別なことをしなくてよい
週末の旅行や1泊の出張のように1〜3日の留守であれば、餌については何もしなくてかまいません。
先に紹介したとおり、健康な成魚は1週間ほどの絶食に耐えられるとされているため、2〜3日餌がなくても体に大きな影響はないと考えられます。
この日数で気をつけたいのは、餌よりもむしろ室温で、真夏にエアコンを切って窓を閉め切ったまま出かけると、たった1日でも水温がかなり上がることがあります。
出発の朝にいつもどおりの量を与え、フィルターとエアレーションが動いていることを確かめ、季節に合わせて室温の対策をしておけば、準備としては十分です。
4日〜1週間は水質と水温の準備を優先する
4日から1週間ほど家を空ける場合も、健康な成魚であれば餌を与えなくても大丈夫な範囲に入ります。
その代わり、日数が延びるほど水の汚れはたまっていくため、出発前に水槽の状態をよい方向へ整えておくことが大切になります。
具体的には、ふだんの水換えの予定を少し前にずらして出発の数日前に済ませておくことと、夏場や冬場は水温が大きく変わらないように空調やヒーターを確認しておくことの2点です。
水換えのタイミングと量については、次の章で詳しく触れます。
1〜2週間は自動給餌器や留守番用フードを検討する
1週間を超えて家を空けるときは、痩せや色の変化を避けるために、何らかの方法で少量の餌を補うことを考えます。
代表的な方法が、決まった時刻に決まった量の餌を落としてくれる自動給餌器で、観賞魚用品メーカー各社から、1日の給餌回数や時刻を設定できる製品が販売されています。
もうひとつの方法が留守番用に作られたフードで、キョーリンは腐りにくさと栄養価に配慮した留守番用フード「ルスタクス」を紹介しています。
どちらも便利な道具ですが、使い方を誤ると水を汚す原因にもなるため、あとの章で紹介する注意点を確認してから取り入れてください。
2週間を超えるなら人に様子を見てもらう
2週間を超える留守になると、餌だけでなく、水の汚れや水位の低下、機材の故障といった問題が起きる可能性も高くなります。
自動給餌器は餌を落とすことはできても、水換えをしたり、止まったフィルターを動かし直したりすることはできません。
長く家を空けるほど、道具だけに任せず、誰かに様子を見てもらう方法をあわせて考えることが大切です。
家族や近くに住む知人に頼める場合は、鍵を預けて数日に1回のぞいてもらい、餌を少しだけ与えて水槽の様子を確かめてもらうだけでも、留守中に起きたトラブルに早く気づけます。
頼める相手が見つからないときは、自宅に来て世話をしてくれるペットシッターに依頼する方法もあり、これについては記事の後半で詳しく紹介します。
自動給餌器を使うときのポイント

自動給餌器は、タイマーで設定した時刻になると、本体にためた餌を一定量ずつ水槽へ落としてくれる道具です。
水槽のフチに取り付けて電池で動かすタイプが多く、製品によって1日1回から数回まで給餌の回数を選べるため、1週間を超える留守の心強い味方になります。
ただし、餌が出すぎたり、逆にまったく出なかったりすると、留守中の水槽にとってはむしろ負担になるため、使い方にはいくつかのコツがあります。
1回の量は普段より控えめに設定する
自動給餌器を使うときにまず意識したいのは、1回に出る量をふだん手で与える量より少なめに設定することです。
手で与えるときは金魚の食べる様子を見ながら加減できますが、給餌器は金魚がお腹いっぱいでも、設定どおりの量を落とし続けます。
食べ残しが出ても誰も取り除いてくれないため、数日分の残りが底にたまると、出発前に餌を多めにあげたときと同じ状態になってしまいます。
留守の期間は痩せないように少しだけ補えれば十分と考え、1日1回、食べ残しがまず出ない量にとどめておくのが無難です。
2〜3日に1回だけ給餌するように設定できる製品もあるので、水槽の大きさや金魚の数に合わせて選ぶとよいでしょう。
出発の1週間前から試運転しておく
給餌器は、買ってきてすぐ本番で使うのではなく、出発の1週間ほど前から実際に動かして様子を見ておくと失敗を減らせます。
試運転で確かめたいのは、設定した時刻に動くか、1回に出る量がどのくらいか、そして出た餌を金魚が食べきれているかの3点です。
フレーク状の餌と粒状の餌では、同じ目盛りでも出る量がかなり違うことがあり、実際に落としてみないと分からない部分が多くあります。
また、給餌器を水槽のフチに取り付けたとき、フタとぶつかって落ちる位置がずれたり、フィルターの水流で餌がすぐに吸い込まれたりすることもあります。
試運転の期間中は手で餌を与えるのをやめて給餌器だけに任せ、1週間のあいだ金魚の様子と水の状態に問題がないかを確かめておくと、本番でも落ち着いて出かけられます。
乾電池で動くタイプは、出発直前に新しい電池へ交換しておくことも忘れないでください。
照明をタイマーで点けておく
自動給餌器を使うときに見落とされやすいのが、水槽の明るさです。
観賞魚用品メーカーのGEXは、フードクロックなどの給餌器を使う場合は、日中に日の光で明るくなる部屋か、タイマーで照明が点く環境が必要だと案内しています(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
金魚は明るい時間に活動して餌を食べる魚なので、雨戸やカーテンを閉め切った暗い部屋では、餌が落ちてきても気づかずに食べ残してしまうことがあります。
水槽用の照明をコンセント式のタイマーにつないで、朝から夕方までの決まった時間だけ点くようにしておき、給餌の時刻は照明が点いているあいだに合わせるのが基本です。
照明を長時間点けっぱなしにすると、水槽のガラス面にコケが増えやすくなるため、点灯時間はふだんと同じくらいに抑えておきましょう。
湿気で餌が固まるトラブルに備える
自動給餌器のトラブルとしてよく聞かれるのが、餌が湿気を吸って固まり、出口に詰まってしまうというものです。
水槽のすぐ上は水面から立ちのぼる湿気の影響を受けやすく、フレークや粉状の餌ほど日がたつにつれて固まりやすくなります。
餌が詰まると給餌がまったく行われなくなるだけでなく、ある日まとめて落ちてしまい、一度に大量の餌が水槽に入ることもあります。
対策としては、湿気を吸いにくい粒状の餌を選ぶこと、給餌器の容器にふだんより多くの餌を詰め込まないこと、そして試運転の期間中に固まる様子がないかを確認しておくことが挙げられます。
製品によっては送風ファンや乾燥剤を入れられる構造になっているものもあるため、長めの留守で使う予定がある方は、購入前に確認してみてください。
出発前に整えたい水槽の環境

留守中の金魚が落ち着いて過ごせるかどうかは、出発時点の水槽の状態でほぼ決まります。
家を空けているあいだは手入れができない以上、出発前に「いつもどおりに整った状態」を作っておくことが、何よりの備えになります。
ここでは、水換えとフィルター掃除のタイミング、立ち上げて間もない水槽の扱い、そして酸素の確保について見ていきます。
水換えは出発の数日前までに済ませる
水換えのタイミングについては、「出発の前日にする」「3日前までに済ませる」「直前は避ける」など、情報によって言っていることが少しずつ違います。
こうした違いはあっても、多くの情報に共通しているのは、いつもと同じ量の水換えを、少しだけ前倒しして行うという考え方です。
キョーリンは、立ち上げて1か月以上たった水槽なら1〜2週間に1回、水槽の3分の1ほどを換える頻度を目安にしています(キョーリン「金魚 よくあるQ&A」)。
この頻度で水換えをしている方なら、ふだんの予定を出発の2〜3日前にずらしておくと、新しい水に金魚が慣れたことを確かめてから出かけられます。
水換えのあとに金魚の様子がおかしくないか、水が白く濁っていないかを1〜2日見届けられると、留守中に起きる変化を小さくできます。
水道水を使う場合は、塩素を中和する薬を使うか、汲み置きして塩素を抜いた水を使いましょう(愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」)。
あわせて、入れる水の温度もいまの水槽の水と大きく変わらないように合わせておきましょう。
ろ過フィルターの掃除は直前にしない
フィルターの掃除も、出発の直前には行わないほうが無難です。
フィルターのろ材には、アンモニアを分解してくれるバクテリアがすみついており、掃除のしかたによってはこのバクテリアが一時的に減ってしまいます。
GEXも、旅行の直前に大がかりな水換えやろ過槽の掃除をするのは避け、日頃から定期的に手入れをしておくことをすすめています。
フィルターの掃除が必要な時期と重なってしまったときは、出発の1週間以上前に済ませておき、水換えとは日をずらして行うと、バクテリアへの影響を小さくできます。
ろ材を洗うときは、水道水ではなく水槽から汲み出した飼育水で軽くすすぐ程度にとどめるのが一般的です。
立ち上げて間もない水槽は特に注意する
水槽をセットしてからまだ日が浅い場合は、ほかの水槽より慎重に準備する必要があります。
キョーリンによると、ろ過のはたらきを担うバクテリアは、ろ材や砂利のなかで約1か月かけて自然に増えていくとされています(キョーリン「金魚の飼い方」)。
立ち上げ直後の水槽はバクテリアがまだ少なく、アンモニアを分解する力が弱いため、キョーリンはセットから2〜3週間は2〜3日に1回、3分の1ほどの水換えをするよう案内しています。
このように頻繁な手入れが必要な時期に何日も家を空けると、留守中に水質が大きく崩れるおそれがあります。
水槽を立ち上げて1か月たっていない時期に長めの留守が重なる場合は、途中で誰かに水換えを頼めないかを検討しておくと心強いでしょう。
エアレーションで酸素を確保する
留守中の水槽では、酸素不足にも気を配っておきたいところです。
キョーリンは、金魚が水面近くで口をパクパクさせているときは、飼育数に対して酸素が足りていないと考えられるとし、ブクブク(水中フィルター)やろ過装置で酸素をたくさん加えるよう勧めています。
エアーポンプから空気を送り出すエアレーションは、水面を波立たせて酸素を水に溶かし込むはたらきがあり、とくに水温が上がりやすい夏場には欠かせない設備です。
ふだんはエアレーションを使っていない水槽でも、留守の期間だけ追加しておくと、酸素不足のリスクを減らせます。
出発前には、エアーチューブが外れていないか、エアストーンが詰まって泡が弱くなっていないか、フィルターの吸い込み口にゴミが絡んでいないかをひと通り確認しておきましょう。
季節ごとの水温対策

留守中の金魚にとって、餌よりも影響が大きくなりやすいのが水温の変化です。
とくに夏と冬は、人がいない部屋の温度が想像以上に上がったり下がったりするため、季節に合わせた対策を出発前に済ませておきましょう。
夏は閉め切った部屋の水温上昇に気をつける
夏の留守でもっとも注意したいのが、閉め切った部屋で水温が上がりすぎることです。
GEXは、閉め切った室内は35℃以上になることもあり、水温も同じくらいまで上がることがあると注意を呼びかけています(GEX「旅行で家を空ける…お魚は大丈夫?」)。
水温が上がると水に溶けている酸素が減る一方で、金魚の呼吸や食べ残しの分解は活発になるため、酸素不足と水質の悪化が同時に進みやすくなります。
防犯のために雨戸やカーテンを閉めて出かけると日差しは防げますが、風通しがなくなって部屋に熱がこもることもあるため、室温そのものを下げる手立てをあわせて考えてください。
エアコンのタイマーや冷却ファンを使う
夏の留守で水温を保ちやすいのは、水槽を置いた部屋のエアコンを動かしたままにしておく方法です。
電気代は気になるところですが、1日中つけておくのが難しい場合は、気温の上がる日中だけ動くようにタイマーを組み合わせるだけでも、室温の上がり方をかなり抑えられます。
エアコンを使えない部屋では、水面に風を当てて気化熱で水温を下げる水槽用の冷却ファンや、水を冷やす観賞魚用のクーラーを使う方法もあります。
クーラーは冷やす力が強い反面、GEXによると外部式フィルターか、フィルター機能の付いた水中ポンプと接続して使う必要があり、ふだん使っていない方が旅行のためだけに導入するのはハードルが高いかもしれません。
冷却ファンは蒸発で水位が下がる
冷却ファンは手軽に使える便利な道具ですが、水を蒸発させて温度を下げるしくみのため、水位が早く下がる点に注意が必要です。
1週間ほど家を空けると、水槽の大きさや室温によっては水位が目に見えて下がり、外掛け式フィルターの吸い込み口が水面から出て空回りしてしまうこともあります。
出発前に水位をふだんより少し高めにしておくことや、蒸発した分の水を少しずつ足す給水用の器具を使うことで、この問題を和らげられます。
冬はヒーターの有無で考え方が変わる
冬の留守は夏ほど神経質にならなくてもよい場合が多いものの、ヒーターを使っているかどうかで考え方が変わります。
愛知県水産試験場の質問集では、金魚は野外でも飼えるので、ヒーターなしで飼育しても問題ないとしています。
あわせて、ヒーターで水温を一定に保つと急な水温変化のストレスを受けにくいとも説明しています(愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」)。
ヒーターなしで飼っている水槽は、水温が下がると金魚の動きがゆっくりになり、餌もあまり必要としなくなるため、冬の留守はほかの季節より餌の心配が少なくなります。
一方で、ヒーターを使って水温を一定にしている水槽では、留守中にヒーターが故障したり、水位が下がってヒーターが水面から出てしまったりすると、急な温度変化や空焚きにつながるおそれがあります。
出発前にはヒーターの設定温度とランプの点灯を確かめ、ヒーター全体がしっかり水に沈んでいるかを見ておくと、冬の留守のトラブルを減らせます。
直射日光と停電への備え
季節を問わず気をつけたいのが、水槽に当たる直射日光と、留守中の停電です。
窓際に水槽を置いていると、日差しが当たる時間だけ水温が急に上がり、夜になると下がるという大きな変化が毎日くり返されることになります。
留守にする期間だけでも、カーテンやすだれで直射日光を遮っておくと、水温の上下を小さくできるうえ、コケが増えるのも抑えられます。
また、雷や台風で停電が起きると、フィルターやエアーポンプ、ヒーターがすべて止まってしまい、復旧しても自動で動き出さない機器もあります。
旅行先で住んでいる地域の停電を知ったときに、様子を見に行ってもらえる人を決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
金魚の留守番でやってはいけないこと

ここまでの内容を踏まえて、よかれと思ってやりがちなのに、留守中の金魚を弱らせるおそれがある行動をまとめておきます。
出発前の準備をひと通り終えたら、この章の内容に当てはまるものがないか最後に見直してみてください。
直前に大量の水換えをする
「しばらく水換えができないから」と、出発の直前に水槽の半分以上の水を換えたり、すべての水を入れ替えたりするのは避けたい行動です。
一度に大量の水を換えると、水温や水質が急に変わって金魚に負担がかかるうえ、水槽のなかのバクテリアのバランスも崩れやすくなります。
水換えのあとに金魚が体調を崩しても、すぐに出発してしまえば誰も気づけません。
同じ理由で、底に敷いた砂利をすべて取り出して洗ったり、水槽のレイアウトを大きく変えたりするような大掃除も、出発前の数日間は控えておくほうがよいでしょう。
砂利のすき間にもろ過を助けるバクテリアがすみついているため、きれいにしたつもりが、かえって汚れを分解する力を弱めてしまうことがあります。
出発の直前に新しい金魚を追加するのも、水槽のなかの数が増えて水を汚す量が増えるうえ、新しい金魚が環境に慣れるまで様子を見られないため、帰宅後に回すのが賢明です。
水換えは、ふだんと同じ量を出発の数日前に済ませておき、その後の様子を見届けてから出かけるのが基本です。
水草や餌を大量に入れておく
留守中の非常食として、金魚が食べられる水草を入れておく方法が紹介されることがあります。
カボンバやマツモ、アナカリスといった水草は、金魚がついばんでも水を汚しにくい食べ物になりえますが、入れすぎると枯れた葉が傷んで、かえって水を汚す原因になることもあります。
入れる場合は、ふだんから水槽で育てていて状態のよいものを、水槽の大きさに見合った量だけにしておくのが無難です。
同じように、沈んでいく餌を底にまいておいたり、固形の餌を多めに入れておいたりするのも、食べ残しが水を汚す点では出発前の食べだめと変わりません。
氷で水温を下げる
真夏の留守前に、水槽に氷や保冷剤を入れて水温を下げておこうと考える方もいるかもしれません。
しかし、氷で下げた水温は一時的なもので、溶けきると再び上がるため、短いあいだに水温が大きく上下することになり、金魚にとってはかえって負担になります。
水道水から作った氷には塩素が含まれている点も気になるところです。
水温を下げたいときは、氷に頼るのではなく、部屋ごと冷やすエアコンや、水槽用の冷却ファン・クーラーといった道具を使いましょう。
水槽のフタを外したままにする
ふだん水槽のフタを外して飼っている方も、留守のあいだはフタをしておくことをおすすめします。
金魚は驚いたときや水質が悪くなったときに跳ねることがあり、フタがないと水槽の外に飛び出してしまうことがあるためです。
フタには水の蒸発を抑えるはたらきもあるため、水位の低下を防ぐ意味でも役立ちます。
ただし、冷却ファンを使う場合はフタで風がさえぎられないように、ファンを取り付ける部分だけ開けるなどの工夫が必要です。
猫など、ほかのペットと一緒に暮らしている家では、留守中にいたずらされないよう、水槽の置き場所やフタの固定もあわせて確認しておきましょう。
長い旅行ならペットシッターに頼むという選択肢

2週間を超える長期の旅行や出張、入院などで長く家を空けるときは、道具だけで留守を乗り切ろうとせず、人の手を借りる方法も考えてみてください。
金魚は犬や猫のように毎日の散歩や遊び相手を必要としませんが、水換えや機材の確認は道具では代わりがききません。
金魚の世話を人に頼むメリット
人に世話を頼むいちばんのメリットは、留守中に起きた異変に気づいて、その場で対応してもらえることです。
自動給餌器は決まった量の餌を落とすだけですが、人が様子を見に来てくれれば、金魚の食べ具合に合わせて餌の量を調整したり、食べ残しを取り除いたりしてもらえます。
水が濁っていれば水換えをしてもらい、フィルターが止まっていれば動かし直してもらうといった対応ができるため、長い留守で心配になる水質の悪化や機材のトラブルにも備えられます。
金魚の場合は水槽ごとどこかへ運ぶことが難しいため、自宅に来てもらって世話をしてもらう形は、金魚の暮らし方と相性がよい方法といえます。
家族や友人に頼める場合もありますが、水換えの手順やカルキ抜きの使い方に慣れていない人だと、かえって水質を急に変えてしまうこともあるため、頼む前に手順を一緒に確認しておくと心強いでしょう。
ペットシッターがどこまでの世話に対応しているかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説で詳しく紹介しています。
施設に預ける方法との違いを知りたい方は、ペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説も参考にしてください。
頼むときに伝えておきたいこと
金魚の世話を人に頼むときは、ふだん自分がやっていることをそのまま続けてもらえるように、具体的な内容を紙に書いて渡しておくと行き違いが減ります。
- 餌の商品名と1回に与える量、与える頻度(毎回ではなく数日に1回でよいか)
- 自動給餌器を使っている場合は、その設定と、手で追加してよいかどうか
- 水換えをお願いするかどうか、する場合の量とカルキ抜きの使い方
- フィルター・エアーポンプ・ヒーター・照明のスイッチの場所と、正常に動いているときの様子
- 夏場のエアコンの設定温度と、触ってよい範囲
- 金魚の数と、それぞれの見た目の特徴
- 相談できる購入先の専門店や、魚を診られる動物病院の連絡先
「金魚の数」と「ふだんの泳ぎ方」を写真や動画で残して共有しておくと、世話をする人が異変に気づきやすくなります。
依頼先を選ぶときの見方は、ペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントにまとめています。
金魚のお世話に対応するシッターを探す
ペットシッターが対応している動物の種類は事業者ごとに異なり、犬や猫を中心にしているところもあれば、魚や小動物まで幅広く受けているところもあります。
ペットシッタープレミアムステージでは、魚など犬猫以外のペットのお世話に対応する店舗を、動物の種類から探すことができます。
掲載されている店舗の対応内容を確認したうえで、気になる店舗があれば、各店舗へ直接お問い合わせいただく流れになります。
料金や対応できる動物、時間帯、対応エリアは店舗ごとに異なりますので、金魚の世話に対応しているか、水換えまでお願いできるかといった点は、問い合わせの際に確かめてください。
料金の考え方については、ペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説で紹介しています。
金魚の旅行中の餌に関するよくある質問

最後に、金魚の留守番について飼い主さんから寄せられることの多い質問をまとめました。
屋外の池や睡蓮鉢で飼っている場合は?
屋外の池や睡蓮鉢で飼っている金魚は、水のなかに生える藻や小さな生き物を食べられることもあり、室内の水槽より餌切れの心配は小さい傾向があります。
愛知県水産試験場の質問集でも、冬に屋外で飼う場合は、餌は週1回程度で十分とされています(愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」)。
その代わり、屋外は天気の影響を直接受けるため、夏の強い日差しで水温が上がったり、大雨で水があふれて金魚が流れ出たりすることがあります。
留守にする前は、すだれで日陰を作る、水位を少し下げてあふれにくくする、鳥や猫に狙われないように網をかけるといった準備をしておくと、留守中のトラブルを減らせます。
小さな水槽でたくさん飼っている場合は?
同じ日数の留守でも、水槽の大きさに対して金魚の数が多いほど、水の汚れと酸素不足は早く進みます。
愛知県水産試験場の質問集では、45cm水槽なら全長5cmほどの金魚を3〜4尾くらいが目安として示されています(愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」)。
金魚すくいで迎えた金魚を小さなプラケースや金魚鉢でまとめて飼っている場合は、この目安を大きく超えていることが多く、フィルターがないと数日の留守でも水が傷みやすくなります。
留守の予定が決まったら、出発までの期間に大きめの水槽へ移すか、容器を分けて1つあたりの数を減らしておくと、留守中の負担を軽くできます。
移し替えは水質が落ち着くまで時間がかかるため、出発の直前ではなく、少なくとも1〜2週間前には済ませて、新しい環境で元気に過ごせているかを見届けておきましょう。
帰宅したらすぐ餌をあげてもいい?
旅行から帰ってきて金魚が寄ってくると、すぐにたくさん食べさせたくなりますが、最初の1回は少なめにして様子を見るのがおすすめです。
留守中に水が傷んでいた場合などは金魚が弱っていることもあり、愛知県水産試験場の質問集でも、弱っているときに餌を与えると死んでしまいやすい傾向があると注意されています。
帰宅したらまず水の濁りやにおい、金魚の泳ぎ方を確かめ、元気に泳いでいればふだんより少ない量から餌を再開して、数日かけていつもの量に戻していきましょう。
水が汚れているようであれば、餌より先にいつもの量の水換えをして、水の状態を整えることを優先してください。
留守中に水槽の照明は消すべき?
自動給餌器を使わない数日の留守であれば、照明を消したまま出かけても大きな問題はありません。
長めの留守の場合は、水槽に布をかけて暗くし、金魚の動きを落ち着かせるという方法が紹介されることもあります。
一方で、自動給餌器を使う場合は、先に触れたとおり明るい時間でないと金魚が餌に気づきにくいため、タイマーで決まった時間だけ照明を点けるようにしておきましょう。
どちらの場合も、照明を24時間点けっぱなしにするのは、金魚が休めなくなるうえにコケが増える原因にもなるため避けてください。
まとめ

金魚の旅行中の餌について、ポイントを振り返ります。
健康な成魚であれば、1週間ほどは餌を与えなくても大丈夫だとされており、1〜3日程度の留守なら、餌について特別な準備をする必要はありません。
ただし、絶食が長引くと体が細くなったり色が悪くなったりすることがあるため、1週間を超えるときは自動給餌器や留守番用フードで少しだけ補うことを考えます。
出発前に餌を多めにあげるのは逆効果で、食べ残しとフンが水を汚し、ろ過が追いつかなくなる原因になるため、出発の朝もいつもどおりの量にとどめてください。
留守中に気をつけたいのは、餌切れよりも水質の悪化と水温の変化で、水換えはふだんと同じ量を数日前までに済ませ、フィルターの掃除は直前に行わないことが基本です。
夏はエアコンや冷却ファンで水温の上がりすぎを防ぎ、冬はヒーターの状態と水位を確認しておくと、季節ごとのトラブルを減らせます。
2週間を超えるような長い留守では、道具だけに任せず、誰かに様子を見てもらう方法をあわせて考えましょう。
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出発前のひと手間で、帰宅したときに元気に泳ぐ金魚の姿を見られる可能性はぐっと高まります。







