トカゲを飼っていて旅行や帰省の予定ができると、「餌は置いていけばいいのか」「紫外線ライトは点けたままでいいのか」と、準備の段階で迷うことが多いのではないでしょうか。
インターネットで調べると爬虫類全般の留守番の情報はたくさん見つかりますが、ヘビやカメと一緒にまとめられていて、トカゲの場合に何が違うのかは分かりにくいものです。
しかも同じトカゲでも、昆虫を食べる種と野菜を食べる種、昼に日光浴をする種と夜に活動する種、地面で暮らす種と木の上で暮らす種では、留守番で気をつけるポイントがまったく変わります。
この記事では、トカゲを「食性」「活動時間」「生活場所」の3つの違いで分けて考え、それぞれのタイプに合った給餌、紫外線ライト、温度、水の備え方を整理しました。
ヤモリの仲間やアガマの仲間、スキンクの仲間などを飼っている方にも当てはめて読めるように、特定の種の設定値ではなく、準備の考え方を中心にお伝えします。
数値や考え方は、環境省が公開している爬虫類の飼養管理に関する調査資料や、動物病院が公開している飼育情報をもとにしています。
自分のトカゲがどのタイプにあたるかが分かれば、留守番の準備で何を優先すべきかがはっきりします。
目次
トカゲは旅行中に留守番できる?

まずは、トカゲに留守番をさせることができるのか、できるとしたらどんな条件がそろっている必要があるのかを確認しておきましょう。
健康な成体なら数日の留守番ができるとする飼育情報が多い
トカゲは犬や猫に比べて代謝がゆるやかなため、健康な成体であれば、数日のあいだ餌を食べなくても大きく体力を落としにくいといわれています。
飼育情報を見ると、トカゲやヤモリの留守番の目安は1〜5日程度とするもの、約5日とするもの、健康な成体なら1週間までとするものがあり、数日程度の留守番を前提にした目安が並んでいます(REPBUDDY、ぎょぴブログ、Herp-About.com)。
ただし目安にこれだけの幅があるのは、同じトカゲでも種類や個体の状態によって、無理のない日数が大きく変わるからです。
たとえば尾に栄養をたくわえる夜行性のヤモリの仲間は絶食に比較的強い一方で、木の上で暮らし水滴をなめて水分をとる種は、水の備えが途切れると短い期間でも状態を崩しやすくなります。
日数だけを見て判断するのではなく、自分のトカゲのタイプに合った備えができるかどうかを基準に考えることが大切です。
季節によっても条件は変わり、冬は活動量が落ちて餌を食べる量も減る個体が多い一方で、夏は室温の上昇による高温のリスクが大きくなるため、同じ日数の旅行でも季節ごとに備えを変える必要があります。
初めて留守番をさせる場合は、目安の下限に近い1泊程度から試し、帰宅後の様子を見てから次の旅行の日数を考えると無理がありません。
トカゲの留守番の難しさを分ける3つの違い
トカゲの留守番の難しさを左右するのは、大きく分けて「何を食べるか」「いつ活動するか」「どこで暮らすか」の3つの違いです。
何を食べるかは、昆虫を食べる昆虫食、昆虫と植物の両方を食べる雑食、植物を中心に食べる草食に分かれ、これによって給餌の間隔や置いていける餌の種類が変わります。
いつ活動するかは、昼に日光浴をする昼行性と、夕方から夜に活動する夜行性に分かれ、これによって紫外線ライトやバスキングライトの必要性が変わります。
どこで暮らすかは、地面で生活する地表性と、木の上で生活する樹上性に分かれ、これによって水の飲み方と、用意しておくべき水の形が変わります。
この3つの組み合わせで、留守中に気をつける項目の数が決まると考えると、準備の優先順位をつけやすくなります。
幼体や体調に不安のある個体は留守番させない
タイプにかかわらず、生まれてから半年に満たない幼体、お迎えして間もない個体、餌を食べない状態が続いている個体、痩せてきている個体、産卵の前後のメスは、留守番を避けたほうがよいとされています。
幼体は体に蓄えが少ないうえ、成長のために成体より短い間隔で餌を食べる必要があり、数日の絶食や温度の小さな変化でも体力を大きく落としやすいからです。
脱皮の直前や脱皮中の個体も、湿度が足りないと皮がうまくむけずに残ってしまうことがあるため、旅行の日程と重なりそうなときは注意が必要です。
こうした条件にあてはまる場合は、留守番の準備を考えるより先に、お世話を頼める人やペットシッターを探すところから計画を始めてください。
タイプ別に見るトカゲの留守番のしやすさ

ここでは、先ほどの3つの違いごとに、留守番で何が問題になりやすいかを詳しく見ていきます。
自分のトカゲがどのタイプにあたるかを確かめながら読み進めてください。
昆虫食・雑食・草食で変わる餌の考え方
昆虫食のトカゲは、コオロギやデュビアなどの昆虫を主に食べるタイプで、ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキなどの夜行性のヤモリの仲間が代表的です。
成体になると給餌の間隔が数日あくことも多いため、旅行の日程を普段の給餌のサイクルに収めやすく、餌の面では比較的留守番をさせやすいタイプといえます。
雑食のトカゲは、昆虫と野菜の両方を食べるタイプで、フトアゴヒゲトカゲなどのアガマの仲間や、アオジタトカゲなどのスキンクの仲間の一部がこれにあたります。
成長とともに植物の割合が増えていくため、成体では野菜を置いていく工夫ができる一方で、昆虫の給餌間隔も考えておく必要があります。
草食のトカゲは、野菜や野草を中心に食べるタイプで、グリーンイグアナなどが代表的です。
植物を毎日食べる必要があるうえ、野菜は時間がたつと傷んだり乾いたりするため、食性の面では留守番のハードルが高いタイプになります。
昼行性と夜行性で変わる光の考え方
昼行性のトカゲは、昼に日光浴をして体を温め、紫外線を浴びることで体のしくみを保っているタイプです。
環境省の調査資料には、海外の基準の例として、とくに昼行性のトカゲやカメはビタミンやミネラルの吸収と合成に紫外線が重要であり、夜行性の爬虫類や穴を掘る爬虫類はこの要件から除外されるという記述があります。
同じ資料では、昼に活動するヤモリの仲間にもカルシウムの調節のために紫外線の照明が必要とされるという海外文献も紹介されています。
つまり昼行性のトカゲは、留守中も紫外線ライトとバスキングライトを普段どおりに動かす仕組みが必要になり、光の面での準備が多くなります。
一方で夜行性のトカゲは、紫外線ライトを使わない飼い方が一般的なので、光については昼と夜のリズムが崩れないようにしておく程度で済むことが多いでしょう。
地表性と樹上性で変わる水の考え方
地表性のトカゲは、地面に置いた水入れから水を飲むことができるため、水入れを大きめにして量を多めに入れておけば、留守中の水分をまかないやすいタイプです。
樹上性のトカゲは、木の上で暮らし、葉についた水滴をなめて水分をとる習性を持つ種が多く、水入れを置いても気づかなかったり、飲まなかったりすることがあります。
環境省の資料にも、水滴をなめることを好む種には、霧吹きなどでその行動を促すようにという海外の基準が紹介されています。
樹上性のトカゲは、飼い主が毎日霧吹きをしている作業を、留守中に何で代わりにするかを考えておく必要があり、ここが留守番の大きな壁になります。
組み合わせで見る留守番の難しさの目安
3つの違いを組み合わせると、留守番の難しさのおおまかな目安が見えてきます。
| タイプの組み合わせ | 主な例 | 留守番で特に気をつけること |
|---|---|---|
| 昆虫食・夜行性・地表性 | ヒョウモントカゲモドキ、ニシアフリカトカゲモドキ | 水入れと温度。比較的準備の項目が少ない |
| 雑食・昼行性・地表性 | フトアゴヒゲトカゲ、アオジタトカゲの仲間 | 紫外線とバスキングのタイマー、給餌の調整 |
| 昆虫食または雑食・夜行性・樹上性 | クレステッドゲッコー、ミカドヤモリの仲間 | 霧吹きの代わりと湿度 |
| 草食・昼行性・樹上性 | グリーンイグアナ | 野菜の傷み、紫外線、水、温度のいずれも |
※表の例は代表的な種を挙げたもので、同じ仲間でも種によって性質が異なる場合があります。
表の下に行くほど、留守中に自動で保たなければならない項目が増えていくので、下のタイプほど短い日数でもお世話を頼む前提で考えるほうが現実的です。
飼っている種がどのタイプにあたるか迷う場合は、購入したお店や爬虫類を診てもらえる動物病院に確認しておくと、準備の優先順位を迷わずに決められます。
旅行前後の給餌の考え方

トカゲの留守番の準備で、飼い主さんがいちばん迷うのが餌の扱いです。
飼育情報でも「出発の数日前から餌を抜く」という考え方と「普段どおりに与える」という考え方の両方が紹介されていて、どちらが正しいのか分からなくなりがちです。
ここでは、まず普段の給餌間隔を把握し、そのうえで旅行の日程をどう組み込むかを順番に考えていきます。
普段の給餌間隔を把握する
留守番の計画を立てる前に、自分のトカゲが普段どのくらいの間隔で餌を食べているかを確かめておきましょう。
給餌の間隔は食性と年齢によって大きく変わり、成体になるほど間隔があくのが一般的です。
以下は飼育情報で紹介されている成体の給餌の目安で、個体の体格や季節によって調整されるものとして参考にしてください(FUTURENAUT)。
昆虫食のトカゲ
昆虫食のトカゲは、幼体のうちは毎日のように餌を与えますが、成体になると2〜3日に1回程度の給餌が目安として紹介されています。
普段から数日あけて与えている個体であれば、1〜2泊の旅行は給餌のあいだに収まることも多く、留守中に新たに餌を用意する必要がない場合もあります。
餌の昆虫にはカルシウム剤やビタミン剤をまぶして与えるのが一般的なので、旅行の前後でこの習慣が途切れないように、普段の給餌の日を記録しておくと調整しやすくなります。
雑食のトカゲ
雑食のトカゲは、成体では野菜を中心に昆虫を組み合わせる形になり、週に3〜4回程度の給餌が目安として紹介されています。
昆虫と野菜の割合は成長とともに変わり、幼体では昆虫の割合が多く、成体になるにつれて野菜の割合が増えていきます。
留守中は昆虫の給餌を止めて、傷みにくい野菜だけを置いていくという方法をとる飼育者もいますが、野菜を食べるにはバスキングで体を温める必要があるため、ライトの扱いとセットで考えることが大切です。
草食のトカゲ
草食のトカゲは、植物を少しずつこまめに食べる種が多く、飼育情報でも幼体では毎日の給餌が目安とされているなど、給餌の間隔をあけにくいタイプです。
果物は全体の1割以下にとどめ、葉物の野菜を中心にするのが一般的な考え方です。
給餌の間隔をあけにくいため、1泊を超える旅行では、誰かに新しい野菜を入れてもらうことを前提に計画を立てるほうが無理がありません。
旅行の日程を給餌のサイクルに組み込む
普段の給餌間隔が分かったら、旅行の日程をそのサイクルのどこに入れるかを考えます。
たとえば3日に1回与えている昆虫食のトカゲなら、出発の前日か2日前に普段どおりの量を与え、帰宅した翌日に次の給餌を行えば、留守中に給餌の日をまたがずに済むことがあります。
出発の直前に給餌を控える考え方の背景には、体を十分に温められない状態で食べたものは消化しにくいという点と、留守中にフンでケージや水入れが汚れるのを防ぎたいという点があります。
環境省の調査資料にも、海外の基準の例として、食物を適切に消化するのに十分な体温を維持できない場合は餌を与えてはならないという記述があります。
そのため、留守中にバスキングライトを消したり温度を下げたりする予定なら、出発前の給餌は控えめにし、ライトと温度を普段どおりに保つ予定なら、普段のサイクルどおりに与えるという考え方で整理できます。
どちらの場合も、出発前に普段より多くの量をまとめて与えることは避けるという点は、飼育情報の多くで共通しています。
生きた昆虫をケージに入れたまま出かけない
留守中の餌として、生きたコオロギをケージに多めに入れていくという方法を考える方もいるかもしれませんが、これはおすすめできません。
食べられずに残ったコオロギは、夜のあいだにトカゲの体をかじってしまうことがあり、とくにまぶたや指先、尾の先など皮膚の薄い部分に傷ができることがあります。
また、死んでしまったコオロギはケージのなかで傷み、においやカビの原因になって、湿度の高いケージでは衛生状態を大きく悪化させます。
出発前に与える場合も、食べ終わるまで様子を見て、食べ残した昆虫はケージから取り出してから出かけるようにしましょう。
草食のトカゲに置いていく野菜の工夫
草食や雑食のトカゲに野菜を置いていく場合は、傷みにくく、乾きにくい形にする工夫が役立ちます。
爬虫類全般の留守番の情報では、小松菜のような葉物を刻まずに丸ごと入れ、茎の部分を水に浸しておく方法や、根がついたままの豆苗を置いていく方法が紹介されています(REPBUDDY)。
刻んだ野菜は表面が乾きやすく、湿度の高いケージでは傷みやすいので、留守中は形を残したまま置くほうが長持ちしやすくなります。
ただし水に浸した容器をトカゲがひっくり返すとケージが水浸しになるため、重さのある容器を使ったり、ケージの隅に固定したりしておくと、こぼれる心配を減らせます。
野菜はあくまで1〜2日のつなぎと考え、それ以上の日数になる場合は、新しい野菜を入れてもらえるよう誰かにお世話を頼むことを検討してください。
留守中の紫外線ライトと照明の扱い

昼行性のトカゲを飼っている場合、留守中にライトをどうするかは給餌と並んで悩みやすいポイントです。
ここでは紫外線ライトが必要な理由を確認したうえで、留守中の点灯の仕方と、確認しておきたい設置のポイントを見ていきます。
昼行性のトカゲに紫外線が欠かせない理由
昼行性のトカゲは、自然のなかでは日光を浴びて体を温めながら、紫外線のうちUVBと呼ばれる光を使って体内でビタミンD3をつくり、カルシウムを骨に取り込むしくみを保っています。
室内で飼育する場合は日光に代わる光源が必要になるため、保温用のバスキングライトとは別に、爬虫類用の紫外線ライトを設置するのが一般的です。
名古屋市のけい動物医療センターは、トカゲに多い代謝性骨疾患の原因として、カルシウムの不足やカルシウムとリンのバランスの悪い餌とあわせて、紫外線の不足を挙げています。
数日の留守で紫外線ライトが止まったときにどの程度の影響が出るかについて、はっきりした基準は見当たりませんが、普段の光の環境を崩さないほうが、体のリズムを保つうえで無理がないと考えられます。
タイマーで普段の点灯時間を再現する
留守中に昼と夜のリズムを保つためには、普段手で点けたり消したりしているライトを、タイマーで同じ時間帯に点灯させるのがもっとも手軽な方法です。
環境省の調査資料では、海外の基準の例として、人工の紫外線光源を使う場合は1日6時間以上点灯すること、十分な自然光がない場合は規則的な昼夜の照明サイクルか毎日8時間以上の照明を用意することが紹介されています。
一方で、けい動物医療センターは、紫外線灯は一日中照射せず、常に紫外線が当たっている状態にならないようにすることを勧めており、点けっぱなしにすればよいというものでもありません。
普段の点灯時間がこの範囲に収まっているなら、その時間をそのままタイマーに設定しておけば、留守中も飼い主がいるときと同じ光の環境を保てます。
タイマーには、停電しても設定が消えにくいアナログ式と、細かい時間設定ができるデジタル式があり、どちらを使う場合も出発の数日前から実際に動かして、設定どおりに点灯と消灯をするかを確かめておきましょう。
夜行性のトカゲは昼夜のリズムを崩さない
ヒョウモントカゲモドキのような夜行性のトカゲは、紫外線ライトやバスキングライトを使わない飼い方が一般的で、光の面での準備は昼行性のトカゲより少なくて済みます。
ただし、部屋の照明を点けたまま出かけたり、遮光カーテンを閉め切って真っ暗なままにしたりすると、昼と夜の区別がつきにくくなり、活動のリズムが乱れることがあります。
普段と同じように、日中は自然光が部屋に入り、夜は暗くなる状態にしておくか、部屋の照明をタイマーで普段の生活に合わせて点けたり消したりすると、リズムを保ちやすくなります。
夜行性のトカゲでも弱い紫外線ライトを使っている飼い主さんもいるので、その場合は昼行性と同じようにタイマーで管理してください。
ライトの位置とガラスのふたを確認する
出発前には、ライトがケージのどこを照らしているかも改めて確認しておきましょう。
環境省の資料では、ガラスは紫外線を反射するため、紫外線の光源と爬虫類のあいだにガラスを置いてはならないという海外の基準が紹介されています。
掃除のときにふたをガラス板に替えたり、ライトの位置をずらしたりしたまま出かけると、紫外線がトカゲに届かなくなっていることがあります。
また、バスキングライトが倒れて床材やレイアウトの流木に近づいていないか、ライトのソケットや電源コードの周りにホコリがたまっていないかも確かめておくと、発熱のトラブルを避けることにつながります。
紫外線ライトは点灯していても時間とともに紫外線の量が落ちていくといわれているため、交換時期が近い場合は旅行の前に新しいものに替え、数日点灯させて様子を見てから出発するとよいでしょう。
留守中の温度管理

トカゲは変温動物で、周りの温度によって体温が変わるため、留守中の温度管理は給餌や光以上に重要なポイントになります。
ここでは、トカゲの飼育で基本となる温度勾配の考え方と、留守中にその環境を保つための工夫を紹介します。
温度の具体的な設定値や機器の選び方は種によって異なるので、普段の飼育で使っている設定を基準に読み進めてください。
温度勾配を保つことが基本になる
トカゲの飼育では、ケージのなかに暖かい場所と涼しい場所をつくり、トカゲが自分で移動して体温を調節できる温度勾配を用意するのが基本です。
けい動物医療センターは、陸上で暮らすトカゲについて、日中は25〜30℃程度、夜は20℃くらいまで下げてもよく、ホットスポットは30〜40℃程度になるように設置するとしています。
木の上で暮らすトカゲについては、日中は25〜28℃程度に保温し、夜間はそれより5℃程度下げるという目安が示されています。
留守中もこの温度差が保たれていれば、トカゲは暑すぎるときには涼しい場所へ、体を温めたいときにはホットスポットへと自分で移動できるため、多少の室温の変化にも対応しやすくなります。
反対に、ケージ全体が同じ温度になってしまうと逃げ場がなくなり、暑すぎる場合も寒すぎる場合も体に負担がかかります。
バスキングライトを点けていくか消していくか
バスキングライトを留守中にどうするかは、飼育情報でも意見が分かれるポイントです。
「照明はつけずにヒーターだけにする」という考え方は、ホットスポットをなくして活動量と代謝を落とし、絶食中の体力の消耗を抑えるとともに、ライトの過熱によるトラブルを避けることをねらったものです。
これに対して「タイマーで普段どおり点灯する」という考え方は、昼行性のトカゲの昼と夜のリズムや紫外線の環境を崩さないことを重視しています。
どちらを選ぶ場合でも、バスキングライトを消すなら給餌を控え、点けるなら普段の給餌サイクルを保つという組み合わせで考えると、消化の面で無理のない計画になります。
昼行性で紫外線ライトとバスキングライトが一体になった器具を使っている場合は、消すと紫外線も止まってしまうため、とくに注意して選んでください。
エアコンで部屋全体の温度を底上げする
ケージのなかのヒーターやライトだけで温度を保とうとすると、真夏には室温の上昇で逃げ場がなくなり、真冬には器具が1つ止まっただけで一気に冷え込んでしまいます。
そのため留守中は、エアコンで部屋全体の温度を一定の範囲に保ち、そのうえでケージ内のヒーターで温度勾配をつくる二重の仕組みにしておくと、器具の不調にも対応しやすくなります。
とくに夏場は、低温よりも短い時間の高温のほうが危険だとされるため(All About)、エアコンを止めずに運転を続け、ケージが窓ぎわの直射日光の当たる場所にないかも確かめておきましょう。
サーモスタットの設定と温度計の位置を見直す
ヒーターを使っている場合は、温度センサーの値に合わせて電源を自動で入れたり切ったりするサーモスタットを通しておくことが、過熱を防ぐうえで役立ちます。
出発前には、サーモスタットの表示と実際のケージ内の温度が合っているかを別の温度計で確かめ、ずれがあれば設定を見直しておきましょう。
温度計はホットスポット側と涼しい側の両方に置いておくと温度勾配が保たれているかを確認でき、通信できる温湿度計を使えば外出先からもスマートフォンで数値を見られます。
留守中の機器の見守り方や停電への備えについては、爬虫類全般の留守番の準備とあわせて確認しておくと、準備の抜けを減らせます。
留守中の水と湿度の管理

トカゲの留守番では、餌よりも水が途切れることのほうが体への影響が大きいとされ、飼育情報でも「トカゲはカメと違い水切れに弱い」と注意が促されています(REPBUDDY)。
水の飲み方は生活場所によって違うため、地表性と樹上性に分けて備え方を見ていきます。
地表性のトカゲは水入れの大きさと置き場所を工夫する
地面で暮らすトカゲは水入れから直接水を飲めるので、普段と同じ形の水入れを、ひと回り大きなものにするか2つ置くのが基本の備えです。
新しい形の容器に替えると水入れだと気づかないことがあるため、普段使っているものと同じか、よく似た形の容器を選ぶと迷わせずに済みます。
水は出発の当日の朝に入れ替えておくと、留守中に傷むまでの時間をできるだけ延ばせます。
体の大きなトカゲは水入れに乗って水をこぼしてしまうことがあるので、重さのある陶器の容器にしたり、壁ぎわに置いたりして、ひっくり返りにくくしておきましょう。
水入れをホットスポットの近くに置くと水が温まって蒸発が早くなり、ケージ内の湿度も上がりすぎることがあるため、涼しい側に置くのが一般的です。
乾燥した地域に暮らす種の場合は、水入れの水が蒸発してケージの湿度が上がりすぎないかにも気を配り、普段と大きく変わらない量に調整してください。
樹上性のトカゲは霧吹きの代わりを用意する
木の上で暮らすトカゲの多くは、水入れよりも葉やケージの壁についた水滴をなめて水分をとるため、普段は飼い主さんが霧吹きで水滴を用意していることが多いでしょう。
留守中はこの霧吹きをしてくれる人がいなくなるので、自動で霧を出すミスティングシステムや、水を少しずつ垂らすドリッパーを使って代わりにする方法が紹介されています。
水中ポンプで水を動かしておく方法もあり、動く水に反応して飲む種では効果が期待できるとされています。
ただし自動の装置は、タンクの水が切れたり、ノズルが詰まったりすると、その時点で水分をとる手段がなくなってしまいます。
旅行の1〜2週間前から実際に動かして、トカゲが水滴をなめているか、ケージの床が水浸しになっていないかを確かめたうえで使うようにしましょう。
装置を使っても不安が残る日数であれば、霧吹きだけでも誰かに頼むことを考えてください。
脱皮の時期と重なるときの湿度の備え
トカゲは成長とともに定期的に脱皮をくり返し、そのときに湿度が足りないと、古い皮がうまくむけずに指先や尾の先に残ってしまうことがあります。
旅行の日程が脱皮の時期と重なりそうなときは、ウェットシェルターと呼ばれる保湿用の隠れ家に水を十分に含ませたり、湿らせた水苔を入れたシェルターを用意したりして、トカゲが自分で湿度の高い場所を選べるようにしておくとよいでしょう。
レオパの湿度ひとつをとっても、動物病院や文献によって示される数値に幅があるため、数値を無理に合わせるより普段の飼育環境と同じ状態を保つことを優先したほうが、トカゲにとって変化が少なく済みます。
帰宅後に皮が残っている場合は、無理にはがさず、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。
帰宅後に確認したいこと

旅行から帰ってきたら、荷物を片づける前にトカゲとケージの様子を確認しましょう。
留守中は問題がなさそうに見えても、帰宅後の数日で変化が出ることもあるので、次の順番で落ち着いて確かめていきます。
温度・照明・水の状態を確かめる
最初に、ホットスポットと涼しい側の温度が普段の範囲に収まっているか、紫外線ライトとバスキングライトがタイマーどおりに点灯しているかを確認します。
温度やライトにずれがあれば、生体を触る前に環境を元に戻すことを優先してください。
あわせて、ケージのふたや留め具が閉まったままになっているか、トカゲがケージのなかにいるかを目で確かめておきましょう。
シェルターの奥や床材の下に潜っていて姿が見えないこともあるため、姿を確認できるまで探してから次の作業に移ると、脱走に気づくのが遅れるのを防げます。
水入れの水が減りすぎていないか、汚れていないか、ウェットシェルターや水苔が乾ききっていないかを確かめ、まず新しい水に入れ替えてトカゲがすぐに飲める状態を整えます。
自動の霧吹き装置を使っていた場合は、タンクの残りの量を見ると留守中にどのくらい動いていたかが分かり、次の旅行で必要な水の量を見積もる手がかりになります。
体重・フン・脱皮の様子を見る
環境を整えたら、トカゲの体重と見た目を確認します。
普段から体重を量る習慣がある場合は、出発前と帰宅後の体重を比べると、留守番がどの程度負担になったかを数字で確かめられます。
量った体重や気づいたことは、留守にした日数や季節、使っていた機器の設定と一緒に記録しておくと、次の旅行でどこを変えればよいかが見えてきます。
あわせて、フンの状態、目のくぼみ、皮膚のしわ、脱皮の皮が残っていないか、指先や尾の先に傷がないかを見ておきましょう。
目がくぼんでいたり皮膚にしわが目立ったりするときは水分が足りていなかった可能性があり、気になる様子があれば早めに動物病院に相談することをおすすめします。
給餌は少なめの量から再開する
帰宅後の給餌は、温度とライトを普段どおりに戻し、トカゲが体を十分に温めたことを確認してから再開するのが基本です。
留守中に絶食していたからといって一度にたくさん与えるのではなく、普段より少なめの量から始めて、食べ方やフンの状態を見ながら元のペースに戻していきましょう。
夜行性のトカゲは夕方以降、昼行性のトカゲは体が温まった日中というように、普段の給餌の時間帯に合わせて再開すると、食いつきを確かめやすくなります。
昆虫食のトカゲでは、帰宅後の最初の給餌でもカルシウム剤やビタミン剤をまぶす習慣を続け、草食や雑食のトカゲでは、留守中に置いていった野菜の残りを片づけてから新しい野菜を入れてください。
帰宅後しばらくたっても餌を食べない、動きが鈍いといった状態が続く場合は、自己判断で様子を見続けずに、爬虫類を診られる動物病院に相談することが大切です。
受診するときは、留守にした日数、留守中のライトと温度の設定、最後に餌を食べた日、帰宅後に気づいた変化をメモにまとめて持って行くと、状況を正確に伝えやすくなります。
トカゲのお世話を人に頼むときのポイント

樹上性や草食のトカゲ、幼体や体調に不安のある個体を飼っている場合や、留守にする日数が長い場合は、お世話を人に頼むことを考えましょう。
トカゲは住み慣れたケージの温度や光の条件が変わることに敏感なため、自宅のケージのままお世話を受けられる方法は、トカゲの性質と相性がよいといえます。
トカゲのお世話で伝えておきたい項目
トカゲのお世話は、種類やタイプによって必要な作業が大きく違うため、頼む相手には次のような項目を紙にまとめて渡しておくと、普段どおりの環境を保ちやすくなります。
- 種類とタイプ(食性・昼行性か夜行性か・地表性か樹上性か)
- ホットスポットと涼しい側の温度の目安、夜間の温度
- 紫外線ライトとバスキングライトの点灯時間、タイマーの設定
- 給餌の日と量、カルシウム剤やビタミン剤の使い方
- 生きた昆虫や冷凍の餌の保管場所と扱い方、食べ残しの片づけ方
- 霧吹きの回数とタイミング、ウェットシェルターの水の足し方
- 触ってよいかどうか、脱走しやすい場所とふたの閉め方
- かかりつけの動物病院の名前・連絡先・診療時間
生きた昆虫の扱いが苦手な人もいるため、昆虫を触らなくて済む範囲で頼むのか、給餌まで頼むのかを事前にはっきりさせておくと、引き受けてもらいやすくなります。
依頼先を比べるときの見方は、ペットシッターの選び方|失敗しない8つのポイントにまとめています。
自宅に来てもらうか施設に預けるか
お世話を頼む方法には、爬虫類に対応したペットホテルや専門店に預ける方法と、ペットシッターに自宅へ来てもらう方法があります。
施設に預ける場合は、普段使っているケージや餌の持参を求められることが多いとされ(動物病院サプリ)、移動や環境の変化によって餌を食べなくなる個体もいるため、事前に短い期間で試しておくと様子が分かります。
自宅に来てもらう場合は、ケージの温度勾配や光の条件をそのまま保てるので、とくに温度や湿度の変化に敏感な個体では、環境を変えずに済む点が利点になります。
それぞれの違いはペットシッターとペットホテルどっち?違いと選び方を解説で詳しく比べています。
自宅に他人を入れることに抵抗がある方は、ペットシッターは怖い?失敗しない選び方と注意点も参考にしてください。
ペットシッターとして事業を行うには、動物愛護管理法にもとづく第一種動物取扱業(動物の販売や保管などを仕事として行う事業者に必要な登録)の登録が必要です。
環境省は「保管」の例としてペットのシッターを挙げており、登録の対象となる動物には爬虫類も含まれています。
依頼を検討する際は、登録番号や登録の内容を打ち合わせの場で確かめておくとよいでしょう。
トカゲのお世話ができるペットシッターを探す
ペットシッタープレミアムステージでは、トカゲを含む爬虫類のお世話に対応する店舗を探せます。
掲載店舗の一覧から対応している動物の種類やお世話の内容を確認し、気になる店舗があれば各店舗へ直接お問い合わせいただく流れになります。
生き餌の扱いや霧吹きの回数など、トカゲならではのお世話に対応できるかどうかも、問い合わせの際に確認しておくと行き違いを防げます。
料金や対応できる時間帯、対応エリアは店舗ごとに異なりますので、詳しい条件は各店舗でご確認ください。
料金の考え方の目安は、ペットシッターの料金相場|選び方と注意点を解説でも紹介しています。
まとめ

トカゲを置いて旅行に出かけるときに押さえておきたいポイントを振り返ります。
トカゲの留守番の難しさは、何を食べるか、いつ活動するか、どこで暮らすかという3つの違いの組み合わせで大きく変わります。
昆虫食で夜行性、地表性のトカゲは比較的準備の項目が少なく、草食で昼行性、樹上性のトカゲほど、短い日数でもお世話を頼む前提で考えたほうが現実的です。
給餌は、普段の給餌間隔を把握したうえで旅行の日程をそのサイクルに組み込み、バスキングライトを消すなら給餌を控え、点けるなら普段のサイクルを保つという組み合わせで考えると無理がありません。
どちらの場合も、出発前にまとめて多く与えることと、生きた昆虫をケージに入れたまま出かけることは避けてください。
昼行性のトカゲは紫外線ライトとバスキングライトをタイマーで普段どおりに点灯させ、夜行性のトカゲは昼と夜のリズムを崩さないようにしておきます。
温度はエアコンとサーモスタットの二重の仕組みで温度勾配を保ち、水は地表性なら水入れを大きく、樹上性なら霧吹きの代わりになる装置を用意します。
留守番に不安が残るときは、住み慣れたケージのまま自宅でお世話を受けられるペットシッターも選択肢のひとつです。
自分のトカゲのタイプに合った準備を整えて、旅行の予定を無理なく楽しんでください。
気になる様子が見えたときは、爬虫類を診られる動物病院に早めに相談してください。







