爬虫類の温度管理ガイド|種類別の適温と保温器具の選び方

爬虫類を迎えてから多くの飼い主さんが最初に迷うのは、「ケージの中を何℃にしておけばいいのか」という点です。

パネルヒーターを入れたのに餌を食べない、ライトをつけたらケージが熱くなりすぎた、といった経験から温度管理の難しさを感じている方も少なくありません。

実は爬虫類の温度管理は、ケージ全体をひとつの温度に保つことではなく、温かい場所と涼しい場所の差をつくり、生き物自身に居場所を選ばせることが基本になります。

この考え方を押さえておくと、器具の選び方にも季節ごとの調整の仕方にも一本の筋が通り、迷う場面がぐっと減ります。

この記事では、環境省が公開している「ペット動物販売業者用説明マニュアル(爬虫類)」(平成18年3月)を土台に、温度管理の考え方と器具の役割、種類別の温度の目安を順に整理しました。

飼育情報でよく見かける数字と、このマニュアルに書かれた数字が食い違っている点についても、その都度お伝えしていきます。

春夏秋冬で変わる注意点やよくある失敗、旅行や出張で家を空けるときに温度をどう確かめるかまで、1年を通して使える内容にまとめています。

温度計の数字を読み解けるようになると、毎日のお世話はずっと落ち着いたものになります。

目次

爬虫類に温度管理が欠かせない理由

爬虫類の飼育で温度がこれほど重視されるのは、体のしくみそのものが犬や猫とは大きく違っているからです。

最初に、なぜ温度が体調を左右するのかという理由を3つの視点から押さえておくと、このあと紹介する器具や数字の意味が理解しやすくなります。

爬虫類は自分で体温をつくれない外温動物

爬虫類は、自分の体の中で熱をつくって体温を一定に保つことができない動物です。

以前は「変温動物」「冷血動物」と呼ばれていましたが、環境省のマニュアルでは最近の呼び方として「外温動物」という言葉が使われています。

呼び方が変わった背景には、爬虫類がただ周りの温度に流されているのではなく、自分で体温を調整しているという理解が広がったことがあります。

マニュアルには、朝のうちや餌を食べたあとには日光浴をして体温を上げ、暑いときには涼しい場所へ避難して、積極的に体温を調整していると説明されています。

つまり爬虫類にとっての温度管理とは、飼い主が体温を決めてあげることではなく、体温を調整するための「場所の選択肢」をケージの中に用意することだといえます。

野生であれば日なたと日陰、岩の上と地面の下といった選択肢が自然にそろっていますが、ケージの中では飼い主がそれを再現しない限り、生き物は逃げ場を持てません。

温度によって消化や成長の働きが変わる

マニュアルには、爬虫類は温度によって代謝の働きが変わり、成長や内分泌、消化などに大きな影響を受けると書かれています。

たとえば餌を食べたあとに体を温められる場所がないと、食べたものを消化するための体温まで上げられず、せっかく食べた餌がうまく体に生かされない状態になりかねません。

寒い時期に食欲が落ちたと感じたときは、生き物の気分や餌の好みを疑う前に、ケージ内の温度が足りているかを温度計で確かめるのが最初の手順になります。

反対に、高すぎる温度が続くと体力を消耗し、食欲が落ちたり、ぐったりして動かなくなったりすることもあるため、暖かければよいというものでもありません。

温度は食欲や排せつ、脱皮といった毎日の様子すべてに関わる土台なので、様子に変化があったときにまず温度計を見る習慣をつけておくと、原因を絞り込みやすくなります。

熱帯の生き物が高温を好むとは限らない

「爬虫類は暑い国の生き物だから、とにかく暖かくしておけばよい」と考えてしまいがちですが、これはよくある誤解のひとつです。

マニュアルでも、熱帯産の種が必ずしも高い温度を好むわけではなく、飼育する種ごとの至適温度帯を把握して設定するよう示されています。

至適温度帯とは、その種が健康に過ごしやすい温度の幅のことで、同じ熱帯の生き物でも、日差しの強い砂漠で暮らす種と、日の当たらない森の地面で暮らす種とではまったく違ってきます。

マニュアルによれば、ナミヘビの仲間には高温を嫌って日本の夏を越せない種類がいる一方で、しっかり保温しないと消化不良や感染症を起こしてしまう種類もいます。

同じマニュアルが「冷房か保温か、飼育する種類にあわせてしっかり設定」するよう呼びかけているとおり、温度管理の出発点は、自分の飼っている種類がもともとどんな場所で暮らしてきたのかを知ることです。

ショップで迎えた場合は、その個体がどんな温度で管理されていたのかを店員さんに聞いておくと、家での設定を決めるときの具体的な手がかりになります。

温度管理の基本は温度勾配をつくること

シェルターの前に立つフトアゴヒゲトカゲ

爬虫類の温度管理でもっとも大切な考え方が、ケージの中に場所による温度の差をつくる温度勾配(おんどこうばい)です。

環境省のマニュアルでも、重要なのはケージ内に温度勾配を設けて、その時点でもっとも快適な温度の場所へ生き物が移動できるようにすることだと明記されています。

ここでは温度勾配のつくり方と、それを正しく保つための道具について順に見ていきます。

ホットスポットとクールスポットの考え方

温度勾配をつくるときは、ケージの片側にホットスポットと呼ばれる高温の場所を置き、もう片側を低温の場所にします。

ホットスポットはバスキングライトやパネルヒーターで温める場所で、日なたや温まった岩の上のように、体温を一気に上げたいときに生き物が向かう場所にあたります。

反対側の涼しい場所はクールスポットと呼ばれ、体温が上がりすぎたときに逃げ込む日陰の役割を持つため、ここにシェルター(隠れ家)を置くと落ち着いて休める場所になります。

飼育情報では、ホットスポットの直下を生き物が好む体温より3〜5℃高く、もっとも涼しい場所を約10℃低くするという考え方も紹介されています(トカゲの飼い方.com)。

大切なのは、ホットスポットとクールスポットのあいだがなだらかにつながっていて、生き物が自分にちょうどよい位置を選べる状態になっていることです。

シェルターをホットスポット側とクールスポット側の両方に置いておくと、隠れたまま温度を選べるようになり、臆病な個体でも無理なく体温を調整できます。

温度勾配をつくるにはケージの広さが要る

温度勾配は、ケージがある程度広くないと十分につくることができません。

マニュアルにも、ホットスポットを一方に設け、もう一方を低温にするためには、飼育ケージにゆとりのあるサイズが求められると書かれています。

小さなケージにバスキングライトを取り付けると、端まで熱が回って逃げ場がなくなり、どこにいても暑い状態になってしまうことがあります。

飼育情報でも、小さいケージほど温度勾配を保つのが難しいと指摘されており、特に体の大きくなる種類では、成長に合わせてケージを広げることが温度管理の面からも必要になります。

ケージを選ぶときは「生き物が入る大きさか」だけでなく「温度差をつけられる長さがあるか」という目で見ると、あとから器具の調整で苦労せずに済みます。

横に長いケージは床に沿って温度差をつけやすく、高さのあるケージは上下で温度差が生まれるため、地表で暮らす種か木の上で暮らす種かによって向いている形も変わってきます。

昼と夜で温度に差をつける

温度勾配には、場所による差だけでなく、時間による差もあります。

野生では日が沈むと気温が下がるため、多くの種は夜に少し低い温度で過ごすリズムを持っており、マニュアルでも昼夜の温度差をつけることは重要だとされています。

たとえばマニュアルでは、グリーンイグアナは25〜30℃くらいに保ちつつ、温度差をつけられるなら夜は22〜23℃くらいに、フトアゴヒゲトカゲは夜に20℃程度にするとよいとされています。

ただし、夜に下げてよい幅は種類によって大きく違い、ボアやニシキヘビの仲間のように昼28℃前後・夜26℃前後と差を小さく保つ種類もあるため、夜の温度もその種の目安に沿って決めることが大切です。

昼夜で温度を切り替えるときは、手でヒーターの電源を入れたり切ったりするのではなく、昼と夜で別の温度を設定できるサーモスタットやタイマーを使うと、毎日同じリズムを崩さずに保てます。

照明も昼だけ点けて夜は消すのが基本なので、ライトの点灯時間とヒーターの温度設定をそろえておくと、生き物にとって分かりやすい1日の流れができあがります。

最高最低温度計を2か所以上に置く

温度勾配が狙いどおりにできているかは、温度計で測らなければ分かりません。

マニュアルには「温度は目に見えません、最高最低温度計の設置は爬虫類の飼育にあたって必須の装備です」という一文があり、ここまで強く書かれている項目は多くありません。

最高最低温度計とは、今の温度に加えて、一定の期間のうちに記録したもっとも高い温度と低い温度を表示できる温度計のことです。

人が見ていない明け方にどこまで冷え込んだのか、留守のあいだに日差しでどこまで上がったのかが分かるため、見ていない時間の温度を知る道具として欠かせません。

置く場所は少なくともホットスポット側とクールスポット側の2か所で、どちらも生き物が実際に過ごす高さ、つまり床に近い位置に合わせるのが基本です。

湿度計が一体になったタイプを選ぶと、冬の乾燥や梅雨の蒸れにも同時に気づけるため、1台で確認できる情報が増えて便利です。

温度管理に使う器具と役割

温度勾配をつくるための器具は数多く売られていますが、役割で分けると考え方はそれほど複雑ではありません。

ここでは器具の種類ごとに、何を温めるための道具なのか、どんな点に気をつけて使うのかを整理します。

器具主に温めるもの向いている使い方
保温球・上部ヒーターケージ内の空気ケージ全体の底上げ、夜間の保温
パネルヒーター床と生き物の体(おなか側)ホットスポットづくり、消化の助け
バスキングライト当たる場所と生き物の背中昼行性の種の日光浴スポット
紫外線ライト温めるより光の質の補助昼行性の種のカルシウム代謝の補助
サーモスタット温めない(温度の自動調整)ヒーター類の温めすぎ防止、昼夜の切り替え
エアコン部屋全体の空気室温の底上げと、夏の上がりすぎ防止

空気を暖める器具と体を暖める器具は併用する

保温器具を選ぶときにまず押さえておきたいのが、空気を暖める器具と、生き物の体を直接暖める器具は役割が違うという点です。

環境省のマニュアルでは、冬の暖房について、保温電球のように空気を暖めて環境そのものの温度を上げる器具と、パネルヒーターのように動物自体を暖める器具を、必ず併用することが大切だと書かれています。

どちらか一方だけで済ませると、空気は暖かいのにおなかが冷えている、あるいは床の一部だけが熱くて空気は冷たいといった偏りが生まれ、生き物が体温をうまく上げられません。

保温球と上部ヒーター

保温球は、ケージの上や内側に取り付けて空気を暖める電球型の器具で、明るく光るタイプのほかに、夜でも使いやすいよう光を抑えた赤外線タイプなどがあります。

上部ヒーターはケージの天井部分に取り付ける板状のヒーターで、上から空気と床面を暖めるため、生き物が器具に直接触れにくいという利点があります。

どちらも表面がかなり高温になるため、ケージの中に取り付ける場合は金網のカバーをつけ、生き物が巻きついたり触れたりできないようにしておく必要があります。

マニュアルでも、大型のヘビではケージの中にある保温球やライトが壊されて火災の危険が生じることに触れており、器具の置き方そのものが事故防止になると考えておくとよいでしょう。

パネルヒーター

パネルヒーターは、ケージの底面や側面に貼って床や壁を暖める薄い板状のヒーターです。

地面の上で暮らすヤモリやトカゲ、ヘビにとっては、温まった床におなかをつけることで効率よく体温を上げられるため、ホットスポットづくりの中心になる器具です。

飼育情報では、ケージの底面の3分の1から半分ほどに敷くとよいとされ、残りの部分を暖めないまま残すことで、床面にも温度差が生まれます(ジェックス エキゾテラ)。

一方で、パネルヒーターは空気を暖める力が弱いため、部屋が冷え込む冬にはこれだけではケージ全体の温度が足りなくなることがあり、ここでも空気を暖める器具との併用が前提になります。

なおマニュアルでは、大型のリクガメについて、腹を温めるマットヒーターだけで保温するのは危険で、背中からの強いライトを保温の原則にするよう書かれています。

このように種類によって温める向きの正解が違うことも、器具を選ぶ前に覚えておきたい点です。

バスキングライトと紫外線ライト

バスキングライトは、ケージの一か所に強い光と熱を当てて、日なたのようなホットスポットをつくるためのライトです。

フトアゴヒゲトカゲやリクガメのように、昼間に日光浴をして体温を上げる習性を持つ種類では、ホットスポットの主役になります。

ライトは点けているあいだ真下の温度が急に上がるため、生き物がライトにどれだけ近づけるか、真下の温度が何℃になっているかを温度計で確かめてから使い始めることが大切です。

紫外線ライトは、温めることよりも、太陽光に含まれる紫外線を補うことを目的とした照明です。

マニュアルには、昼行性の種には照明を設置して昼間の時間帯に点灯すること、紫外線はカルシウムの代謝に大きく関わるものの強ければよいものではなく、種ごとの要求量に見合ったものを選ぶことが書かれています。

夜行性のヤモリや多くのヘビのように照明を必要としない種類もあるため、ライトを増やす前に、自分の飼っている種類が昼に活動するのか夜に活動するのかを確認しておきましょう。

サーモスタットで温度を自動で保つ

サーモスタットは、温度センサーで測った値に応じてヒーターの電源を自動で入れたり切ったりする装置です。

ヒーターの多くはそれ自体に温度を調節する機能がないため、サーモスタットを通さずに使うと、外の気温が上がった日にもそのまま温め続けてしまいます。

サーモスタットは、温めすぎを防ぐための安全装置でもあると考えると、導入する意味が分かりやすくなります。

昼と夜で別の温度を設定できるタイプや、タイマーと一体になったタイプを選ぶと、先ほど紹介した昼夜の温度差も手をかけずにつくれるようになります。

マニュアルでは、インドホシガメの飼育について、精度の高いヒーターとサーモスタットを使い、不意の故障に備えて予備のセットも用意しておくよう書かれています。

器具は長く使ううちに故障することがあるため、予備を持っておくという考え方は、どの種類を飼う場合にも参考になります。

エアコンで部屋ごと温度を保つ

ケージの中の器具だけで温度をつくろうとすると、部屋の温度が大きく変わる季節には、ヒーターの力が足りなかったり、逆に効きすぎたりすることがあります。

そこで役に立つのが、エアコンで部屋全体の温度を一定の範囲に保ち、その上でケージ内の器具で温度勾配をつくるという二段構えの考え方です。

部屋の温度が安定していれば、ヒーターやライトは「部屋の温度からホットスポットまでの差」だけをつくればよくなり、器具の負担も温度の振れ幅も小さくなります。

マニュアルでも、日本の夏の気温は種によっては致命的な場合があり、低温を好む種の飼育ではエアコンによる温度管理が必要な場合もあると書かれています。

ただし、エアコンの吹き出し口の風がケージに直接当たると、その部分だけが冷えたり乾いたりするため、ケージの置き場所は風の通り道から外しておきましょう。

エアコンを使う場合も、ケージの中の温度計で実際の温度を確かめることは変わらず、リモコンに表示される室温だけで判断しないことが大切です。

種類別の温度の目安

シェルターの岩の上にいるオレンジ色のレオパ

ここからは、家庭でよく飼われている種類ごとに温度の目安を紹介します。

数値は環境省の「ペット動物販売業者用説明マニュアル(爬虫類)」(平成18年3月)に書かれているものを中心にしています。

ショップや飼育書によって示される数字には幅があるため、ここで紹介する数字は出発点として使い、実際の設定は個体の様子を見ながら調整するという前提で読み進めてください。

種類日中の目安夜の目安マニュアルにある注意
ヒョウモントカゲモドキ25〜30℃記載なし20℃以下・32〜33℃以上にはしないほうがよい
フトアゴヒゲトカゲ30℃を少し超すくらい温度差をつけるなら20℃程度体温が上がったときに逃げ込める日陰を
グリーンイグアナ25〜30℃位温度差をつけるなら22〜23℃位日光浴はさせたほうがよい
アオジタトカゲ25〜30℃記載なし体温上昇は死につながるため日陰を
カメレオン25℃位(一部を高温に)記載なし種類によって要求する温度が違う
ボア・ニシキヘビ類28℃前後26℃前後餌を与えたあとは床暖房で腹を加温
インドホシガメ30℃(日光浴の直下は40℃近くでも可)28℃ほど子ガメは乾燥させず高温を保つ

ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)

レオパの愛称で親しまれるヒョウモントカゲモドキは、夜に活動する地表性のヤモリの仲間で、家庭で飼われる爬虫類の代表的な種類です。

マニュアルでは温度を25〜30℃とし、20℃以下、または32〜33℃以上にはしないほうがよいと書かれています。

飼育情報のなかには「35℃以上で命に関わる」とするものもありますが、マニュアルの数字に沿うなら、上限はそれよりも手前の32〜33℃に置いて考えておくほうが余裕を持てます。

夜行性で強いライトを必要としないため、温度勾配は主にパネルヒーターでつくり、ヒーターを敷いた側を温かい場所、敷いていない側を涼しい場所にする組み方が一般的です。

湿度についてマニュアルは「やや乾いたという程度」としており、脱皮の前後に湿った隠れ家を用意するといった工夫も飼育の現場では広く行われています。

フトアゴヒゲトカゲ

フトアゴヒゲトカゲは、オーストラリアの乾燥した内陸部に暮らす昼行性のトカゲで、日光浴を好む種類です。

マニュアルでは温度は高めがよいとして、30℃を少し超すくらいを目安にし、夜は温度差をつけるなら20℃程度にするとよいと書かれています。

日光浴のためのホットスポットはバスキングライトでつくりますが、マニュアルが「体温が上がった時に逃げ込めるような日陰を作っておきます」と添えているとおり、涼しい側の居場所も同じくらい大切です。

飼育情報では、バスキングスポットの真下を35〜40℃ほどにし、涼しい側を25〜30℃ほどにする例が紹介されており、ケージの長さを使ってこの差をなだらかにつなぐことが求められます。

乾燥地帯のトカゲのため湿度はあまり考えなくてよいとされていますが、冬に暖房で部屋が極端に乾くと脱水を起こすことがあるので、この点は後ほど季節の項目で触れます。

グリーンイグアナ・アオジタトカゲ

グリーンイグアナは木の上で暮らす大型のトカゲで、マニュアルでは25〜30℃位にし、温度差がつけられるなら夜は22〜23℃位にするとよいとされています。

体が大きく成長し、高さのあるケージが必要になるため、上下の温度差も含めて温度勾配を考え、日光浴ができる場所をケージの上のほうに用意するのが基本です。

マニュアルには、梅雨明けから9月までは可能なら屋外飼育が望ましいという記述もありますが、日本の真夏の直射日光は高温になりやすいため、屋外に出すなら日陰と風通しをしっかり確保する前提で考えましょう。

アオジタトカゲは地表で暮らすトカゲで、マニュアルでは飼育温度を25〜30℃とし、日光浴はさせたほうがよいとしています。

そのうえで、体温上昇は死につながるので日陰など体を冷やせる場所を用意するよう、強い言葉で注意を促しています。

どちらの種類も、温める器具を増やすことより、温まった体を冷ませる場所があるかどうかを先に確かめておくことが、温度管理の失敗を減らす近道になります。

カメレオン

カメレオンは木の上で暮らし、種類によって好む温度が大きく違うため、ひとくくりに数字を決めにくいグループです。

マニュアルでは温度を25℃位にし、赤外線電球で一部に温度が高い場所をつくってやるとしたうえで、いろいろな種類があるため要求する温度も様々だと書かれています。

そのうえで、赤外線電球の近くによく行っているようなら温度が低く、まるで近寄らないならもっと低い温度のほうがよいかもしれない、という個体の行動から読み取る方法も紹介されています。

通風が必要な種類でもあり、マニュアルでは水槽よりも風が通るケージが向いているとされ、通風が難しい場所では扇風機を使うのもよいと書かれています。

迎えたカメレオンの種類名と、その種類がもともと暮らしている標高や地域をショップで確認しておくと、目安の温度を調べるときの手がかりになります。

ボア・ニシキヘビ類

ボアやニシキヘビの仲間は、温度を比較的高めに、しかも昼夜の差を小さく保つ種類です。

マニュアルでは、いずれの種類も昼は28℃前後、夜間は26℃前後を維持し、餌を与えたあとは特に床暖房で腹を加温してやるよう書かれています。

ヘビは餌を丸のみにしてからゆっくり消化するため、食後におなかを温められる場所があることが大切で、パネルヒーターを敷いた場所がその役割を担います。

同じマニュアルには、保温設備の作動不良で一夜にして風邪や消化不良になったり、保温器具によってやけどをしたりすることがあると書かれており、器具の点検が健康管理に直結する種類だといえます。

一方で、同じヘビでもナミヘビの仲間には高温を嫌う種類がいるため、ヘビだから一律に高温でよいと考えず、種類ごとに確認することが欠かせません。

リクガメ

リクガメの仲間は、昼間に強い光を浴びて体温を上げ、そのあとで餌を消化するという生活のリズムを持っています。

マニュアルでは、インドホシガメについて日光浴させる場所以外の温度を昼30℃、夜28℃ほどと高めに設定し、日光浴させる場所では直下で40℃近くになっても構わないとしています。

また大型のケヅメリクガメについては、保温の原則は背中からの強力なライトの照射で、腹を温めるマットヒーターだけで保温するのは危険だと書かれています。

カメは餌を食べたあとに背中を温めて体温を上げることで消化を進めるため、ライトの熱が届く場所と、そこから離れて休める場所の両方を用意しておくことが大切です。

マニュアルのアカアシガメの項目には、季節の変わり目の低温であっけなく命を落とすことがあるという記述もあり、ホシガメと同様に部屋ごと保温して最低温度を確保する考え方が紹介されています。

目安の数字は個体の様子で調整する

ここまで紹介した数字は、あくまで設定の出発点です。

同じ種類でも年齢や体の大きさ、その日の体調によって居心地のよい温度は少しずつ変わり、同じ設定でもケージの素材や部屋の断熱によって実際の温度は変わってきます。

調整するときは、温度計の数字と生き物の居場所をセットで観察するのが基本で、いつもホットスポットに張りついているなら全体が低め、いつもクールスポットに逃げているなら高めという読み方ができます。

ホットスポットとクールスポットを1日のうちに行き来しているなら、温度勾配がうまく機能しているサインと考えてよいでしょう。

数字を変えるときは一度に大きく動かさず、1〜2℃ずつ変えて数日かけて様子を見ると、どの変化が影響したのかが分かりやすくなります。

季節ごとの温度管理のポイント

日本には四季があり、部屋の温度は季節によって大きく変わるため、同じ器具と同じ設定のままでは1年を通して同じ温度を保つことはできません。

ここでは季節ごとに気をつけたい点を整理し、どのタイミングで何を見直せばよいかをまとめます。

春と秋は昼夜の寒暖差に備える

春と秋は、昼間は暖かくても朝晩に冷え込む日が多く、1日のなかでの温度差がもっとも大きくなりやすい季節です。

日中の暖かさに合わせてヒーターの設定を下げたままにしておくと、明け方の冷え込みでケージ内の温度が思った以上に下がっていることがあります。

ここで役に立つのが最高最低温度計で、朝に最低温度の記録を見て、夜のあいだに目安を下回っていないかを確かめるだけでも、見落としを大きく減らせます。

マニュアルにも、季節の変わり目の低温で命を落とすことがある種類(アカアシガメ)や、季節の変わり目には加温が難しいことがある種類(グリーンイグアナ)についての記述があり、この時期は油断しやすい時期だと考えておきましょう。

春は冬に使っていた保温を少しずつ弱め、秋は夏に止めていたヒーターを早めに動かしておくというように、季節が完全に切り替わる前から準備を始めると慌てずに済みます。

秋にヒーターを久しぶりに使うときは、コードの傷みやサーモスタットのセンサーの位置を、電源を入れる前に一度確認しておくと、故障や接触不良に早めに気づけます。

梅雨は温度よりも蒸れに気をつける

梅雨の時期は気温がそれほど高くなくても湿度が上がり、ケージの中が蒸れやすくなります。

マニュアルでは、湿度の高い環境を好む種であっても、蒸れるような環境では体調を崩すため、どの種類でも通気性を十分に確保することが大切だとしています。

乾燥した地域で暮らすレオパやフトアゴのような種類では、湿った床材やこもった空気がそのまま負担になるため、床材が湿っていないか、ケージの内側に水滴がついていないかをこまめに見ておきましょう。

エアコンの除湿機能で部屋の湿度を下げたり、ケージのまわりの風通しをよくしたりすると、温度を大きく変えずに蒸れを抑えられます。

湿度計が一体になった温度計を使っていれば、温度は適正なのに湿度だけが高いという状態にも気づけます。

カビが生えやすい時期でもあるため、食べ残しや排せつ物をいつもより早めに片づけることも、この季節のお世話として意識しておきたい点です。

夏は温めるより上がりすぎを防ぐ

夏の温度管理は、冬とは反対に、ケージ内の温度が上がりすぎないようにすることが中心になります。

気象庁の定義では、日最高気温が35℃以上の日を猛暑日と呼びますが、こうした日に閉め切った部屋は、レオパの上限として紹介した32〜33℃を簡単に超えてしまいます。

マニュアルでも、日本の夏の気温は種によっては致命的な場合があるとして、エアコンによる温度管理が必要な場合があると書かれています。

夏場はパネルヒーターやバスキングライトの設定も見直し、ホットスポットの温度が上がりすぎていないか、クールスポットがきちんと涼しいままかを確かめることが大切です。

窓ぎわや直射日光が当たる場所に置いたケージは、短時間で温度が上がるため、夏の前に置き場所を部屋の内側へ移しておきましょう。

エアコンの使い方や冷却用の器具の選び方、停電への備えといった夏ならではの対策は、それだけで1本の記事になるほど幅があるテーマなので、ここでは要点だけにとどめます。

冬は保温器具の併用と乾燥対策

冬は1年のなかでもっとも保温器具に頼る季節で、ここで先ほどの「空気を暖める器具と体を暖める器具の併用」が生きてきます。

パネルヒーターだけでは部屋の冷え込みに追いつかないことが多いため、保温球や上部ヒーター、あるいはエアコンで空気の温度を底上げし、そのうえでパネルヒーターでホットスポットをつくる形が基本です。

部屋の断熱を補う工夫として、ケージの背面や側面を断熱材で覆ったり、冷気がたまりやすい床から離してケージを高い位置に置いたりする方法も、飼育情報では紹介されています(つかずはなれず爬虫類)。

ただし上面まで覆ってしまうと通気が悪くなるため、覆うのは側面までにするか、夜間だけにするなど、空気の通り道を残しておきましょう。

もうひとつ忘れやすいのが乾燥で、マニュアルには冬の極端に湿度が下がる季節には、暖房による乾燥とあいまって砂漠に住む種であってもしばしば脱水を起こすと書かれています。

霧吹きで最低限の湿度を確保したり、水入れをいつも清潔に満たしておいたりと、乾燥した地域の種類であっても冬は水分に気を配ることが大切です。

温度管理でよくある失敗

「注意点」と書かれたブロックと木製の人形(温度管理でよくある失敗のイメージ)

温度管理のトラブルは、器具が足りないことよりも、器具の使い方や確認の仕方のずれから起こることが少なくありません。

ここでは飼い主さんがつまずきやすい失敗を5つ取り上げ、それぞれを防ぐための具体的な手順を紹介します。

ヒーターやライトでやけどをさせる

保温器具のトラブルのなかで特に気をつけたいのが、ヒーターやライトによるやけどです。

マニュアルには、マットヒーターだけで保温したリクガメがヒーターの上で過ごしすぎて低温やけどを起こす例や、グリーンイグアナでかなり低い温度に設定していてもやけどが起こることがある例が書かれています。

温まった場所にじっと居続けるうちに、飼い主が気づかないまま皮膚を傷めてしまうことがあるのです。

マニュアルでも、ボアやニシキヘビの飼育で保温器具によってやけどをすることがあると触れられています。

防ぐための基本は、生き物が熱源に直接触れられない配置にすることで、パネルヒーターはケージの外側に貼り、ケージ内のライトや保温球には金網のカバーをつけます。

バスキングライトの真下は、生き物がいちばん近づける高さに温度計を置いて測り、目安より高ければライトの位置を上げるかワット数を下げて調整してください。

成長して体が大きくなると、以前と同じ配置でも熱源との距離が縮まるため、体の大きさが変わったタイミングで配置を見直すことも大切です。

サーモスタットを使わずに温めすぎる

ヒーターを直接コンセントにつないで使っていると、部屋の温度が上がった日にもヒーターは同じ力で温め続けます。

冬の寒い日に合わせて選んだヒーターが、日差しの強い春先の昼間にはケージを過剰に温めてしまうといったことは、珍しくありません。

サーモスタットを通しておけば、設定した温度に達したところでヒーターが自動で止まるため、こうした温めすぎを防げます。

サーモスタットには、電源を入れたり切ったりするタイプと、出力を細かく調整するタイプがあり、どちらを選ぶ場合も、つなぐヒーターの消費電力が対応範囲に収まっているかを確認してから使いましょう。

サーモスタットを導入したあとも、センサーの測った温度と、ケージ内に置いた温度計の数字がずれていないかを時々見比べると、設定の狂いに早く気づけます。

温度計やセンサーの位置がずれている

温度計を置いているのに温度管理がうまくいかないときは、測っている場所がずれていることがよくあります。

たとえばケージの上のほうに温度計を貼っていると、床の近くで過ごすレオパが実際に感じている温度とは数℃の差が出ることがあり、数字は適正でも床は冷えているという状態が起こります。

サーモスタットのセンサーも同じで、ヒーターのすぐ上に置けば早めに電源が切れて全体がぬるくなり、ヒーターから離れすぎた場所に置けば、ホットスポットが熱くなりすぎることがあります。

温度計もセンサーも、生き物が実際に過ごす高さと位置で測るという原則を守ると、数字と実態のずれを小さくできます。

センサーのコードは生き物が動かしてしまうこともあるため、掃除のあとやレイアウトを変えたあとは、定位置に戻っているかを確認する習慣をつけておきましょう。

保温せずに冬を越させようとする

温帯に分布する種類について、自然に近い形で冬眠させようとしたり、保温せずに冬を越させようとしたりする飼い主さんもいます。

マニュアルでは、冬眠については相当の飼育スキルが必要で、無加温での越冬は動物の生命を危険にさらす可能性が高いことから、基本的には避けるべきだとしています。

リクガメについても、しっかり保温してライトを当てて飼育するか、しっかり冬眠させるかのどちらかにし、中途半端な温度にさらすと体調を崩して死亡することがあると書かれています。

家庭の室内は、暖房をつけている時間と消している時間で温度が上下しやすく、この「中途半端な温度」になりやすい環境です。

特別な理由がない限り、冬も保温を続けて目安の温度を保つことを基本にし、冬眠を検討する場合は爬虫類を診られる動物病院や経験のある専門店に相談してから判断してください。

機器の故障や停電に気づけない

ヒーターやサーモスタットは、ある日突然動かなくなることがあります。

マニュアルでは、保温設備の作動不良によって一夜にして風邪や消化不良になることがあると触れており、冬の夜に器具が止まった場合の影響は小さくありません。

最高最低温度計を毎朝確認していれば、夜のあいだに温度が下がった記録から、器具の異常に早く気づけます。

予備のヒーターやサーモスタットを1セット用意しておくと、故障に気づいたその日のうちに交換できるため、専門店が開くまで待つ必要がなくなります。

停電に備えては、使い捨てカイロをタオルで包んでケージの外側に当てる方法や、毛布や段ボールでケージを覆って保温する方法が飼育情報で紹介されており(爬虫類.jp)、冬の停電に備えて手元に置いておくと役立ちます。

使い捨てカイロは中の鉄が空気中の酸素と反応して発熱するしくみなので(日本カイロ工業会)、ケージの中に入れず外側から当てる形にし、生き物が直接触れないように気をつけましょう。

体の様子から温度が合っているかを見る

温度計の数字と並んで大切な判断材料になるのが、生き物そのものの様子です。

数字が目安の範囲に入っていても、その個体にとって合っていないことはあるため、ここでは温度が低いとき・高いときに見られやすい様子と、動物病院に相談する目安を整理します。

温度が低いときに見られやすい様子

温度が足りないときにまず表れやすいのは、動きと食欲の変化です。

いつもより動きが鈍い、ホットスポットから離れようとしない、餌への反応が遅いといった様子は、体温を十分に上げられていないときによく見られます。

マニュアルでは、カメレオンの体色がくすんでいたり黒ずんでいたりするのは温度が低いせいかもしれないと触れており、種類によっては体の色が手がかりになることもあります。

また、グリーンイグアナの項目では、風邪や肺炎は飼育温度が低いとかかりやすくなると書かれており、低温の状態が続くことは体調を崩すきっかけになりえます。

こうした様子に気づいたら、最高最低温度計で夜間の最低温度を確かめ、ホットスポットの温度が目安に届いているかを測り直すところから始めてください。

特に冬の朝や季節の変わり目に様子が変わったときは、温度が原因になっていないかを最初に疑う価値があります。

温度が高いときに見られやすい様子

温度が高すぎるときは、生き物が暑さから逃げようとする行動が目立つようになります。

いつもクールスポットやシェルターの奥にこもって出てこない、水入れに体を浸しているといった様子は、ケージ内が暑すぎるときに見られやすい行動です。

マニュアルにも、ヘビは暑いときに全身を水に漬けることがあると書かれています。

動物病院のコラムでは、高温にさらされて日射病になったトカゲに口を開けたままの呼吸(開口呼吸)が見られることがあると紹介されています(けい動物医療センター)。

この様子が見られたら、涼しい場所へ移したうえで早めに動物病院へ相談したいサインと考えてください。

マニュアルでは、カメレオンが落ち着かないのは温度が高いか、隠れ場所がないことが考えられるとされています。

アオジタトカゲの項目では体温上昇は死につながるとまで書かれており、高温は短い時間でも深刻な影響につながることがあると考えておく必要があります。

こうした様子が見られたら、まずホットスポットとクールスポットの両方の温度を測り、クールスポットまで温まってしまっていないかを確認してください。

ライトやヒーターの設定を下げる、ケージを日の当たらない場所へ移す、部屋の温度をエアコンで下げるといった対応で、逃げ場のある温度勾配を取り戻すことが先決です。

夏場に限らず、冬でも暖房の効いた部屋でヒーターを強くしすぎると同じことが起こるため、季節を問わず確認しておきたいポイントです。

気になる様子があれば動物病院に相談する

温度を見直しても様子が戻らないときや、次のような状態が見られるときは、早めに動物病院へ相談してください。

  • 何日も餌を食べず、体重が落ちてきている
  • 口を開けたまま呼吸している、鼻や口のまわりに泡や汚れがある
  • ぐったりして、体に触れても反応が弱い
  • 脱皮がうまくいかず、皮が残ったままになっている
  • やけどのような皮膚の変色やただれがある

爬虫類を診られる動物病院は犬や猫に比べて限られているため、迎えた時点で通える範囲の病院を探しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

相談するときは、ケージ内の温度(ホットスポットとクールスポットの両方)、最高最低温度計の記録、最後に食べた日、排せつの様子をメモして持っていくと、状況を正確に伝えやすくなります。

この記事で紹介しているのは一般的な温度管理の考え方であり、体調についての診断や治療の判断は獣医師に委ねてください。

爬虫類の温度管理によくある質問

最後に、爬虫類の温度管理について飼い主さんからよく聞かれる質問をまとめます。

エアコンがあればヒーターはいらない?

エアコンで部屋全体を暖めていれば、ヒーターがなくても大丈夫だと考える方は少なくありません。

しかしエアコンがつくるのは部屋全体の均一な温度であり、それだけではケージの中に温かい場所と涼しい場所の差、つまり温度勾配をつくることができません。

環境省のマニュアルは、空気を暖める器具と体を暖める器具の併用を求めています。

エアコンは空気の温度を底上げする役割、パネルヒーターやバスキングライトはホットスポットをつくる役割と考えて、両方を組み合わせるのが基本です。

エアコンだけで管理していると、餌を食べたあとに体温を上げたいときの居場所がなくなるため、少なくとも一か所は体を温められる場所を用意しておきましょう。

夜はヒーターを切ってもいい?

夜にライトを消すことは多くの種類で基本になりますが、ヒーターまで完全に切ってよいかどうかは、部屋の温度とその種類の夜の目安によって決まります。

マニュアルでは、フトアゴヒゲトカゲは夜に温度差をつけるなら20℃程度、ボアやニシキヘビの仲間は夜間26℃前後を維持すると書かれており、夜に下げてよい幅は種類によって大きく違います。

冬の夜は部屋の温度が目安を大きく下回ることが多いため、ヒーターを切るのではなく、サーモスタットの夜間設定で温度を少し下げるという形にしておくと、冷えすぎを防げます。

夏の夜で部屋の温度が目安の範囲に収まっているなら、ヒーターを止めても問題ないことが多いものの、明け方の最低温度を温度計で確かめてから判断してください。

温度計はどんなものを選べばいい?

温度計を選ぶときに優先したいのは、マニュアルが必須の装備としている最高最低温度計の機能があるかどうかです。

今の温度だけを表示する温度計では、夜間や留守中にどこまで下がったか、どこまで上がったかが分からず、トラブルの原因を後から確かめることができません。

センサーの部分をコードで伸ばせるデジタル式を選ぶと、本体はケージの外に置いたまま、センサーだけを床の近くに置いて生き物が過ごす高さの温度を測れます。

湿度も同時に測れるタイプなら、冬の乾燥や梅雨の蒸れにも気づけるため、ホットスポット側とクールスポット側に1台ずつ置くと、ケージ全体の状態が把握しやすくなります。

温度が合っているのに食べないときは?

温度計の数字が目安どおりでも、餌を食べないことはあります。

その場合は、まず温度計やセンサーの位置が生き物の過ごす高さからずれていないか、ホットスポットの真下の温度を測り直すところから確認してください。

迎えたばかりで環境に慣れていない、脱皮が近い、季節によって食欲が落ちる種類であるといった、温度以外の理由で食べないことも珍しくありません。

温度を確かめても食べない状態が続き、体重が落ちてきた場合や、ほかに気になる様子がある場合は、動物病院に相談してください。

体重を週に1回ほど記録しておくと、食べない期間が続いたときに、様子を見てよい段階か相談すべき段階かを判断しやすくなります。

留守にするときの温度管理

旅行や出張、帰省などで家を空けるときも、爬虫類の温度管理は止めることができません。

犬や猫のように毎日の散歩がいらず、種類によっては毎日の給餌も必要ないため、爬虫類は留守番が得意だと思われがちですが、温度の面から見ると留守中こそ異変に気づける人がいないという弱点があります。

ここでは温度の確認という視点から、留守にするときの備えを整理します。

外出の長さで必要な備えが変わる

同じ留守でも、家を空ける時間の長さによって、温度の面で考えるべきことが変わってきます。

家を空ける時間温度の面で考えること
数時間の外出出かける前に温度計を確認し、日差しが当たる窓ぎわにケージがないかを見る
日帰り(朝出て夜戻る)昼の気温の上がり方と夜の冷え込みの両方を見込み、サーモスタットとエアコンの設定を確かめる
1泊以上器具の故障や停電が起きたときに、誰が気づいて対応するのかを決めておく

1泊を超える留守では、器具が止まったときに気づける人がいるかどうかが判断の分かれ目になります。

夏の日中や冬の夜は温度が大きく動く時間帯なので、その時間帯に誰もいない状態がどのくらい続くのかを具体的に数えてみると、必要な備えが見えてきます。

留守番させられる日数そのものは、種類や年齢、季節によって大きく変わるテーマなので、飼っている種類の飼育情報や、迎えたショップに確認しておきましょう。

出かける前に確認しておくこと

家を空ける前には、ふだんのお世話に加えて、温度にかかわる点を一通り確認しておくと、留守中のトラブルを減らせます。

  • 最高最低温度計の記録をリセットし、帰宅後に留守中の温度の幅を確かめられるようにする
  • サーモスタットの昼夜の設定と、センサーの位置が定位置にあるかを確認する
  • ケージが直射日光の当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所にないかを見る
  • コンセントやタップにほこりがたまっていないか、コードが傷んでいないかを点検する
  • 季節に応じて、エアコンの運転設定を留守中も続く形にしておく

最高最低温度計をリセットしてから出かけると、帰宅したときに留守のあいだにケージ内が何℃から何℃のあいだで動いていたのかを確かめることができます。

その記録は、次に家を空けるときにどんな備えが必要かを考える材料になり、同じ季節の留守であれば設定を見直す根拠として使えます。

スマートフォンで室温を確認できる機器を使う方法もありますが、外出先で異常に気づいても、その場で駆けつけられなければ対応できない点は覚えておきましょう。

温度の確認とお世話を人に頼む

1泊以上家を空けるときや、夏や冬の温度が大きく動く時期の留守では、誰かに家へ来てもらって温度とお世話を確認してもらう方法があります。

家族や近くに住む知人に頼めるなら、温度計の見方と目安の温度、器具が止まっていたときの対応をメモにして渡しておくと、爬虫類に慣れていない人でも確認しやすくなります。

頼める相手がいない場合は、ペットシッターに依頼するという選択肢もあり、住み慣れたケージのまま温度環境を変えずにお世話を続けてもらえる点で、環境の変化に敏感な爬虫類と相性のよい方法といえます。

ペットシッターが具体的にどこまで対応するのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説で詳しく紹介しています。

施設に預ける方法との違いが気になる方は、ペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説もあわせてご覧ください。

ペットシッターは、環境省が第一種動物取扱業(動物を扱う事業者に必要な登録)の規制の対象としている業種で、爬虫類もその対象の動物に含まれています。

依頼する前に、登録の有無や爬虫類のお世話の経験を確認しておくと、依頼先を比べるときの判断材料になります。

爬虫類のお世話に対応するシッターを探す

ペットシッタープレミアムステージでは、爬虫類(ヘビ・トカゲ・カメ)のお世話に対応する店舗を種類別に探せます。

掲載店舗の一覧で対応内容を確認し、気になる店舗があれば、各店舗へ直接お問い合わせいただく流れになります。

問い合わせの際は、飼っている種類と目安の温度、使っている器具、エアコンやサーモスタットを触ってよいかどうかを伝えておくと、当日のお世話がスムーズに進みます。

依頼先を選ぶときの見方はペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントに、料金の考え方はペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説にまとめています。

料金や対応できる動物の種類、対応エリアは店舗ごとに異なりますので、詳しい条件は各店舗にご確認ください。

まとめ

「まとめ」と書かれた木製ブロック(まとめのイメージ)

爬虫類の温度管理の要点を振り返ります。

爬虫類は自分で体温をつくれない外温動物で、温かい場所と涼しい場所を行き来しながら体温を調整しているため、温度管理の基本はケージの中に温度勾配をつくることです。

器具は、保温球や上部ヒーター、エアコンのように空気を暖めるものと、パネルヒーターやバスキングライトのように体を暖めるものを組み合わせ、サーモスタットで温めすぎを防ぐ形が基本になります。

温度の目安は種類によって大きく違い、環境省のマニュアルでは、ヒョウモントカゲモドキは25〜30℃で、20℃以下や32〜33℃以上にはしないほうがよいとされています。

同じマニュアルで、ボアやニシキヘビの仲間は昼28℃前後・夜26℃前後と、昼夜の差を小さく保つ目安が示されています。

こうした数字は出発点として使い、温度計の数字と生き物の居場所や様子を見ながら、1〜2℃ずつ調整していくのが確かな進め方です。

最高最低温度計をホットスポット側とクールスポット側に置き、見ていない時間の温度まで確かめることが、季節の変わり目の冷え込みや器具の故障にいち早く気づくための備えになります。

冬は保温器具の併用と乾燥対策、梅雨は蒸れへの注意、夏は上がりすぎを防ぐことと、季節ごとに見直す点が変わることも押さえておきましょう。

家を空けるときは、留守中の温度を誰が確かめるのかまで含めて計画し、必要に応じて家族や知人、ペットシッターの手を借りる方法を検討してみてください。

様子がいつもと違うと感じたときは、まず温度を確かめ、それでも戻らなければ爬虫類を診られる動物病院に相談してください。

温度計を毎日見る小さな習慣の積み重ねが、爬虫類と長く一緒に暮らすための土台になります。

この記事を書いた人

佐藤弘幸

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佐藤弘幸

アイノス本部代表。日本最大手のペットシッターフランチャイズの最高責任者の経験を経て、
ペットシッターに関する記事執筆を担当。
自身も柴犬やキンクマと暮らした経験から、飼い主目線での情報発信を心がけています。
保有資格:ペットシッター士