フトアゴの旅行中の留守番対策|何日まで?準備と預け先

旅行や帰省の予定が入ったとき、フトアゴヒゲトカゲを飼っている方が気になるのは「この子を何日くらい家に置いていけるのか」という点ではないでしょうか。

おとなしく人にも慣れやすいフトアゴですが、紫外線ライトやバスキングライトを毎日決まった時間に点けることが飼育の柱になっており、留守中はその管理をどう続けるかが大きな課題になります。

同じ爬虫類でも、夜行性で数日おきの給餌が基本のヒョウモントカゲモドキ(レオパ)と比べると、フトアゴの留守番は短めに考えられることが多いのです。

この記事では、フトアゴならではの暮らし方から、留守番の日数が短めになる理由を整理します。

昼に活動して強い光と熱を浴びること、給餌の間隔が短いこと、水入れから水を飲まない個体がいることが、留守番の準備にそれぞれ関わってきます。

数値は獣医療機関や動物病院が公開している飼育情報を土台にし、個人の経験談にとどまる数字はそのように区別してお伝えします。

出発前に何を整えればよいか、何泊からは誰かにお世話を頼んだほうがよいのかが分かれば、旅行の計画も立てやすくなります。

冬の旅行で気をつけたいブルメーションの話や、ペットシッターに依頼するときに伝えておきたいことも、後半でまとめました。

目次

フトアゴは旅行中に何日留守番できる?

砂時計と置き時計(フトアゴは旅行中に何日留守番できる?のイメージ)

フトアゴの留守番について飼育者のあいだで紹介されている目安は、レオパなどに比べて短めです。

ここでは日数そのものを覚えるよりも、「普段の給餌と照明の管理が何日途切れるか」という視点で考えることをおすすめします。

そのほうが、手元の個体の年齢や季節に当てはめて判断しやすくなるからです。

健康な成体でも2〜3日がひとつの目安

飼育情報を扱うサイトやブログでは、健康な成体であれば2〜3日の留守番が可能と紹介されていることが多く、3日くらいを限度とする記事も見られます。

ノースカロライナ州立大学の動物病院(NC State Veterinary Hospital)は、成体の給餌を毎日か1日おきとしています。

国内のアロハオハナ動物病院は、成体は肥満を防ぐために2〜3日に1回の頻度に調整するよう案内しており、給餌の間隔には資料によって幅があります。

どちらの考え方に当てはめても、3日家を空ければ普段の食事を1〜3回ほど飛ばすことになり、1週間の留守であれば普段のリズムから大きく外れてしまうことが分かります。

さらにフトアゴは、紫外線ライトとバスキングライトを毎日点灯させることが前提の動物なので、給餌以上に照明と温度の管理が途切れる影響を考える必要があります。

たとえば月曜から水曜まで2泊3日で家を空ける場合、照明はタイマーで動かせても、水入れの水の減り具合や野菜の状態、ケージの温度を確かめる人は3日間いないことになります。

日数の目安を短めに考えるのは、こうした「確かめる人がいない時間」がフトアゴでは特に影響しやすいからだといえます。

出典: NC State Veterinary Hospital「Caring for Your Pet Bearded Dragon」、アロハオハナ動物病院「フトアゴヒゲトカゲのFACT FILE」

ベビー・ヤングは日帰りか1泊までにとどめたい

体の小さいベビーや成長途中のヤングは、成体と同じ感覚で留守番させられません。

NC State Veterinary Hospitalは幼体の給餌を1日1回としており、アロハオハナ動物病院も幼体は毎日給餌するとしています。

成長期のフトアゴは食べた量がそのまま体づくりにつながる時期なので、1泊の外出でも食事を1回飛ばすことになります。

飼育者向けの記事でも、ベビーの時期は日帰りか、長くても1泊にとどめるよう勧めるものがあります。

アロハオハナ動物病院によると、生後4か月ごろまでのベビーは2〜4週間に1回ほどの頻度で脱皮するため、短い留守でも脱皮と重なる可能性が成体より高くなります。

お迎えから日が浅い時期に旅行が重なる場合は、1泊であっても誰かに様子を見てもらう前提で計画したほうが無理がありません。

留守番させないほうがよい個体

年齢に関係なく、次のような状態の個体は留守番そのものを見送ったほうがよいとされています。

  • 体重が落ちてきている、または痩せて骨ばって見える
  • 食欲が落ちている、数日続けて食べていない
  • 体調を崩して動物病院に通っている
  • お迎えしてから日が浅く、環境に慣れていない
  • 普段から水をほとんど飲まず、霧吹きや温浴で水分を補っている
  • 産卵が近い、または産卵直後のメス

普段から飼い主が手をかけて水分や食事を補っている個体ほど、留守中にその手が途切れる影響が大きくなります。

体重を量る習慣がある方は、出発の1〜2週間前から普段の数値と比べて減っていないかを確かめてください。

気になる様子があるときは、留守番の可否も含めてかかりつけの動物病院に相談しておくと判断しやすくなります。

旅行の予定が早めに決まっている場合は、出発の1か月ほど前から個体の様子を意識して見ておくと、留守番させるか誰かに頼むかを落ち着いて決められます。

フトアゴの留守番が短めになる理由

同じトカゲの仲間でも、フトアゴの留守番がレオパより短めに考えられるのには、はっきりとした理由があります。

それは、原産地の環境に合わせた昼型の暮らし方と、それを飼育下で再現するための管理の多さです。

なぜ短めになるのかを知っておくと、準備で何を優先すればよいかも見えてきます。

昼行性で紫外線とバスキングが毎日欠かせない

NC State Veterinary Hospitalによると、フトアゴはオーストラリアの岩の多い半砂漠地帯に暮らし、昼に活動して夜に眠る昼行性のトカゲです。

野生では強い日差しを浴びて体を温め、同時に太陽光に含まれる紫外線を受けています。

飼育下ではこれを照明で再現する必要があり、同院はフルスペクトルの紫外線ライトが必要としたうえで、点灯時間を春と夏は1日12〜14時間、秋と冬は8時間としています。

UVB=太陽光に含まれる紫外線の一種で、アロハオハナ動物病院は、フトアゴの飼育に紫外線を欠かせないものとして挙げ、不足と代謝性骨疾患(骨が弱くなる病気)との関わりにも触れています。

夜行性のレオパが床面のパネルヒーターを中心に飼育できるのに対し、フトアゴは頭上からの光と熱を毎日決まった時間だけ当てることが暮らしの土台になっているため、留守中に照明の管理が止まる影響が大きいのです。

給餌の間隔が短い

前の章で触れたとおり、フトアゴの給餌は幼体で毎日、成体でも毎日から2〜3日に1回が目安とされています。

レオパの成体が週2〜3回や3〜4日に1回の給餌で飼育されているのと比べると、フトアゴは食事の回数が多く、留守で飛ばす回数もそのぶん増えやすい動物です。

食べるものも違い、NC State Veterinary Hospitalは成体の食事を野菜などの植物が70%、昆虫が25%ほどとしており、若い個体ほど昆虫の割合が高くなります。

野菜は切ってから時間がたつとしおれたり傷んだりするため、何日分もまとめて置いておくことができません。

この点も、フトアゴの留守番を長くしにくい理由のひとつです。

水入れから水を飲まない個体がいる

フトアゴの飼育で意外とつまずきやすいのが、水の飲み方です。

アロハオハナ動物病院は、フトアゴは水皿からあまり水を飲まないとし、霧吹きで鼻先に水をかけたり、水分を含む小松菜などの野菜を与えたりする方法を紹介しています。

乾燥した地域の出身で、同院も霧吹きや野菜からの水分摂取が中心としているように、たまった水を見ても飲み物として認識しにくい個体がいるともいわれます。

水入れを置いておけば水分が足りる、とは限らない点が、留守番の準備を難しくしています。

普段から霧吹きや温浴で水分を補っている家庭では、その手が数日途切れることになるため、日数を短めに考えたほうが無理がありません。

出典: アロハオハナ動物病院「フトアゴヒゲトカゲの脱水」

ケージの中に大きな温度差が必要

フトアゴのケージには、熱いバスキングスポットと涼しい場所の両方を用意する必要があります。

アロハオハナ動物病院はバスキングスポットを38〜42℃、ケージの暖かい側を30〜35℃、涼しい側を24〜28℃、夜間を20〜24℃以上と案内しています。

NC State Veterinary Hospitalもバスキングを31〜38℃、日中の涼しい側を24〜29℃、夜間を21〜24℃としており、どちらも熱い場所と涼しい場所、昼と夜で温度に差をつける考え方で、アロハオハナ動物病院の目安ではバスキングスポットと涼しい側の差が10℃以上になります。

成体は尾を含めて40〜55cmほどになり、横幅90cm以上のケージが勧められるため、室温の影響も受けやすくなります。

これだけの温度差を毎日保つには、照明とヒーター、エアコンが連携して動き続ける必要があり、1つでも止まれば環境が大きく崩れてしまいます。

出典: アロハオハナ動物病院「フトアゴヒゲトカゲの理想環境設定」

留守中に起こりやすいトラブル

準備の中身を考える前に、フトアゴを置いて家を空けたときにどんなことが起こりうるのかを整理しておきましょう。

どれも毎日ケージを見ていれば早めに気づけるものですが、留守中は気づく人がいないため、小さな異変がそのまま何日も続いてしまう点が大きな違いです。

照明が点かない・消えない

フトアゴの留守番で最初に考えたいのが、照明のトラブルです。

タイマーの設定を間違えて朝に点かなければ、フトアゴは体を温められないまま1日を過ごすことになり、消化も動きも鈍くなります。

反対に消灯の設定がずれて夜も点いたままになると、暗い時間がなくなって休めず、バスキングライトの熱でケージが夜通し暑くなることもあります。

NC State Veterinary Hospitalが点灯時間を季節ごとに決めているように、フトアゴにとって照明は明るさだけでなく1日のリズムそのものです。

タイマーの電池切れや、コンセントの差し込みが浅いといった小さな原因でも起こるため、留守の前には実際に点灯と消灯が切り替わるかを確かめておく必要があります。

ケージ内の温度が上がりすぎる・下がりすぎる

フトアゴのケージは、バスキングライトの熱で局所的に40℃前後まで上がる場所をつくる飼い方が一般的です。

夏に窓を閉め切った部屋でエアコンを止めて出かけると、室温の上昇にバスキングライトの熱が重なり、涼しい側まで暑くなって逃げ場がなくなってしまいます。

冬はその逆で、照明が消える夜間に暖房の切れた部屋の室温が下がると、ケージ全体が冷え込みます。

アロハオハナ動物病院は夜間を20〜24℃以上としており、昼の暑さ対策と夜の冷え対策を、季節に応じて両方とも考えておく必要があります。

脱水と置いていった野菜の傷み

留守中に水分が足りなくなることは、フトアゴでは特に起こりやすいトラブルです。

前の章で触れたとおり、水入れから水をあまり飲まない個体がいるうえ、バスキングライトの熱でケージ内は乾燥しやすく、水入れの水も減っていきます。

アロハオハナ動物病院は脱水のサインとして、目のくぼみ、皮膚の弾力の低下、食欲不振、体重減少、活動量の低下などを挙げています。

水分を補う目的で小松菜などの野菜を多めに置いていく方法も紹介されていますが、ライトの熱が当たる場所の野菜は、思っているより早くしおれて乾いてしまうこともあります。

しおれた野菜は水分の補給にならないうえ、日がたつと傷んで、ケージの衛生を悪くする原因にもなります。

留守中の脱皮

フトアゴの脱皮は、年齢によって頻度が大きく変わります。

アロハオハナ動物病院によると、ベビーは2〜4週間に1回、生後4か月から1歳ごろのヤングは1〜2か月に1回、アダルトは数か月に1回程度です。

成体であれば数日の旅行で脱皮が重なる可能性は高くありませんが、若い個体では十分に起こりえます。

同院は、指先や尾の先、目のまわり、下あごに皮が残ると、血の流れが妨げられて先端が壊死するおそれがあると説明しています。

普段なら霧吹きで湿らせたり、ぬるま湯でふやかしたりして手助けできますが、留守中は残った皮が何日も締めつけ続けることになります。

出典: アロハオハナ動物病院「フトアゴヒゲトカゲの脱皮トラブル対応マニュアル」

停電や機器の故障

フトアゴのケージは、紫外線ライト、バスキングライト、ヒーター、サーモスタット、タイマー、エアコンと、電気で動く機器が多いのが特徴です。

夏の落雷による停電や、電源タップにつないだ機器が多すぎてブレーカーが落ちると、これらがまとめて止まってしまいます。

電気が戻っても、機械式のタイマーは停電していた時間のぶんだけ時刻がずれ、点灯と消灯の時間が昼夜逆転することがあります。

エアコンが停電後に自動で運転を再開するか、タイマーに停電時の記憶機能があるかを、出発前に取扱説明書で確かめておくと判断に迷わずに済みます。

サーモスタット=設定した温度に合わせてヒーターや保温球の電源を入れたり切ったりする機器で、センサーの位置がずれると正しく働かないため、留守の前に点検しておきましょう。

出発前にやっておく準備

「事前準備」と書かれたノートとペン(出発前にやっておく準備のイメージ)

ここからは、1泊〜2泊程度の旅行でフトアゴに留守番をしてもらう場合の準備を順に見ていきます。

照明や温度の設定は、前日に初めて試すと不具合に気づいても直す時間がありません。

出発の1週間ほど前から、留守中と同じ設定で数日動かしてみると、フトアゴの様子を見ながら調整できます。

照明はタイマーで普段どおりの時間に点灯させる

フトアゴの留守番でもっとも大切なのが、照明のタイマー設定です。

紫外線ライトとバスキングライトは、普段点けている時刻と同じ時間に点灯し、同じ時間に消灯するように設定しましょう。

NC State Veterinary Hospitalが目安とする点灯時間は春と夏で12〜14時間、秋と冬で8時間なので、季節に合った時間になっているかも見直しておきます。

留守中だからといって照明を消したままにしたり、点けっぱなしにしたりせず、普段と同じリズムを保つことが基本です。

機械式のタイマーは停電で時刻がずれることがあるため、デジタル式やスマートプラグを使うか、2つを組み合わせて片方が止まっても対応できる形にしておくと心強いでしょう。

紫外線ライトの交換時期を確かめる

意外と見落としやすいのが、紫外線ライトの寿命です。

NC State Veterinary Hospitalは、紫外線ライトは切れていなくても6か月ごとに交換するよう勧めており、アロハオハナ動物病院も約6か月での交換を案内しています。

紫外線ライトは、明るく光っていても紫外線を出す力が少しずつ落ちていくためです。

前回の交換から半年近くたっている場合は、旅行の1〜2週間前に新しいものへ替えて、問題なく点灯するかを確かめておきましょう。

留守の直前に交換すると、万一の初期不良に気づけないため、少し余裕をもって替えておくことがポイントです。

給餌は普段どおりの量で済ませる

出発前にたくさん食べさせておけば安心だと思いがちですが、飼育者向けの記事では食べ過ぎに注意を促す声が多く見られます。

食べた物は体が温まっているあいだに消化されるため、照明が消える夜の前に大量に食べさせると、消化に負担がかかって吐き戻しにつながることがあります。

出発の当日か前日に、普段どおりの量を、バスキングで体が温まっている時間帯に与えるという組み立て方がよく紹介されています。

コオロギなどの昆虫を与えたときは、食べ残しがケージに残っていないかを最後にもう一度確かめてください。

水分をとれる場所を用意する

水入れは出発の前日か当日の朝に洗ってから新しい水に替え、フトアゴが自力で出入りできる浅めの容器を用意します。

NC State Veterinary Hospitalも、浅い水入れに新鮮な水を用意しておくことを勧めています。

加えて、水入れから飲まない個体のために、出発直前に霧吹きや温浴で水分をとらせておくと、留守に入る前の状態を整えられます。

アロハオハナ動物病院は、温浴を30℃前後のお湯で10〜15分、深さは胸のあたりまでとしています。

水分を含む野菜は、バスキングライトの熱が直接当たらない涼しい側に置くと、しおれるまでの時間を少し延ばせます。

季節ごとの温度対策

同じ2泊の留守でも、夏と冬では気をつけるポイントが逆になります。

夏はケージに熱がこもらないようにする

夏の留守番では、ケージの涼しい側が暑くなりすぎないことを優先します。

エアコンは冷房でつけたままにし、ケージに直射日光が当たらないようカーテンを閉めて出かけるのが基本です。

バスキングスポットの温度はライトとの距離で決まるため、室温が上がれば涼しい側の温度も一緒に上がってしまいます。

出発前の数日、日中の涼しい側の温度を温度計で記録し、アロハオハナ動物病院が目安とする24〜28℃から大きく外れないエアコンの設定を探しておきましょう。

冬は夜間の冷え込みに備える

冬は、照明が消える夜間にケージが冷え込まないようにすることが中心になります。

暖房を切った部屋では、夜の室温がかなり下がることがあり、バスキングライトが消えたあとのケージは室温に近づいていきます。

夜間用の保温器具をサーモスタットにつなぎ、夜間の目安とされる20〜24℃以上を保てるように設定すると、エアコンの暖房と合わせて温度を保ちやすくなります。

暖房で部屋が乾燥しやすい時期でもあるため、水入れの水が十分かも合わせて確認してください。

見守りカメラとスマート家電を用意する

離れた場所から様子を確かめられる道具があると、留守中の不安をかなり小さくできます。

見守りカメラをケージに向けておけば、朝に照明が点いたか、フトアゴがバスキングしているかをスマートフォンで確かめられます。

スマートフォンと連携する温湿度計の中には、部屋の温度が設定した範囲を外れたときに通知を送れる製品もあり、エアコンの停止にいち早く気づけます。

動物愛護管理法第7条第3項は飼い主に動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めることを求めているため、カメラの設置と合わせて、ケージの扉や上ぶたのロックも出発前に確かめておきましょう。

出典: e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」

冬の旅行とブルメーションの関係

年末年始の帰省など、冬に家を空ける予定がある方に知っておいてほしいのがブルメーションです。

「冬は動かなくなるなら、そのあいだに旅行へ行けばよいのでは」と考える方もいますが、ブルメーションを留守番の都合に合わせて利用するのはおすすめできません。

ブルメーションとは

ブルメーション=爬虫類が寒い時期に活動を大きく落とし、じっとして過ごす状態のことです。

獣医療機関のVCA Animal Hospitalsは、これを本当の意味での冬眠とは異なる状態と説明しており、この期間も完全に眠り続けるわけではなく、水を飲みに出てくることもあるとしています。

同院によると、野生のフトアゴはオーストラリアの冬にあたる5〜8月ごろにブルメーションに入り、その時期の気温は日中が約20〜22℃、夜間が約4〜7℃まで下がります。

ブルメーション中は動きが鈍くなり、餌を食べなくなり、排せつがなくなり、体の色が暗くなるといった様子が見られます。

室内で飼われているフトアゴでも、家の中の温度が約16℃(60°F)を下回る状態が数日続くと、ブルメーションに入ることがあるとされています。

暖房を切って数日家を空ける冬の留守番は、飼い主が意図しないまま、この条件に近い環境をつくってしまうおそれがある点にも注意が必要です。

出典: VCA Animal Hospitals「Brumation in Bearded Dragons」

留守番のために冬眠させようとしない

VCA Animal Hospitalsは、ブルメーションを意図的に起こす方法を、経験のあるブリーダーが数週間かけて温度を下げて行うものとして紹介し、健康な個体に限って行うべきだとしています。

さらに、意図的にブルメーションに入らせる場合でも、事前に爬虫類に詳しい獣医師の診察を受けるよう勧めています。

栄養が足りていない個体や、お腹に寄生虫を抱えている個体は、ブルメーションから目覚めたあとに重い体調不良に陥ることがあるためです。

つまり、旅行の日程に合わせて部屋を冷やし、動かない状態で留守番させるという方法は、獣医療機関の考え方とは相いれません。

冬の旅行であっても、普段どおりの照明時間と温度を保ったうえで、日数を短めに考えるという基本は変わりません。

NC State Veterinary Hospitalが秋冬の点灯時間を8時間としているように、冬は照明の時間を季節に合わせて調整しながら、温度は日中も夜間も目安の範囲を保つことが大切です。

冬に元気がないときは体調不良も疑う

冬になるとフトアゴの動きが鈍くなったり、食欲が落ちたりすることがあり、「ブルメーションかもしれない」と考える飼い主は少なくありません。

しかしVCA Animal Hospitalsは、家の中の温度がおよそ16〜21℃(60〜70°F)という普通の範囲にあるのに元気がない場合、ブルメーションではなく病気の可能性があると注意を促しています。

旅行から帰ってきたときに動きが鈍く、餌も食べないという場合も、単に冬だからと決めつけないことが大切です。

まずはケージの温度と照明が正しく動いていたかを確かめ、環境を普段どおりに戻したうえで数日様子を見ても変わらないときは、爬虫類を診てもらえる動物病院に相談してください。

冬に旅行する前には、出発の1〜2週間前から食欲や体重、フンの状態を記録しておくと、帰宅後に変化があったかどうかを比べやすくなります。

普段から体重を量っておくことは、ブルメーションか体調不良かを判断するときの材料にもなるため、冬に限らず習慣にしておくと役立ちます。

フトアゴの留守番でよくある質問

木製のFAQの文字(フトアゴの留守番でよくある質問のイメージ)

フトアゴを置いて旅行に行く前に、飼い主が迷いやすい点を質問の形でまとめました。

どれも個体の年齢や季節によって答えが変わる部分があるため、普段の様子と照らし合わせながら判断材料として使ってください。

旅行に連れて行ってもよい?

人に慣れやすいフトアゴなら、一緒に連れて行けるのではと考える方もいるでしょう。

しかし飼育者向けの記事の多くは、旅行に連れて行くことに否定的です。

フトアゴは紫外線ライトとバスキングライトで体を温めて暮らす動物で、キャリーの中ではそのどちらも用意できず、移動のあいだは体を温める手段がほとんどなくなります。

成体は尾を含めて40〜55cmほどになるため、移動先で横幅90cmほどのケージと照明一式を用意し直すのも簡単ではありません。

宿泊先の多くはペットの同伴に制限があり、爬虫類を受け入れているかどうかも施設ごとに異なります。

数日の旅行であれば、いつものケージで照明と温度を整えて待ってもらうか、お世話を頼むほうが、フトアゴにとって変化の少ない過ごし方になります。

自動給餌器は使える?

魚や一部の爬虫類向けには自動給餌器が販売されていますが、フトアゴの留守番で頼りにするのは難しい面があります。

成体の食事の中心になる野菜は、容器の中で時間がたつとしおれたり傷んだりするため、何日分もまとめてセットしておくことができません。

人工飼料を使う方法も考えられますが、普段から人工飼料を食べ慣れていない個体は口をつけないことがあります。

どうしても使いたい場合は、出発の2週間ほど前から自動給餌器で実際に食べるかを試しておき、留守の直前に初めて使うことは避けましょう。

帰宅後に食べない・動かないときは?

旅行から帰ってすぐに餌を与えても、フトアゴが食べないことがあります。

留守中の温度変化や、帰宅後の物音や人の気配に反応して、しばらく落ち着かない個体もいるためです。

帰宅したらまずケージの温度と照明が普段どおりに動いているかを確かめ、水を新しいものに替えてから、翌日のバスキングで体が温まった時間帯に給餌してみましょう。

アロハオハナ動物病院は、ぐったりして動かない、目が明らかにくぼんでいる、皮膚にハリがなくシワが目立つといった場合は早めの受診が必要としています。

こうした様子が見られるときは、自己判断で様子を見続けず、爬虫類を診てもらえる動物病院に相談してください。

指先や尾の先に脱皮の皮が残っていないかも、帰宅後に一度確かめておくと見落としを防げます。

1泊2日でも準備は必要?

1泊2日の旅行であれば、健康な成体のフトアゴにとって給餌の面での影響は小さいと考えられます。

それでも、照明と温度の準備は日数にかかわらず必要です。

タイマーを設定しないまま出かければ、翌朝に照明が点かず、フトアゴは体を温められないまま1日を過ごすことになります。

真夏にエアコンを切ったまま1晩家を空ければ、そのあいだにケージ内の温度が大きく上がることもあります。

「短いから大丈夫」ではなく、「短くても照明と温度と水だけは整える」という考え方で、タイマーとエアコンの設定、水の交換、戸締まりの確認を済ませてから出かけましょう。

出かける前に天気予報で滞在中の最高気温と最低気温を確かめておくと、エアコンをどの設定で残していくか、夜間の保温器具を使うかどうかを決めやすくなります。

2泊を超える旅行ならお世話を頼む

2泊を超える旅行や、ベビー・ヤングの個体がいる時期の外出、真夏や真冬で温度の管理が心配な場合は、誰かにお世話を頼むことを考えましょう。

フトアゴの留守番で途切れてしまうのは、給餌と水分補給、そして照明と温度の見守りなので、それを誰に担ってもらうかがポイントになります。

預け先は大きく3つ

フトアゴのお世話を頼む方法は、大きく分けて次の3つです。

頼み先特徴気をつけたいこと
家族・知人自宅に来てもらえれば環境を変えずに済む照明や温度の管理、昆虫の扱いに慣れていないと負担が大きい
爬虫類を扱うショップやペットホテル爬虫類の知識があるスタッフに見てもらえる大きなケージや照明ごと運ぶ必要があり、移動と環境の変化が負担になる
ペットシッター自宅に来てもらい、いつものケージと照明のまま世話を受けられる爬虫類に対応しているかどうかは事業者ごとに異なる

家族や知人に頼む場合は、出発前に一度いっしょにお世話をしてもらい、野菜の切り方や霧吹きのかけ方、温度計の見方を実際に確かめておくと、留守中に迷う場面を減らせます。

施設に預ける方法と自宅に来てもらう方法の違いは、ペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説で詳しく比べています。

自宅に来てもらうシッターが向いている理由

フトアゴの飼育環境は、横幅90cmほどのケージに紫外線ライト、バスキングライト、ヒーター、サーモスタットがそろった大がかりなものです。

これを施設へ運んで同じ状態に組み直すのは難しく、移動と環境の変化がフトアゴの負担にもなります。

ペットシッターに自宅へ来てもらえば、ケージも照明の設定もいつものまま、給餌や水分補給、温度の確認だけを代わりに行ってもらえるという点で、フトアゴの暮らし方と相性のよい方法です。

たとえば3泊4日の旅行なら、毎日か1日おきに訪問してもらい、野菜と昆虫の給餌、霧吹き、温度と照明の確認を頼むといった組み立て方ができます。

訪問の回数や時間は、個体の年齢や季節、依頼する事業者の対応内容によって調整しましょう。

なお、ペットシッターは動物愛護管理法にもとづく第一種動物取扱業の「保管」にあたり、事業を営むには都道府県知事などの登録が必要です。

第一種動物取扱業=動物の販売や保管などを業として行う事業者に義務づけられた登録のことで、環境省は保管の例としてペットのシッターを挙げており、同法第10条第1項では登録の対象となる動物に爬虫類も含まれると定めています。

ペットシッターがどのようなお世話に対応しているのかは、ペットシッターは何をする?仕事内容を徹底解説で紹介しています。

出典: 環境省「動物取扱業の適正化」

シッターに伝えておくこと

フトアゴは照明や食事の内容が家庭ごとに異なるため、いつもの環境を保ってもらうには細かな共有が欠かせません。

次の項目を紙にまとめてケージの近くに置いておくと、伝え漏れを防げます。

  • 年齢、体重、普段の食欲
  • 野菜の種類と切り方、1回の量、置く場所
  • 昆虫の種類と量、カルシウム剤などのサプリメントの有無
  • 水入れの交換方法と、霧吹きや温浴をするかどうか
  • 照明の点灯・消灯の時刻と、タイマーの場所
  • バスキングスポットと涼しい側、夜間の温度の目安
  • エアコンやヒーターの設定と、触ってよい範囲
  • 扉や上ぶたのロックの位置
  • かかりつけの動物病院の名前、連絡先、診療時間

爬虫類のお世話に慣れているか、フトアゴを扱った経験があるかは、依頼する前に確かめておきたい点です。

同じペットシッターでも、対応できる動物の種類は事業者ごとに異なります。

依頼先を選ぶときの見方は、ペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントにまとめています。

フトアゴのお世話ができるシッターを探す

ペットシッタープレミアムステージでは、爬虫類のお世話に対応するペットシッターの店舗を、動物の種類から探せます。

掲載されている店舗の対応内容を確認し、気になる店舗があれば各店舗へ直接お問い合わせいただく流れになります。

料金や訪問できる時間帯、対応エリアは店舗ごとに異なりますので、詳しい条件は各店舗にご確認ください。

料金の考え方の目安は、ペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説で紹介しています。

まとめ

「まとめ」と書かれた木製ブロック(まとめのイメージ)

フトアゴを置いて旅行に行くときの考え方を振り返ります。

健康な成体であれば、飼育情報では2〜3日の留守番が可能と紹介されることが多く、レオパなどに比べると短めに考えるのが一般的です。

その理由は、フトアゴが昼行性で紫外線ライトとバスキングライトを毎日決まった時間に浴びる必要があり、給餌も成体で毎日から2〜3日に1回と間隔が短いことにあります。

水入れから水をあまり飲まない個体がいることも、留守番を長くしにくい理由のひとつです。

ベビーやヤング、体調を崩している個体は、日帰りか1泊までにとどめるか、短い外出でも誰かにお世話を頼む前提で考えてください。

出発前には、照明をタイマーで普段どおりの時間に点灯させ、紫外線ライトの交換時期が近ければ早めに替えておくことが準備の中心になります。

給餌は普段どおりの量で済ませ、出発直前に霧吹きや温浴で水分をとらせ、夏はケージに熱がこもらないように、冬は夜間の冷え込みに備えて温度を整えましょう。

冬の旅行でブルメーションを利用しようとするのは避け、帰宅後に元気がないときは体調不良も疑って動物病院に相談することが大切です。

2泊を超える旅行では、自宅に来てもらえるペットシッターに給餌と水分補給、照明と温度の確認を頼むという選択肢があります。

いつものケージと照明のままお世話を続けてもらえる方法を探す際は、爬虫類に対応している店舗かどうかを確かめたうえで相談してみてください。

帰宅後に食べない状態が続いたり、目のくぼみや体重の減少が見られたりするなど気になる様子があるときは、ためらわずに爬虫類を診てもらえる動物病院に相談しましょう。

この記事を書いた人

佐藤弘幸

Written by

佐藤弘幸

アイノス本部代表。日本最大手のペットシッターフランチャイズの最高責任者の経験を経て、
ペットシッターに関する記事執筆を担当。
自身も柴犬やキンクマと暮らした経験から、飼い主目線での情報発信を心がけています。
保有資格:ペットシッター士